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16th ステージ
180 温室育ちか……
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リンディエールは、昼休憩が終わる頃に食堂に戻って来た。
「ただいまやで~」
「あ、おかえり。学園長なんだったの?」
レイシャの問いかけに、リンディエールは笑いながら答える。
「うち、今日からやったやん? そんで、この子らのことがあったやろ? 今日まで報告せえへんくてすまんですって謝ってくれてん」
「「「「「……え……?」」」」」
学園長の方が謝ったという風に聞こえたと、一年生達は顔を見合わせる。
「ん? なんやねん」
「……学園長の方が……あやまった?」
「せやで?」
「「「「「っ……」」」」」
一年生の生徒達は、ユーアリアに言われたとはいえ、リンディエールは、呼び出されて学園長に自分たちへの扱いを怒られていると今まで信じていたのだ。
「……まあ、信じたくないものってあるよね……」
ユーアリアは、彼らの心情を察して呟いた。
「どないしてん」
「都合の良いことしか信じられないみたい」
「は~。お子ちゃまやなあ」
「子どもだもんね」
「「「「「っ……」」」」」
イラついた様子で、ユーアリアが一年生達を横目で見る。それを見て、リンディエールは首を傾げた。
「なんや。ユーちゃん。機嫌悪いん? ご飯足りひんかった?」
リンディエールが、ユーアリアの傍に寄り、頭を撫でる。これに、ユーアリアは頬を染めた。
「っ、ご、ご飯は足りてる……っ」
「ほんなら、甘いもんか? ほれ、飴ちゃんやるわ。最近お気に入りのべっこう飴や。ヒーちゃんもお気にの逸品やで!」
「っ……きれい……っ、美味しいっ」
「せやろ、せやろっ」
腰に手を当てて、うんうんと満足げに頷くリンディエール。
「気泡が入らんように、丁寧に作り上げたんやで? 味も甘すぎない、最高の出来や!」
「本当に美味しいっ。あと、つるつるしてるのが、なんか楽しいっ」
「気に入った?」
「うん! どうやって作るの?」
ユーアリアは、とても落ち着いてきているし、少し大人ぶる時もある。王子としての自覚も出て来た。しかし、リンディエールの前では、可愛らしく子どもらしい顔を見せる。別に計算しているというわけではないのだろう。素直に甘える時があるということだ。
「ほんなら、今度一緒に作ってみるか?」
「いいの!?」
「ええで。ユーちゃんは、お菓子作りの才能ありそうやったしな」
「この前、私より手際良かったものね……」
「っ、うん」
レイシャは王妃と共に、リンディエールとお菓子を作るのが趣味になっており、半月に一度は、お料理教室のようなことをしている。そこで、ユーアリアも参加したのだ。
「ユーちゃんは、なんでも最近は挑戦したがるもんなあ。ええことや」
「殿下も楽しそうだしね……」
「レング? どないした?」
「う、うん……」
今度は、レングが少し機嫌が悪そうだ。それを察して、リンディエールはその顔を覗き込む。すると、レングは少し小さな声でリンディエールにだけ聞こえるように告げた。
「ちょっと寂しくて……リンと、最近は二人だけで勉強とかもしなくなったし……」
「……なんや。寂しかったん? そうやなあ……せや! レングが気に入っとったブランド茶の葉がそろそろなくなりそうなんよ。今度の休みに一緒に採りに行かへん? 迷宮やけど」
「っ、行く!」
「ほんなら、約束や!」
「うん!」
リンディエールとしては、ユーアリアもレングも時折、構ってちゃんになる可愛い弟のような認識だ。それをユーアリアもレングもわかっている。今はそれで良いと二人も思っているのだ。
「リンちゃんったら罪作りね」
「ん?」
「ううん。私とは、今度買い物デートね」
レイシャもリンディエールを独占したいと思うので、二人と変わらない自覚がある。
「買い物デートかあ。最近、物欲があんま湧かへんのやけど」
「そんなまた……年寄りくさい……」
「しゃあないやん。欲しいもんは、ヒーちゃんと作った方が楽しいんやもん」
「なんでも出来るって言うのも、問題ね」
大抵のものや、欲しいと思った物は、ヒストリアと話し合いながら、研究しながら作り上げるのが楽しい。それが出来てしまうのがリンディエールとヒストリアなのだ。
カーン、カーン、コーン
シンプルな音の鐘が鳴る。これは予鈴だ。昼休憩が終了する合図だった。
「さてと。午後の授業や! ほんなら、外行くでー!」
「「「「「っ! 外!?」」」」」
「温室育ちには、ちょいキツイかもな~」
「「「かもね~」」」
ユーアリアとレイシャ、レングが少し笑いながら同意した。そして、担任達は納得する。
「「「温室育ちか……」」」
まさにそれだと、大袈裟に絶望するような顔をしている一年生達を、気の毒そうに見つめていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
「ただいまやで~」
「あ、おかえり。学園長なんだったの?」
レイシャの問いかけに、リンディエールは笑いながら答える。
「うち、今日からやったやん? そんで、この子らのことがあったやろ? 今日まで報告せえへんくてすまんですって謝ってくれてん」
「「「「「……え……?」」」」」
学園長の方が謝ったという風に聞こえたと、一年生達は顔を見合わせる。
「ん? なんやねん」
「……学園長の方が……あやまった?」
「せやで?」
「「「「「っ……」」」」」
一年生の生徒達は、ユーアリアに言われたとはいえ、リンディエールは、呼び出されて学園長に自分たちへの扱いを怒られていると今まで信じていたのだ。
「……まあ、信じたくないものってあるよね……」
ユーアリアは、彼らの心情を察して呟いた。
「どないしてん」
「都合の良いことしか信じられないみたい」
「は~。お子ちゃまやなあ」
「子どもだもんね」
「「「「「っ……」」」」」
イラついた様子で、ユーアリアが一年生達を横目で見る。それを見て、リンディエールは首を傾げた。
「なんや。ユーちゃん。機嫌悪いん? ご飯足りひんかった?」
リンディエールが、ユーアリアの傍に寄り、頭を撫でる。これに、ユーアリアは頬を染めた。
「っ、ご、ご飯は足りてる……っ」
「ほんなら、甘いもんか? ほれ、飴ちゃんやるわ。最近お気に入りのべっこう飴や。ヒーちゃんもお気にの逸品やで!」
「っ……きれい……っ、美味しいっ」
「せやろ、せやろっ」
腰に手を当てて、うんうんと満足げに頷くリンディエール。
「気泡が入らんように、丁寧に作り上げたんやで? 味も甘すぎない、最高の出来や!」
「本当に美味しいっ。あと、つるつるしてるのが、なんか楽しいっ」
「気に入った?」
「うん! どうやって作るの?」
ユーアリアは、とても落ち着いてきているし、少し大人ぶる時もある。王子としての自覚も出て来た。しかし、リンディエールの前では、可愛らしく子どもらしい顔を見せる。別に計算しているというわけではないのだろう。素直に甘える時があるということだ。
「ほんなら、今度一緒に作ってみるか?」
「いいの!?」
「ええで。ユーちゃんは、お菓子作りの才能ありそうやったしな」
「この前、私より手際良かったものね……」
「っ、うん」
レイシャは王妃と共に、リンディエールとお菓子を作るのが趣味になっており、半月に一度は、お料理教室のようなことをしている。そこで、ユーアリアも参加したのだ。
「ユーちゃんは、なんでも最近は挑戦したがるもんなあ。ええことや」
「殿下も楽しそうだしね……」
「レング? どないした?」
「う、うん……」
今度は、レングが少し機嫌が悪そうだ。それを察して、リンディエールはその顔を覗き込む。すると、レングは少し小さな声でリンディエールにだけ聞こえるように告げた。
「ちょっと寂しくて……リンと、最近は二人だけで勉強とかもしなくなったし……」
「……なんや。寂しかったん? そうやなあ……せや! レングが気に入っとったブランド茶の葉がそろそろなくなりそうなんよ。今度の休みに一緒に採りに行かへん? 迷宮やけど」
「っ、行く!」
「ほんなら、約束や!」
「うん!」
リンディエールとしては、ユーアリアもレングも時折、構ってちゃんになる可愛い弟のような認識だ。それをユーアリアもレングもわかっている。今はそれで良いと二人も思っているのだ。
「リンちゃんったら罪作りね」
「ん?」
「ううん。私とは、今度買い物デートね」
レイシャもリンディエールを独占したいと思うので、二人と変わらない自覚がある。
「買い物デートかあ。最近、物欲があんま湧かへんのやけど」
「そんなまた……年寄りくさい……」
「しゃあないやん。欲しいもんは、ヒーちゃんと作った方が楽しいんやもん」
「なんでも出来るって言うのも、問題ね」
大抵のものや、欲しいと思った物は、ヒストリアと話し合いながら、研究しながら作り上げるのが楽しい。それが出来てしまうのがリンディエールとヒストリアなのだ。
カーン、カーン、コーン
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「「「「「っ! 外!?」」」」」
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「「「かもね~」」」
ユーアリアとレイシャ、レングが少し笑いながら同意した。そして、担任達は納得する。
「「「温室育ちか……」」」
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