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8th ステージ
081 ヒントや!
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盗むにしても、現在の所在と現物の確認をしなくてはならない。
「怪盗が盗みに失敗することほど間抜けなことはないで。きっちり入念にいかんとな~」
特に、明らかにそのまま触ったら呪われそうな物もある。それらの対策も考えながら、リンディエールは完成した地図片手に、聖皇国内を歩き回っていた。
もちろん、誰かに見つかるなんてヘマはしていない。ゲーム感覚でなるべく転移せずに人を避けるようにして、本番の練習中だ。
「隠し部屋が多いんは、有り難いことやなあ」
見つけた隠し部屋も利用していた。いざ本番となった時には、隠し部屋は恐らく、こちらでは使えない。待ち伏せなどに使われる可能性が高いが、場所をしっかり把握していれば問題はない。
「使える時は使わんとなっ。さてと、今日中にあと二つは見つけたいところや」
神に盗って来るように言われた内の『穢れた王冠(②)』と『隷属の香石(④)』は皇王宮と呼ばれる国の中心となる神殿の地下宝物庫で確認出来た。
これ以降、動かされても場所が分かるよう、発信機としてヒストリアが作ってくれた魔導具も取り付けてある。
どうも、ヒストリアに見せたスパイ映画や、探偵もののアニメで学び、色々とサポートアイテムを作っているようなのだ。衣装にも何やら仕掛けを施すと言っていた。
ヒストリアはかなり拘る所はとことん拘るので、今回もどうなるか不安と期待が半々というところ。
発信機は、保管箱に取り付けたが、二つとも中身を出して移動させることはまずないだろうと予想してのことだ。
「宝玉があるとすれば、大事な祭壇とかか? 杖は教皇が持っとる可能性大やな。まったく、どこに居るん? 教皇が王宮に居らんって、どうゆうことやねん!」
何度かその教皇らしき者の部屋は確認した。可能な限り、使い魔も張り付けた。しかし、それでも一度もその姿を確認できていないのだ。
「ってか、神もどこにあるかヒントくらい出しい!」
協力しろよとステータスを開く。
----------
えー!
答え聞くとか
ズルくない!?
----------
これに、念じながら応える。既に、これで会話できるのは確認済みだ。
(答えやない! ヒントや!)
そこでリンディエールは思った。この神ならば、知っていたら、ちょっとは言うのではないか。喋りたくてウズウズしそうだ。勿体ぶって、ほんの少しのヒントをもっともらしく、神託らしく言いそうだ。それがないということはまさかと思った。
(まさか、どこにあるか知らんとか、ないよな?)
----------
うっ(~_~;)
【チャットを終了します(汗)!】
----------
「……マジかい……」
分かりやすく逃げられた。
「はあ……しゃあ~ない」
諦めて捜索を開始した。
そこで、地図を見ていて不意に気になる部分を見つけた。
「あ、地下やない。監禁するなら……上もありか」
リンディエールは、後ろめたい所は全部、地下へ隠すものだと思い込んでいた。
塔は三つ。
それほど重要なものはないと思い、中に居た人の確認をしていなかった。
「確か……一人中に居ったな。寝とるやつが……」
三つの内、一つには人が居たのを覚えている。病人らしい初老の男性が寝ていたはずだ。
「……まさか、あれが教皇やったり……せんよな……」
屋台の上に転移する。そして、三つの塔の中の気配を探る。
「ん? 一人増えとる……」
空だった一つの塔に、人の気配が一つ。
「あはは……これが召喚された子やったりして……」
そちらが気になり、そろっと塔の小さな窓から中を覗き込んだ。
そこに居たのだ。
黒髪の中学生くらいの女子が。
----------
【覚書】
①幸運転化の宝玉
②穢れた王冠(発見!)
③召喚の杖
④隷属の香石(発見!)
⑤召喚された異世界人一人(発見?)
----------
**********
読んでくださりありがとうございます◎
一週空きます!
よろしくお願いします◎
「怪盗が盗みに失敗することほど間抜けなことはないで。きっちり入念にいかんとな~」
特に、明らかにそのまま触ったら呪われそうな物もある。それらの対策も考えながら、リンディエールは完成した地図片手に、聖皇国内を歩き回っていた。
もちろん、誰かに見つかるなんてヘマはしていない。ゲーム感覚でなるべく転移せずに人を避けるようにして、本番の練習中だ。
「隠し部屋が多いんは、有り難いことやなあ」
見つけた隠し部屋も利用していた。いざ本番となった時には、隠し部屋は恐らく、こちらでは使えない。待ち伏せなどに使われる可能性が高いが、場所をしっかり把握していれば問題はない。
「使える時は使わんとなっ。さてと、今日中にあと二つは見つけたいところや」
神に盗って来るように言われた内の『穢れた王冠(②)』と『隷属の香石(④)』は皇王宮と呼ばれる国の中心となる神殿の地下宝物庫で確認出来た。
これ以降、動かされても場所が分かるよう、発信機としてヒストリアが作ってくれた魔導具も取り付けてある。
どうも、ヒストリアに見せたスパイ映画や、探偵もののアニメで学び、色々とサポートアイテムを作っているようなのだ。衣装にも何やら仕掛けを施すと言っていた。
ヒストリアはかなり拘る所はとことん拘るので、今回もどうなるか不安と期待が半々というところ。
発信機は、保管箱に取り付けたが、二つとも中身を出して移動させることはまずないだろうと予想してのことだ。
「宝玉があるとすれば、大事な祭壇とかか? 杖は教皇が持っとる可能性大やな。まったく、どこに居るん? 教皇が王宮に居らんって、どうゆうことやねん!」
何度かその教皇らしき者の部屋は確認した。可能な限り、使い魔も張り付けた。しかし、それでも一度もその姿を確認できていないのだ。
「ってか、神もどこにあるかヒントくらい出しい!」
協力しろよとステータスを開く。
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えー!
答え聞くとか
ズルくない!?
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これに、念じながら応える。既に、これで会話できるのは確認済みだ。
(答えやない! ヒントや!)
そこでリンディエールは思った。この神ならば、知っていたら、ちょっとは言うのではないか。喋りたくてウズウズしそうだ。勿体ぶって、ほんの少しのヒントをもっともらしく、神託らしく言いそうだ。それがないということはまさかと思った。
(まさか、どこにあるか知らんとか、ないよな?)
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うっ(~_~;)
【チャットを終了します(汗)!】
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「……マジかい……」
分かりやすく逃げられた。
「はあ……しゃあ~ない」
諦めて捜索を開始した。
そこで、地図を見ていて不意に気になる部分を見つけた。
「あ、地下やない。監禁するなら……上もありか」
リンディエールは、後ろめたい所は全部、地下へ隠すものだと思い込んでいた。
塔は三つ。
それほど重要なものはないと思い、中に居た人の確認をしていなかった。
「確か……一人中に居ったな。寝とるやつが……」
三つの内、一つには人が居たのを覚えている。病人らしい初老の男性が寝ていたはずだ。
「……まさか、あれが教皇やったり……せんよな……」
屋台の上に転移する。そして、三つの塔の中の気配を探る。
「ん? 一人増えとる……」
空だった一つの塔に、人の気配が一つ。
「あはは……これが召喚された子やったりして……」
そちらが気になり、そろっと塔の小さな窓から中を覗き込んだ。
そこに居たのだ。
黒髪の中学生くらいの女子が。
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【覚書】
①幸運転化の宝玉
②穢れた王冠(発見!)
③召喚の杖
④隷属の香石(発見!)
⑤召喚された異世界人一人(発見?)
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一週空きます!
よろしくお願いします◎
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