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12th ステージ

127 体術で頑張ってや!

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最初の種目【魔法弾合戦】は、他のクラスとの対戦も終わり、次の種目に移った。

『さて、第一種目では、学生らが圧勝や! 大人らは、このまま負けっぱなしではあかんで!』

六試合中、大人が勝てたのは、最初とその次だけだった。

二年と三年の者達のチームは、圧勝している。

気迫も違い、親を殺さんとするくらいの危機迫るものがあった。どうやら、対戦した所で、情けない姿を見たため、本当に反抗期が訪れたようだ。

『このままやと、親としての威厳も地に落ちるで? 子どもらの自立心はいい具合に育っとるようやからな』
「確かに……あんな親は情けないって思うよな」
「誰かを盾にしたりとか……人間性を疑うわ」
「ああいうのは、品性がないっていうのよ」
「えらっそうにして、俺らを品性がないとか見下してやがったのに、実際は最低じゃんかっ」

民達の目もかなり厳しくなっているようだ。

反乱の心配も出て来た。

『あっ、あまりに情けない領主やからって、暴動起こすんは勘弁してや! しっかりこっちでクズはチェック入っとるで、任せてや。減点数によっては、抜き打ち査察も予定しとるでな!』
「「「「「っ!?」」」」」

その時、ボロボロになった貴族の中には、絶望した顔を向ける者があった。リンディエールと目が合ったのだ。

『なんや……明らかに『やべっ』ってな顔した奴らが居るやん……悪いことは出来へんなあ』
「やっぱりか……っ」
「早いとこ査察してくれ!」
「そうだそうだ!」

領民達の中には、それを求める声が多い場所があるようだ。

『任せてや! 期待には応えなあかんでなっ』

ますますヤバいという顔をする数人の貴族達は、もうどう頑張っても査察は免れないと悟った。

サボった事は自分たちが一番よく分かっているのだ。減点になることは覚悟したのだろう。

自分たちの家臣達を探すように、キョロキョロと目だけを動かし、彼らに先に帰って査察に備えろとでもいうように視線を送る。

それをリンディエールが気づかないはずがなかった。

『こらこら。あかんで? 査察は免れん思おて、家のもんに合図送っとるようやけどなあ。そうは問屋が卸さんわ! あの辺、更に減点や』
「はい」

リンディエールの隣に、いつの間にか、控えていたプリエラが、リンディエールが指差した先にいた者達を確認し、記録用紙にチェックする。

『後何点や?』
「二点です」
『二点て……もう後あらへんなあ。派遣始めえ』
「承知しました」
「「「「「っ!!」」」」」

貴族達は、リンディエールが有言実行なのを知っている。よって、本当に後がない事を理解して放心する者がちらほらと見られた。

観念したと見て、ざまあ見ろと笑う観客達も多く見られる中、次の種目の準備が整ったとリンディエールへと合図があった。

『さて、会場の準備が整ったようや。二種目目は【障害物玉入れ】!』

そうリンディエールが告げると、会場部分に所々見えないように張られていた結界が消え、劇的に変化した会場が現れた。

「障害物って……」
「これは……」
「地形変わってない?」
「あの辺岩山……?」
「あの辺は穴だらけだぞ……」
「宙に吊り橋みたいなのが……」

舞台が消え、そこは、全ての部分を広く使った障害物というか、明らかに入りづらそうな地形に変化していた。

そして、両端に玉入れの籠が立っており、赤と白がある。

『見て分かるように、岩山あり、トンネルあり、泥沼に、丸太の吊り橋ありの障害物大有りのステージや! そして、その中に、白と赤のボールが落ちとる。それを回収しながら、向かいの自分たちのグループの籠に、そのボールを制限時間以内にどれだけ入れられるかという勝負や!』

赤グループは、赤のボールを拾って向かいの端にある赤の籠に入れる。だから、一番端から一番端まで向かわなければいけない。

『赤組は学生達! 白組は大人達や! グループで協力して進むんやで! これには、身体強化のみ有効や! 妨害はかまへんが、これも魔法と剣は無しやで、体術で頑張ってや!』

拳でどうぞと勧めておく。

『では、第一回戦! 始め!!』
「「「「「おおぉぉぉっ!!」」」」」

これは一学年ずつなので、人数が多い。合戦のように一気に両端から人が駆け出して行った。






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