エセ関西人(笑)ってなんやねん!? 〜転生した辺境伯令嬢は親友のドラゴンと面白おかしく暮らします〜

紫南

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14th ステージ

159 ……普通のは?

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バーグナーとファルビーラやヘルナ達も一人ずつ扉を引っ張ってみた。

「うむ。こんなものか」
「これはそこらの軟弱な若い奴らには無理だろうよ」
「レベル百くらいが基準かしらね」

そんな話をしながらも、きちんと一人で扉を開いて見せた。

「「「「「……っ」」」」」

騎士達が顔を見合わせていた。自分たちは微かにも動かせなかった扉が開いたのだ。

「本当に開くものだったんだな……」
「いや、あの子が開けていただろ」
「子どもだぞ? そんな力があるわけがないだろう」
「いやいや。間違いない」

そんな話をそれとなく聞いていると、ヘルナがこちらへと手を振る。

「リンちゃ~ん。私たちだけで一度入ってみるけど、リンちゃんとリア様はどうする?」
「行く行く! ええもん出るとええなあっ。ヒーちゃんも行くやろ?」
「ああ。どんな内容か気になるからな」
「内容てっ。確かに、内容かっ、内容は気になるわ!」

リンディエールやヒストリアからすれば、アトラクションのようなもの。迷宮ごとに違うコンセプトで楽しめるものという感覚だ。

そして、リンディエールだけでもかなりの数の迷宮に潜っており、一歩入るだけで、それなりに内容・・に予想が立つ。

リンディエールとヒストリアは扉の前に立って足を止めた。

「あかん」
「そうだな。これは」
「この湿度と温度、音の反響具合からいくと、アレが要る」
「必要だな」

そんな会話をするリンディエールとヒストリアに、バーグナーが尋ねた。

「いる? 必要……道具のことか? 何か道具が要ると? 松明か?」
「いんや」
「「ハンマーとツルハシや!」だ!」
「「「「「……は?」」」」」

リンディエールは空間庫からハンマーとツルハシを取り出して地面に並べる。

「この辺のは……そろそろ限界のやつかあ……」
「どこで使ったんだ? これはシャーレル鉱石が入っているだろう。溶岩でもさらったか?」

冷気を感じる濃い青色の入ったツルハシが二本。それがヒストリアには気になったらしい。そのうちの一本がひび割れているものだった。

「ホウケンや。火山の。あそこ、ビミョ~に溶岩が流れ出るやん?」
「ああ。それで炎耐性のシャーレルを? 強度は出るか?」
「コレアールト鉱石と合わせてん。アダマン並みになるで」
「ほお……それでもこれか……」
「それ一本でホウケンを掘り起こしたでな。さすがに限界や」
「……さすがに無茶だな……」

更に五本のツルハシが出て来た。

「この一本もダメやな。となると、使えるのは五本……」
「強度は? えらく特殊な色のもあるが……」
「青いこの一本はシャーレル、こっちの二つのちょい赤の入る金のがヒヒイロな。黒がアダマン、そんでこの白っぽいのがミスリル」
「……普通のは?」
「アダマンがあるやん」
「いや、それも普通じゃないっ」
「「「「「……」」」」」

うんうんとヘルナ達も頷く。

「せやかて、強度考えたらアダマンが最低値やわ。あと使いやすい。ミスリルは、掘っとる石も気を付けんと裂きおるもんよ」
「普通、ミスリルではツルハシなど作らん」
「しゃあないやん。と言うか、これ武器やねん。ゴーレム用の。坑道掘る用ではないねん」
「……それでも、贅沢過ぎないか? こっちのハンマー、全部それだろ!」
「それがなあ、ツルハシはどっちかって言うたら失敗やねんけど、ハンマーは正解やで! 魔力も上手く乗りよるもん」
「それはそうだろうが……」
「「「「「……」」」」」

聖剣や最高級の武器を作るのに使われるミスリルを、ツルハシやハンマーにされるなど、考えても見なかったのだろう。ヒストリアもドン引きしている。

「ええやん。道具なんてそんやもんや! それより、ヒーちゃんは何本持っとる?」
「普通のが三本ずつだ……」
「ほんなら、まあ足りるか。じいちゃん達、どれ使う?」
「いや、そもそも、なんでそれが要るんだ?」

ファルビーラが少し屈んで、ツルハシやハンマーを見る。明らかに鉄など当たり前のものの色合いじゃないそれらからは、距離を取ろうと腰が引けていた。

「中、ゴーレムパーティしとるからや」
「間違いなくゴーレムが出るからだな」
「「「「……」」」」
「まだ中見てないだろ……」
「見んでも分かるやろ?」
「感じるだろ?」
「「「「「分かりませんけど……」」」」」
「「え?」」

お互い意味がわからず首を傾げた。







**********
読んでくださりありがとうございます◎
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