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15th ステージ

166 仲がええなぁ

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その日リンディエールは、ヒストリアの屋敷の一室で大陸の地図を広げて、それに何やら書き込んでいた。

因みに、正確過ぎる地図に、お茶をしに来たブラムレースとクイントは汚さないようにと少し離れた所からそれを見ている。

「リン? その地図は、大陸全土のやつですか……?」
「せやで? ブランシェレル潰しで大陸中を飛び回ったお陰で、ようやく完璧なのが完成したわ。ああ、良かったら一枚どうや?」
「……怖くていただけません……」
「保管する場所に困るぞ……」

クイントとブラムレースは、完全に引いていた。

「そんなもん、会議室の壁に、どどんと貼りいや。絵と変わらんやろ。なんなら額縁も付けとくわ」
「……確かに……ここまで精巧なものは芸術の域かとも思えてきました……」
「シレっと飾っとけばええやん」
「それでいけそうな気がしてきたぞ……どうするよ、クイント」

それならいけると、ブラムレースは頷く。クイントも額に入ったら確かに絵と変わらないかなと思えてきたようだ。

「……いただきましょう。サインもください」
「ほんまに絵扱いかいっ。まあ、ええけどなっ」

地図の端にリンディエールはサインした。デザインした文字でカッコよくしてみた。それを丸め、ブラムレース王に手渡す。

「ううっ、汚しそうだ……後で届けてくれないか?」
「しゃあないなあ。額もセットして搬入したるわ」
「頼んだ!」

若干、受け取る手も震えていた。それだけ貴重なものなのだろう。リンディエールとしてはそんな意識はない。

「そういえば、ヘルナ様達は、まだお帰りになっていないようですね」
「ん? ああ。知り合いの冒険者達と大氾濫についての話し合いをしてくる言うとったで」
「そうでしたか。頼もしい方々です」
「有り難いことだな」

クイントもブラムレース、国の上層部のものは、ヘルナ達には頭が上がらない。それは、他の国でも同じだ。お陰で、各国を転移門で繋ぐことも了承させることができた。

聖皇国の地下迷宮の一室と、各国の本部となる冒険者ギルドの一室を繋がる転移門を設置したのだ。これにより、大陸の端から端の国にも、門一つで行き来できるようになった。

ヘルナ達はそれを使って、冒険者達で対策を進めてくれているのだ。

「本当に転移門様々だなあ。だが、あれだけの数の門を繋げて、リンの方に何か負担はないのか?」
「っ、私としたことがっ。リンっ。どうなのですか!?」

転移門は、リンディエールとヒストリアで半分ずつ用意していた。ヒストリアならば大丈夫だろうと思うが、リンディエールは一応、人だそれも子どもということで、心配なようだった。だが、対策をしない訳がなかった。

「平気や。繋がる時は魔力を使うんやけど、維持するんは、魔石を使つこおて対応しとるんよ」
「そうだったのですか……よかった」

クイントは本気で心配してくれていたようだ。

「おおきに。こっちには、ヒーちゃんだけやなく、大賢者言われるイクルスのじいちゃんも居るでな。何でもアリやで」
「それは今までもそうでした」
「今までも何でもアリだったが?」
「せやったか?」

リンディエールだけでも、何でもアリの状態だったのだが、自覚はなかった。

「まあ、問題ないならいい。それで、転移門のお陰で、今までは不可能だった大陸全土の国際会議が出来るのではないかと話していたのだ」
「大氾濫が起きることは、他国でも研究者達によって囁かれていたようでして、この機会に認識を一つにしようとしています」
「あ~、あの引きこもりなオババも、研究者仲間と話し合いをしに出かけおるで、何を始めたんかと思ったわ。それかあ」
「はい。確実な資料をまとめていただいています」

確実に起こり得るのだと、根拠をまとめてもらっているようだ。

「王族は理解したような顔をしていますが、納得していなさそうなのが何人かいるようです」
「外面だけ取り繕うのが上手いのが多いからなあ」
「そうですね。分かったような顔して、聞き流すのも得意ですしね」
「そうそうっ……んん!? いやいやっ、俺はそんなことっ」
「してますよね」
「……してる……かもし……っ、してますっ」
「正直でよろしい」

クイントの目は誤魔化せなかったようだ。

「相変わらず仲がええなぁ」
「「良くない!」」
「はいはい」
「っ、まあ、ということで近々、国際会議が行われます」

着々と、一丸となるための準備が進んでいた。







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読んでくださりありがとうございます◎



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