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ミッション10 子ども達の成長
397 バカ者!
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王城内の各所のスクリーンの前にいる者達にも、しっかりと神の姿を見て、その言葉も伝わっていた。
そして、その前の修道院の映像も、その後のコッペパンもだ。
「っ……くっ……クーちゃんめっ。アレは反則だっ……っ、こんな時間にあんな美味しそうなものをっ……っ」
「くーちゃん? というあの女性を知っているのか?」
バルトーラの腹をさすっての呟きに、クーレルトが顔を近付けて尋ねる。同じように、後ろから身を少し乗り出すようにして、ケイルも口を挟む。
「服をあんな一瞬で変えるのもすごいですが、あの髪色からするに、流民の方ですか?」
「ああ。リゼンの第二夫人だよ。まだ辛うじてかもだが」
「「辛うじて……」」
二人はリゼンフィアに視線を移す。そして何事もなかったように目を逸らした。リゼンフィアが、百面相をしていたのだ。
「なあ。バルト、宰相が変だ」
「すごく嬉しそうな顔をしていたのに、一瞬で絶望したような顔になりましたよ?」
「いつものことだ。クーちゃんの笑顔が見れて嬉しいのに、それを自分には向けられてないって気付いて落ち込んでんの」
「「……なるほど……」」
第一夫人との関係の反動か、第二夫人や第三夫人への想いが一方的な者は多い。彼女達からすれば、押し付けがましくしてくるくせに、第一夫人との間には立ってくれない。そんな夫には、想いを向けられていたとしても、その想いを受け取りたくなくなるだろう。
「貴族の夫婦関係というのは、歪ですよね……」
「君くらいの年齢の子もそう思うんだね」
「目の前で見てきましたからね」
「君の所は珍しく恋愛結婚だっけ?」
「っ、はい。父に逆らって。ついでに家を出ました。父と母達のようになりたくありませんでしたし、反発して良かったと思っています」
「大人しそうに見えて、やるじゃないか。その結果が正しかったとその腕輪で証明もされたね」
そう言って、バルトーラが視線を向けたのは、ケイルの腕にある銀の腕輪。ケイルもそちらに視線を落とす。
「そういうことになるのでしょうか」
「だと思うよ」
「っ、嬉しいです」
ケイルは、本当に嬉しそうに微笑みを浮かべていた。父親に逆らうと言うのは、貴族として育てられた者には難しいことだ。バルトーラがそれに気付いたのは、フィルの言葉だった。
「『貴族の見本は少ないから』か」
「見本? なんのことだ?」
クーレルトが尋ねたその時、リゼンフィアがマイクを持った。
『これより、休憩に入る。食事はこちらに用意するので、心配はない。因みに、城から出ることは許されません。金の腕輪をした者は特に気をつけるように。逃げようとすれば、それなりに痛い目を見るでしょう』
「っ、そんなっ」
「それは監禁ではないかっ」
『そうなるようなことをしたのですから、当然でしょう。それとも、今から地下牢に入りますか?』
「っ、それは……っ」
「「「っ……」」」
便乗しようとして口を開きかけていた者たちも、慌てて口を噤んだ。
『逃げずに大人しくしているのなら、食事もきちんと出します。それも……先ほど広場で売られることになったコッペパンを!』
『なに!? リゼン、本当か!?』
『……本当です』
『いっ、よしっ!』
ファスター王が誰よりも食い付いた。そして、ガッツポーズまで決めた。
「お、王よ……アレは確かに美味しそうでしたが……庶民の食べ物では……」
『バカ者! ならばお前は、セイスフィア商会の出す商品は食べるなよ! アレらの前で立場など紙切れ程にも役に立たぬわ!』
「っ、も、申し訳ございませんっ!」
あのコッペパンシリーズを否定するということは、セイスフィア商会の取り扱う食品を否定することと同じだ。同時に、この場の貴族の中にも、お忍びで遊びに行き、ケーキ屋やパン屋、惣菜店にも通っている者がいる。そんな人たちを全員敵に回すようなものだろう。真っ青になって謝罪する男に、冷たい視線がいくつも刺さっていた。
それ以外の、セイスフィア商会に行ったことのなかった貴族達も興味を示す。
「王があれほど……美味いのか?」
「あれは本気で楽しみにしておいでですね……どのようなものなのか……」
「気になる……」
そうして、休憩と昼食が始まった。配ったのは、またもや変装したリュブラン達だ。ホールの方にも、カティルラの所にも届けられた。更に、城の警備をする騎士達や、メイド達使用人にも一つずつお裾分けされ、大層感動していた。その際、しっかりとセイスフィア商会の宣伝もしている。
メルナにも二つだけ配達されたのだが、見張りをしているラスタリュートが手渡す際に『二度と食べられないと思って、大事に食べなさい』と伝えたらしい。それで怒って包み紙に包まれた焼きそばパンとアプラーナをはたき落とした。
しかし、しばらくして会議室の貴族達やカティルラ達が映像の中で美味しそうに食べているのを見て、渋々拾い上げ、食べることにしたようだ。その美味しさと、食べたこともないパンの食感に、目を丸くし『これを……二度と食べられない……?』その言葉を噛み締めるように呟いていた。少しは後悔したのだろうかと思える瞬間だった。
「っ、かぶりつくと聞いて、どうかと思ったが、これはこうでないと美味くない!」
「片手で食べられるのも良い! 忙しい時につまめそうだ」
「本当だな。あ、ほれ、あの記録書記官達、食いながら仕事をしているぞ」
ファスター王達が居る側に、文官達がおり、記録を取り続けていた。更には、何やら書類も作成している様子。先ほどまでは、ヤケクソ気味だったり、鬼気迫る様子だった彼らは、焼きそばパンなどを片手に、かぶりつきながら筆を走らせている。
「明らかに、やる気が先ほどまでと違うな」
「やはり食事は大事なのかもな」
「美味しいことも大事だろう」
「違いない」
堅苦しくなるかと思いきや、しっかりと休憩の時間になりそうだ。先ほどまでは張り詰め過ぎていたのだと分かった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
第6巻発売中です
そして、その前の修道院の映像も、その後のコッペパンもだ。
「っ……くっ……クーちゃんめっ。アレは反則だっ……っ、こんな時間にあんな美味しそうなものをっ……っ」
「くーちゃん? というあの女性を知っているのか?」
バルトーラの腹をさすっての呟きに、クーレルトが顔を近付けて尋ねる。同じように、後ろから身を少し乗り出すようにして、ケイルも口を挟む。
「服をあんな一瞬で変えるのもすごいですが、あの髪色からするに、流民の方ですか?」
「ああ。リゼンの第二夫人だよ。まだ辛うじてかもだが」
「「辛うじて……」」
二人はリゼンフィアに視線を移す。そして何事もなかったように目を逸らした。リゼンフィアが、百面相をしていたのだ。
「なあ。バルト、宰相が変だ」
「すごく嬉しそうな顔をしていたのに、一瞬で絶望したような顔になりましたよ?」
「いつものことだ。クーちゃんの笑顔が見れて嬉しいのに、それを自分には向けられてないって気付いて落ち込んでんの」
「「……なるほど……」」
第一夫人との関係の反動か、第二夫人や第三夫人への想いが一方的な者は多い。彼女達からすれば、押し付けがましくしてくるくせに、第一夫人との間には立ってくれない。そんな夫には、想いを向けられていたとしても、その想いを受け取りたくなくなるだろう。
「貴族の夫婦関係というのは、歪ですよね……」
「君くらいの年齢の子もそう思うんだね」
「目の前で見てきましたからね」
「君の所は珍しく恋愛結婚だっけ?」
「っ、はい。父に逆らって。ついでに家を出ました。父と母達のようになりたくありませんでしたし、反発して良かったと思っています」
「大人しそうに見えて、やるじゃないか。その結果が正しかったとその腕輪で証明もされたね」
そう言って、バルトーラが視線を向けたのは、ケイルの腕にある銀の腕輪。ケイルもそちらに視線を落とす。
「そういうことになるのでしょうか」
「だと思うよ」
「っ、嬉しいです」
ケイルは、本当に嬉しそうに微笑みを浮かべていた。父親に逆らうと言うのは、貴族として育てられた者には難しいことだ。バルトーラがそれに気付いたのは、フィルの言葉だった。
「『貴族の見本は少ないから』か」
「見本? なんのことだ?」
クーレルトが尋ねたその時、リゼンフィアがマイクを持った。
『これより、休憩に入る。食事はこちらに用意するので、心配はない。因みに、城から出ることは許されません。金の腕輪をした者は特に気をつけるように。逃げようとすれば、それなりに痛い目を見るでしょう』
「っ、そんなっ」
「それは監禁ではないかっ」
『そうなるようなことをしたのですから、当然でしょう。それとも、今から地下牢に入りますか?』
「っ、それは……っ」
「「「っ……」」」
便乗しようとして口を開きかけていた者たちも、慌てて口を噤んだ。
『逃げずに大人しくしているのなら、食事もきちんと出します。それも……先ほど広場で売られることになったコッペパンを!』
『なに!? リゼン、本当か!?』
『……本当です』
『いっ、よしっ!』
ファスター王が誰よりも食い付いた。そして、ガッツポーズまで決めた。
「お、王よ……アレは確かに美味しそうでしたが……庶民の食べ物では……」
『バカ者! ならばお前は、セイスフィア商会の出す商品は食べるなよ! アレらの前で立場など紙切れ程にも役に立たぬわ!』
「っ、も、申し訳ございませんっ!」
あのコッペパンシリーズを否定するということは、セイスフィア商会の取り扱う食品を否定することと同じだ。同時に、この場の貴族の中にも、お忍びで遊びに行き、ケーキ屋やパン屋、惣菜店にも通っている者がいる。そんな人たちを全員敵に回すようなものだろう。真っ青になって謝罪する男に、冷たい視線がいくつも刺さっていた。
それ以外の、セイスフィア商会に行ったことのなかった貴族達も興味を示す。
「王があれほど……美味いのか?」
「あれは本気で楽しみにしておいでですね……どのようなものなのか……」
「気になる……」
そうして、休憩と昼食が始まった。配ったのは、またもや変装したリュブラン達だ。ホールの方にも、カティルラの所にも届けられた。更に、城の警備をする騎士達や、メイド達使用人にも一つずつお裾分けされ、大層感動していた。その際、しっかりとセイスフィア商会の宣伝もしている。
メルナにも二つだけ配達されたのだが、見張りをしているラスタリュートが手渡す際に『二度と食べられないと思って、大事に食べなさい』と伝えたらしい。それで怒って包み紙に包まれた焼きそばパンとアプラーナをはたき落とした。
しかし、しばらくして会議室の貴族達やカティルラ達が映像の中で美味しそうに食べているのを見て、渋々拾い上げ、食べることにしたようだ。その美味しさと、食べたこともないパンの食感に、目を丸くし『これを……二度と食べられない……?』その言葉を噛み締めるように呟いていた。少しは後悔したのだろうかと思える瞬間だった。
「っ、かぶりつくと聞いて、どうかと思ったが、これはこうでないと美味くない!」
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「本当だな。あ、ほれ、あの記録書記官達、食いながら仕事をしているぞ」
ファスター王達が居る側に、文官達がおり、記録を取り続けていた。更には、何やら書類も作成している様子。先ほどまでは、ヤケクソ気味だったり、鬼気迫る様子だった彼らは、焼きそばパンなどを片手に、かぶりつきながら筆を走らせている。
「明らかに、やる気が先ほどまでと違うな」
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