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第七章 秘伝と任されたもの
375 別の業界の仕事
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土地神への挨拶と、楽譜の作成は律音達に任せるとして、高耶はあの地に封じられているものについて調べることにした。しかし、早々に問題に頭を悩ませることになる。
「……どこの家も知らないとか……どうなってるんだ?」
連盟への問い合わせに対して、返ってきた答えは、該当案件ゼロというものだった。過去に浄化したものがあるという報告も調べてもらったが、これもなしだった。
大学の図書館で、レポートの仕上げをしている時だ。頭の中でまとまりかけていた言葉は、あっけなく霧散した。
「こんなことあるのか……?」
術者達は、自身の功績を隠したりしない。ただでさえ、一般には視えないものを相手にする仕事だ。その成果を認めてもらえる機会は少ない。よって、武勇伝ではないが、必要以上に報告する傾向があった。
「報告しない謙虚な奴がいたとか……? いや、封印しただけの場合は、報告義務があるし……」
封印とはいずれ解けるものだ。だから、絶対的に報告する必要がある。絶対的な自信があったとしても、そうした自信を持っている者は、特に報告するだろう。
「直接行って探るしかないのか……」
高耶の存在は悪い影響を与えていることはなかったが、探り、近付くのは今までとは違う。術者が触れるだけで、術によっては、封印術に影響を与えかねないのだ。あくまでも、高耶の神気によってその封印術に影響している土地神の力が活性化しているだけなのだ。触れてどうなるかは、予想できなかった。
だからこそ、先にどの系統の術なのかを知るためにも誰の封印術なのかを知る必要があった。
頭を抱える高耶の下に、資料の確認に来たのか、雛柏教授が嬉しそうに近付いてきた。
「どうしたの? 分からない所でもあった?」
「あ、いえ……少し仕事の方で困っていまして……」
「へえ。何? 何があったの?」
隣に座り、嬉しそうに問いかけてきた。それに苦笑しながら事情を話す。
「まさか、連盟の方に記録がないとは思わなくて」
「なるほどねえ。ん~……それって、連盟に所属していない家の仕業かもってことだよね?」
「仕業……ええ。まあ……」
「そこって、特殊な神木とかある?」
「元ですけど。その力が弱って表に出てきた可能性が……」
「なら、連盟の術者じゃなくて、純粋な神職の人がしたことかもよ?」
「っ、あ……」
術者として、妖に対応する裏を担当する連盟関係の家ではなく、表立ってお祓いなどをする神職者は、当然系統が別ということで、連盟に登録されていない家が多い。
「よかったら、こっちで聞いてみようか? 神職関係の方に詳しい知り合いがいるんだよ」
「っ、いいんですか?」
「もちろんっ。頼ってもらえるのは嬉しいからねっ」
「是非、お願いします」
「任せなさいっ」
そうして、雛柏教授の伝手を辿ってもらったのだ。しかし、心配もあった。連盟の術者を嫌う神職関係者がいるのだ。その理由は様々で、自分たちが視えないのに、神と関係を持つ事が気に入らないと言う者や、妖なんてものはいない、詐欺だと主張する視えない者達が一番厄介だった。
「面倒なことにならないといいけど……」
そうした事情もあり、神職関係者とは昔からの付き合いがない限りは関わらないという術者は多い。
数日後、不安に思いながらも、その場所の封印術に覚えがあるとの回答をくれた人に、会える事になった。
その報告を連盟に上げた高耶の元に、達喜が同席するとの連絡が来たのが、面会の前日だった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
「……どこの家も知らないとか……どうなってるんだ?」
連盟への問い合わせに対して、返ってきた答えは、該当案件ゼロというものだった。過去に浄化したものがあるという報告も調べてもらったが、これもなしだった。
大学の図書館で、レポートの仕上げをしている時だ。頭の中でまとまりかけていた言葉は、あっけなく霧散した。
「こんなことあるのか……?」
術者達は、自身の功績を隠したりしない。ただでさえ、一般には視えないものを相手にする仕事だ。その成果を認めてもらえる機会は少ない。よって、武勇伝ではないが、必要以上に報告する傾向があった。
「報告しない謙虚な奴がいたとか……? いや、封印しただけの場合は、報告義務があるし……」
封印とはいずれ解けるものだ。だから、絶対的に報告する必要がある。絶対的な自信があったとしても、そうした自信を持っている者は、特に報告するだろう。
「直接行って探るしかないのか……」
高耶の存在は悪い影響を与えていることはなかったが、探り、近付くのは今までとは違う。術者が触れるだけで、術によっては、封印術に影響を与えかねないのだ。あくまでも、高耶の神気によってその封印術に影響している土地神の力が活性化しているだけなのだ。触れてどうなるかは、予想できなかった。
だからこそ、先にどの系統の術なのかを知るためにも誰の封印術なのかを知る必要があった。
頭を抱える高耶の下に、資料の確認に来たのか、雛柏教授が嬉しそうに近付いてきた。
「どうしたの? 分からない所でもあった?」
「あ、いえ……少し仕事の方で困っていまして……」
「へえ。何? 何があったの?」
隣に座り、嬉しそうに問いかけてきた。それに苦笑しながら事情を話す。
「まさか、連盟の方に記録がないとは思わなくて」
「なるほどねえ。ん~……それって、連盟に所属していない家の仕業かもってことだよね?」
「仕業……ええ。まあ……」
「そこって、特殊な神木とかある?」
「元ですけど。その力が弱って表に出てきた可能性が……」
「なら、連盟の術者じゃなくて、純粋な神職の人がしたことかもよ?」
「っ、あ……」
術者として、妖に対応する裏を担当する連盟関係の家ではなく、表立ってお祓いなどをする神職者は、当然系統が別ということで、連盟に登録されていない家が多い。
「よかったら、こっちで聞いてみようか? 神職関係の方に詳しい知り合いがいるんだよ」
「っ、いいんですか?」
「もちろんっ。頼ってもらえるのは嬉しいからねっ」
「是非、お願いします」
「任せなさいっ」
そうして、雛柏教授の伝手を辿ってもらったのだ。しかし、心配もあった。連盟の術者を嫌う神職関係者がいるのだ。その理由は様々で、自分たちが視えないのに、神と関係を持つ事が気に入らないと言う者や、妖なんてものはいない、詐欺だと主張する視えない者達が一番厄介だった。
「面倒なことにならないといいけど……」
そうした事情もあり、神職関係者とは昔からの付き合いがない限りは関わらないという術者は多い。
数日後、不安に思いながらも、その場所の封印術に覚えがあるとの回答をくれた人に、会える事になった。
その報告を連盟に上げた高耶の元に、達喜が同席するとの連絡が来たのが、面会の前日だった。
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読んでくださりありがとうございます◎
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