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第一章
002 女領主
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2018. 10. 1
**********
そこでは、必死に生へとしがみ付き、無力な民を守ろうとする者達の声が響いていた。
「おいッ。そっちに行ったぞっ!」
「領門に入れるな! 門を閉じろッ」
「叉獅様! 向こうからも来ます! 応援をッ……!」
「ばかやろう!! 大門は今開けらんねぇっ。逃げ腰になんなっ。それでも、この国最強の領軍か!」
闘う兵達は、くじけそうになる心を戒め、再び数を増した妖魔へと向かっていった。
大の大人の胸の高さまで体高のある大きな獣、アルズだ。一体でも、強い脚力による素早さと、大きな牙や爪によって倒すのが困難な強敵だ。今回はよりにもよってそんなアルズが計七体、この葉月領の領門の手前に迫っていた。
「ッ……門を跳び越える気だッ」
「っ急げッッ!」
一体のアルズが、勢いを付けて門へ向かって走り出していくのを、人がどう足掻いた所で止められるものではなかった。
誰もがその先の未来を想像して青くなった。門の中の無力な民達が、無惨に喰われる様を夢想する。
一瞬、時が止まったように、兵達は皆、絶望に捕われた。
《グガァァッ!!……》
しかし、響いてきた断末魔の声に現実に引き戻される。次の瞬間、兵達は喜びに打ち震えた。
「っ……樟嬰様っ……」
口々にその名を呟き、高い門の上に立つ小柄な人影を振り仰いだ。
「もたもたするなッ愚図共ッ。さっさと残りを始末しろッ」
響き渡る少女の怒号に、何故か感激する兵達。尊敬する自分達の領主が鼓舞するのを聞き、歓喜した。彼らは先程とは違い生気を取り戻した顔を再び妖魔達へ向ける。
「俺っ……怒られんの久しぶりだ……っ」
「俺もっ。よっし、やったるぞッッ! かかって来いやぁッ!!」
「ズリィッッ! こっちも行くぜッ」
怒られて何故かおかしな気合いの入った兵達は、それまでと打って変わって、素晴らしい戦果を上げていく。
「オラァァァ。こっちもいくぞッ」
短槍を鮮やかに扱い、一気に攻めていく領軍の将である叉獅はもう手のつけようがなかった。
一方の樟嬰は、己が点けた火を知ってか知らずか、呆れながらも呑気に見物に回っていた。
「初めっからこれくらい本気でやれば良いものを……」
それまでの浮足立った兵達とは別人のような働きっぷりにため息をつく。
「貴女が中々顔を出さないから、気が緩んでるんですよ」
「っそれは……すまん……と言うか何でお前がここに居るんだ? 朶輝」
領城に居るはずの側近が隣に立つのを不思議に思って声をかけた。
「貴女と叉獅を迎えに来ました。大領主会が開かれます。急ぎ、御仕度ください」
穏やかな顔で領主の副官である朶輝がそう告げたのだった。
◆ ◆ ◆
この国の中心にある空高く建てられた塔のような城。
そこには、空民と呼ばれる者達が住んでいる。
空民は、多くの知識を要し、時にはどこに妖魔が出現したのかをいち早く察知したり、特別に組織した軍を率いて殲滅する役目を担っている。
民達は彼らを俗に『守護者』と呼んで敬っていた。
「よくぞお集まりくだされた領主の方々。まずは急な御足労をおかけしました事、お詫び申し上げる」
そう言って深々と頭を下げたのは、空民の首である閻黎大老師だ。
決してその先老いることのない天臣となったのが八十五の時であったが、かくしゃくとして豊富な知識を持ち、老師と呼ぶに相応しい風格を持っている。
「さて、今回お集まりいただいたのは、この国の危機を悟ったからでごさいます」
ザワザワと会議場が震えだす。彼の言葉に嘘や冗談は入らない。言葉通りの意味だからこそ、その真実が恐怖となる。
「お静まりくださいませ……」
完全に我を忘れて騒ぎだした領主やお付きの者達は、恐慌状態に陥っていた。空民が国の危機というくらいだ。身に危険が及ぶ事態に外ならない。
樟嬰は、騒がしくなった様子に苛立ちを募らせる。ほとんどの領主が、自領の民達の心配ではなく、自分たちの身の安全を優先しようとしているのが分かったからだ。
危機を感じ、自身の身を優先するのは仕方のないこととはいえ、もっと冷静になれと思うのは当然だった。
「……うるさいな……」
「……樟嬰様……っ」
「喚き散らすジジイ共にはウンザリだ……【風舞】」
樟嬰は、軽く指を鳴らすと共に、呟くように唱えた。すると、一陣の風が踊るように領主席を駆け抜ける。
奇妙な現象に、揃って皆が口を閉ざした。
「ざまぁみろ」
「樟嬰様っ」
小さく窘める朶輝を無視して、樟嬰は何事もなかったように声を上げた。
「大老師。続きをお願いいたします」
「っ……では……この国が降下を始めました」
「降下だと!?」
誰かが青ざめ、動揺する声が虚しく響く。
「ご存知の通り、この国は世界を漂う船です。界層は最上界の神族の住まう皇龍界を入れて十二界。下層界に行く程、有毒な瘴気を吐き、人を喰らう妖魔が増えます。この鐘国は、既に第二界に達しております。この先、更に妖魔の出現も増えるでしょう」
これを聞いた領主達が騒ぎ出す。このままでは収拾が付かなくなる。そう判断した樟嬰は努めて冷静な声を響かせた。
「老師、最下界に到達するまではまだ時間があるのではありませんか? 私の知る限り、第二界から下の界に降りるまでの時間は、他界の二倍から三倍はかかるとか……それにまだ踏み留まれる余地はあるはずです」
「はい……ですから皆様……どうか、お力をお貸しくださいませ」
深く深く嘆願するように閻黎大老師は頭を下げた。愛する国の未来を想ってーー
◆ ◆ ◆
領主達はそれぞれの領に戻っていく。降下の要因を突き止め打開策を考じ、三日後に再び会を開くとの事で今回はお開きとなった。
「樟嬰様。少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」
閻黎にそう声を掛けられたのは、殆どの領主がこの場から立ち去った頃だった。樟嬰は、毎度のように最後まで残り、領官達に今後の対応について指示を出していた。
樟嬰は人混みが嫌いで、こうして落ち着いて動けるようになるまで待ったとしても、大して時間に差異はないと思っている。
領地である葉月の領は最先端。最もこの場から遠いこともあり、待つ間に領に帰ってからの動きの指示を先に出しておくことで、移動しながら部下達もその下への指示をまとめることができると考えてのことだ。
「はい。これらはどうしましょう」
呼んでいるのは、どうやら樟嬰だけのようだと察しながらも配下を示して尋ねる。
「そうですね……ご一緒でも構いませんが……わたくしの室まで御足労いただけますかな」
わざわざ彼の自室へ招かれるほどの大事。ならばやはりあまり人数は連れて行かない方が良さそうだ。
「わかりました。では、数人は先に帰させていただきます。側近の二人と参りましょう。御前で失礼いたします……お前達は先程指示した通りに! 報告は忘れるなっ。確実な動きを見出だすまで勝手に動いてはならぬ。お前達の犠牲で降下を確実なものとする事だけはないよう慎重に事を進めよ! 行け!!」
「「「ハッ」」」
キレの良い返事と共に礼をして素早く場を後にする数人の領官を見送り、閻黎へと向き直る。残っているのは、側近である副官の朶輝と領軍将である叉獅だけだ。
「お待たせいたしました」
「いえ。では、参りましょうか」
今まさに大事が迫っているとは感じさせないような口調でピッタリと手に馴染んでいる杖を一定のテンポで打ちながら室へと導いていく閻黎に続く。
「あなたは昔から変わりませんな。七年前、初めて領主会でお会いした時は目を疑いました。十二歳程の女の子が青年や大人の男を従えて領主席に深々と座り、老練な他の領主達を圧倒する風格を持って私を真っ直ぐに見据えておられた……あれは生まれ出でて初めて冷たい聖水を頭からかぶったような衝撃でした」
閻黎は声音に懐かしいという思いを滲ませていた。これに苦笑し、あの頃のことを思い出す。
「買い被り過ぎです。あの日私はとんだ誤算をしたと一生分の後悔をしておりました」
「ほぅ。それはまた興味深いお言葉だ。よろしければお聞かせ願えますかな?」
苦笑いを浮かべながらあの時の心情を口にした。
「面白くもない話です。ただ憂さ晴らしに家を抜け出し、たまたま出会った領の荒事に面白半分に首を突っ込み、勢いて片付けてしまったあげく、これまた、たまたま空席だった領主の座にポンと座らされてしまったのです」
「はっはっは。それはまた災難でございましたなぁ」
「まったくです」
「樟嬰様っ……」
「事実だ」
苦い物を飲むような顔をする朶輝と叉獅が可笑しくて廊下には老師と二人笑う声が響いた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、明日2日です。
よろしくお願いします◎
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そこでは、必死に生へとしがみ付き、無力な民を守ろうとする者達の声が響いていた。
「おいッ。そっちに行ったぞっ!」
「領門に入れるな! 門を閉じろッ」
「叉獅様! 向こうからも来ます! 応援をッ……!」
「ばかやろう!! 大門は今開けらんねぇっ。逃げ腰になんなっ。それでも、この国最強の領軍か!」
闘う兵達は、くじけそうになる心を戒め、再び数を増した妖魔へと向かっていった。
大の大人の胸の高さまで体高のある大きな獣、アルズだ。一体でも、強い脚力による素早さと、大きな牙や爪によって倒すのが困難な強敵だ。今回はよりにもよってそんなアルズが計七体、この葉月領の領門の手前に迫っていた。
「ッ……門を跳び越える気だッ」
「っ急げッッ!」
一体のアルズが、勢いを付けて門へ向かって走り出していくのを、人がどう足掻いた所で止められるものではなかった。
誰もがその先の未来を想像して青くなった。門の中の無力な民達が、無惨に喰われる様を夢想する。
一瞬、時が止まったように、兵達は皆、絶望に捕われた。
《グガァァッ!!……》
しかし、響いてきた断末魔の声に現実に引き戻される。次の瞬間、兵達は喜びに打ち震えた。
「っ……樟嬰様っ……」
口々にその名を呟き、高い門の上に立つ小柄な人影を振り仰いだ。
「もたもたするなッ愚図共ッ。さっさと残りを始末しろッ」
響き渡る少女の怒号に、何故か感激する兵達。尊敬する自分達の領主が鼓舞するのを聞き、歓喜した。彼らは先程とは違い生気を取り戻した顔を再び妖魔達へ向ける。
「俺っ……怒られんの久しぶりだ……っ」
「俺もっ。よっし、やったるぞッッ! かかって来いやぁッ!!」
「ズリィッッ! こっちも行くぜッ」
怒られて何故かおかしな気合いの入った兵達は、それまでと打って変わって、素晴らしい戦果を上げていく。
「オラァァァ。こっちもいくぞッ」
短槍を鮮やかに扱い、一気に攻めていく領軍の将である叉獅はもう手のつけようがなかった。
一方の樟嬰は、己が点けた火を知ってか知らずか、呆れながらも呑気に見物に回っていた。
「初めっからこれくらい本気でやれば良いものを……」
それまでの浮足立った兵達とは別人のような働きっぷりにため息をつく。
「貴女が中々顔を出さないから、気が緩んでるんですよ」
「っそれは……すまん……と言うか何でお前がここに居るんだ? 朶輝」
領城に居るはずの側近が隣に立つのを不思議に思って声をかけた。
「貴女と叉獅を迎えに来ました。大領主会が開かれます。急ぎ、御仕度ください」
穏やかな顔で領主の副官である朶輝がそう告げたのだった。
◆ ◆ ◆
この国の中心にある空高く建てられた塔のような城。
そこには、空民と呼ばれる者達が住んでいる。
空民は、多くの知識を要し、時にはどこに妖魔が出現したのかをいち早く察知したり、特別に組織した軍を率いて殲滅する役目を担っている。
民達は彼らを俗に『守護者』と呼んで敬っていた。
「よくぞお集まりくだされた領主の方々。まずは急な御足労をおかけしました事、お詫び申し上げる」
そう言って深々と頭を下げたのは、空民の首である閻黎大老師だ。
決してその先老いることのない天臣となったのが八十五の時であったが、かくしゃくとして豊富な知識を持ち、老師と呼ぶに相応しい風格を持っている。
「さて、今回お集まりいただいたのは、この国の危機を悟ったからでごさいます」
ザワザワと会議場が震えだす。彼の言葉に嘘や冗談は入らない。言葉通りの意味だからこそ、その真実が恐怖となる。
「お静まりくださいませ……」
完全に我を忘れて騒ぎだした領主やお付きの者達は、恐慌状態に陥っていた。空民が国の危機というくらいだ。身に危険が及ぶ事態に外ならない。
樟嬰は、騒がしくなった様子に苛立ちを募らせる。ほとんどの領主が、自領の民達の心配ではなく、自分たちの身の安全を優先しようとしているのが分かったからだ。
危機を感じ、自身の身を優先するのは仕方のないこととはいえ、もっと冷静になれと思うのは当然だった。
「……うるさいな……」
「……樟嬰様……っ」
「喚き散らすジジイ共にはウンザリだ……【風舞】」
樟嬰は、軽く指を鳴らすと共に、呟くように唱えた。すると、一陣の風が踊るように領主席を駆け抜ける。
奇妙な現象に、揃って皆が口を閉ざした。
「ざまぁみろ」
「樟嬰様っ」
小さく窘める朶輝を無視して、樟嬰は何事もなかったように声を上げた。
「大老師。続きをお願いいたします」
「っ……では……この国が降下を始めました」
「降下だと!?」
誰かが青ざめ、動揺する声が虚しく響く。
「ご存知の通り、この国は世界を漂う船です。界層は最上界の神族の住まう皇龍界を入れて十二界。下層界に行く程、有毒な瘴気を吐き、人を喰らう妖魔が増えます。この鐘国は、既に第二界に達しております。この先、更に妖魔の出現も増えるでしょう」
これを聞いた領主達が騒ぎ出す。このままでは収拾が付かなくなる。そう判断した樟嬰は努めて冷静な声を響かせた。
「老師、最下界に到達するまではまだ時間があるのではありませんか? 私の知る限り、第二界から下の界に降りるまでの時間は、他界の二倍から三倍はかかるとか……それにまだ踏み留まれる余地はあるはずです」
「はい……ですから皆様……どうか、お力をお貸しくださいませ」
深く深く嘆願するように閻黎大老師は頭を下げた。愛する国の未来を想ってーー
◆ ◆ ◆
領主達はそれぞれの領に戻っていく。降下の要因を突き止め打開策を考じ、三日後に再び会を開くとの事で今回はお開きとなった。
「樟嬰様。少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」
閻黎にそう声を掛けられたのは、殆どの領主がこの場から立ち去った頃だった。樟嬰は、毎度のように最後まで残り、領官達に今後の対応について指示を出していた。
樟嬰は人混みが嫌いで、こうして落ち着いて動けるようになるまで待ったとしても、大して時間に差異はないと思っている。
領地である葉月の領は最先端。最もこの場から遠いこともあり、待つ間に領に帰ってからの動きの指示を先に出しておくことで、移動しながら部下達もその下への指示をまとめることができると考えてのことだ。
「はい。これらはどうしましょう」
呼んでいるのは、どうやら樟嬰だけのようだと察しながらも配下を示して尋ねる。
「そうですね……ご一緒でも構いませんが……わたくしの室まで御足労いただけますかな」
わざわざ彼の自室へ招かれるほどの大事。ならばやはりあまり人数は連れて行かない方が良さそうだ。
「わかりました。では、数人は先に帰させていただきます。側近の二人と参りましょう。御前で失礼いたします……お前達は先程指示した通りに! 報告は忘れるなっ。確実な動きを見出だすまで勝手に動いてはならぬ。お前達の犠牲で降下を確実なものとする事だけはないよう慎重に事を進めよ! 行け!!」
「「「ハッ」」」
キレの良い返事と共に礼をして素早く場を後にする数人の領官を見送り、閻黎へと向き直る。残っているのは、側近である副官の朶輝と領軍将である叉獅だけだ。
「お待たせいたしました」
「いえ。では、参りましょうか」
今まさに大事が迫っているとは感じさせないような口調でピッタリと手に馴染んでいる杖を一定のテンポで打ちながら室へと導いていく閻黎に続く。
「あなたは昔から変わりませんな。七年前、初めて領主会でお会いした時は目を疑いました。十二歳程の女の子が青年や大人の男を従えて領主席に深々と座り、老練な他の領主達を圧倒する風格を持って私を真っ直ぐに見据えておられた……あれは生まれ出でて初めて冷たい聖水を頭からかぶったような衝撃でした」
閻黎は声音に懐かしいという思いを滲ませていた。これに苦笑し、あの頃のことを思い出す。
「買い被り過ぎです。あの日私はとんだ誤算をしたと一生分の後悔をしておりました」
「ほぅ。それはまた興味深いお言葉だ。よろしければお聞かせ願えますかな?」
苦笑いを浮かべながらあの時の心情を口にした。
「面白くもない話です。ただ憂さ晴らしに家を抜け出し、たまたま出会った領の荒事に面白半分に首を突っ込み、勢いて片付けてしまったあげく、これまた、たまたま空席だった領主の座にポンと座らされてしまったのです」
「はっはっは。それはまた災難でございましたなぁ」
「まったくです」
「樟嬰様っ……」
「事実だ」
苦い物を飲むような顔をする朶輝と叉獅が可笑しくて廊下には老師と二人笑う声が響いた。
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次回、明日2日です。
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