38 / 75
038 まさか炙り出しを?
しおりを挟む
とりあえず聡には帰ってから問い詰めるとして、気になっていたことを確認する。
「ところでコルト……この教会には大司教がいらっしゃるはずだけど、挨拶しなくていいのかしら? 許可もなくこんな奥まで入ってきてしまったけど大丈夫なの?」
この国には現在、二人の大司教がいる。一人はいわずと知れた王都のヘンゼ大司教。そして、もう一人がこのシェンカ領都にいた。
この場には聖女であるシュリアスタはもちろん、大聖国のミーヤ大司教までもいるのだ。本来ならば、この教会の大司教や司教が対応すべき相手だろう。
だが、神官やシスター達の姿は見たのだが、話たのはここまでコルトだけだ。そして、これだけ時間が経っても誰もこの部屋に来ない。
「あ、言ってなかったね。この教会の前の大司教様は半年前に別の教会に移られたんだ。今は僕がこの教会の代表になってる」
「でも、コルトは司祭だったわよね?」
教会の代表は司教又は大司教のはずだ。
「うん。実は司教になる資格は既に持ってたんだ。規定の三つの推薦ももらってた。けど、トブラン司教が許さなかったんだ」
司教になるには、それなりの実績がなくてはならない。そして、推薦も必要だ。
コルトは実績が十分にあった。しかし、絶対に必要となる司祭として補佐する司教からの推薦がどうしてももらえなかったのだ。
「フレアと北へ向かう時。もし生きて帰ってきたなら司教として認めるって誓約書をトブラン司教からもらってたんだよ。他の付いてきた神官達も何人か司祭になる許可もついでにね」
神官だからこそ、北の大地の瘴気が簡単には浄化できないと分かっていた。今の腹黒さは別にして、トブラン司教はちゃんと司教としての実力はある。
帰還は絶望的だと彼も思っていたのだろう。何より、フレアの力を侮っていた。
異世界の聖女やレストールさえ、戻って来ないならそれでも構わないと思っていたのだろう。確認してはいないが、トブラン司教があの禁忌とされる術を神官や魔術師達に教えたことに関わっていた可能性もある。
「戻って来てすぐに司教と認めてもらってここに来たんだ。先ずはフレアのことを、直接シェンカ辺境伯に報告しようと思って」
「そう……ここに来るまで何もなかった?」
トブラン司教としては、気に入らないはずだ。予想に反して北から帰還し、止めていた司教資格を与えることになってしまったのだから。
その上にもっと気に入らないフレアリールの故郷であるシェンカ辺境伯領への異動。
道中何もないなんてことは考えられなかった。
「ふふっ。あったよ? けど、こっちにはリガル殿達もいたからね。それに、僕らもそれなりに戦える。だから、ついでに他のここまでの教会を精査して回ったんだ」
コルトはいい笑顔で答えた。黒い何かが見えるようだ。
一方これを聞いて、ギルセリュートが何かに思い当たった。
「なるほど。それが一年前の神官達の摘発か」
「摘発? コルト……まさか炙り出しを?」
フレアリールは可能性として予想していたことを口にする。
天使のような見た目で、コルトは意外と腹黒いことを平気でやる。
リガルのような魔術師達が同行していたとしても、手足が使えない状態での旅は時間がかかっただろう。その上、今は大丈夫でも当初は上手く魔術が使えなかったはずだ。
ただ、コルトをはじめとしたフレアリールを慕う若い神官達は、神聖魔術の高い素質もさる事ながら、それなりに武器を持って戦えるように仕込んでいた。
北の大地にも、足手まといにはならないという判断で連れて行ったのだから。
そんな実力もあり、コルト達は今まで大人しくしてはいても、実はかなりの武闘派。荒事も結構好きなタイプだ。はっきりと敵対したなら、遠慮なくやれると判断したとしても不思議ではない。
コルトは楽しそうに頷いた。
「どこの教会の誰が繋がってるのかを知るのに良い機会だったからね~。わざと寝込みを襲いやすくしてやったり、リガル殿達が不調だと分かりやすく装ったりしたら、綺麗にもれなく釣れたよ♪」
その時のことを思い出したのか、凄くいい笑顔だ。もう、何というか清々しいほど腹黒い。何一つ隠していないのだ。悪いと思っていない。これが司教でいいのだろうか。
ギルセリュートが目を細めてフレアリールを見る。『こんなやつに誰がしたのか』と責めるように。
「……フレア……」
「た、確かに技は仕込んだけど、好戦的なのは私のせいじゃ……」
コルトがこうなのは性格だと思う。だが、これを聞くと一緒にいただろう神官達も問題なく参加していそうだ。そうなると、やはり戦う手段を与えてしまったフレアリールのせいとも言えなくもない。
ギルセリュートは当時の状況を思い出す。
「王都の南側の教会が軒並み人員不足になったらしいが、それが君の仕業だと?」
「そうなるね。半分くらい兵に引き渡したかな。それも司教権限で神官の資格剥奪も言い渡してね。これが出来るから司教になったようなものだよ」
「そんな簡単に司教一人の一存だけで剥奪できるものではないでしょう?」
これが通ってしまったら、もっと王都の教会は黒く淀んだ歪なところになっていただろう。コルトは上手くやるとしても、多くの神官達が辞めさせられていたはずだ。それこそフレアリールを認める者が誰もいなくなるほど。
「もちろん。ちゃんとした証拠がないとね。そこはリガル殿達が地道に集めてくれたよ。魔術師の世界って、結構殺伐としてるっていうのかな? 異様に情報収集が上手かったよ。裏に繋がりも持ってたみたいだね」
それなりに誰が王都の司教達と繋がっているのかを下調べして、襲撃に備えていたようだ。
ならばどこからそんな情報を集められたか。心当たりが一つある。
「……ギル」
「ああ……割の良いバイトだと師匠も出かけていた。私もいくつか受けたな。あの辺りのは間違いない」
「そう……」
ギルセリュートや聡のように、裏で情報を集めたり、時に暗殺したりする仕事を請け負う組織が一つある。
「リガル殿は『闇ギルド』に依頼できる伝手を持ってるのね。さすがは次期魔術師長候補だっただけはあるわ」
伝手がなければその存在さえ認知されず、利用することはできない。その上、かなり支払う報酬も高いのだ。利用できる者は本当に限られてくる。
「交渉は全部リガル殿が?」
「うん。それくらいは任せて欲しいって言われてね。なんか借りはそれなりにあるからって」
フレアリールが考え込むように表情をしかめると、コルトが首を傾げる。何を心配しているのかと不思議に思っているようだ。
「ギル、大丈夫だと思う?」
「あの内容と報酬額だと、それほど高額な支払いではないはずだ。リスクも少ない。それに、調べた内容もそれほど大したものではないんだ。おそらく、裏取りに使っただけだ。あれだけで捕縛や神官資格の剥奪は難しい」
「そう……一応は後で確認しようかしら。まあ、お兄様が気付かないはずはないから大丈夫だと思うけど」
リガルは思いの外、フレアリールのことでかなり重く責任を感じていたのかもしれない。
「フレア、何が気になったの?」
「そうね。リガル殿が全財産をそれに注ぎ込んだかもしれないなって思ったの」
「あ~……そういえば『ケジメも必要なので』って言ってた。『もう王都の屋敷とかも必要ないですし』とも」
これは間違いなく全財産使うつもりで動いていただろう。
「あの人達。フレアにしたこと、すごい反省してたからね」
「……よく許したな。結果的には生きているとはいえ、フレアを殺した奴らだろう」
ギルセリュートは、コルトのフレアリールへの慕い様を見て疑問に思っていたようだ。よく同行を許したものだと。
「だって、フレアが生かした人達だもの。いくら殺したくってもできないよ。それに、反省してるのは分かったからね。何より、あの人達もトブラン司教とかに騙されてたわけだし」
「なるほど……君がやっと司教らしく思えた」
「それはどうも」
どれほどの極悪人が相手であっても冷静に判断できる。それは司教として必要な素質だ。若く私情に走るようにしか思えないが、ちゃんとその資格はあるらしいとギルセリュートは少しだけほっとしたようだった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
2019. 5. 17
「ところでコルト……この教会には大司教がいらっしゃるはずだけど、挨拶しなくていいのかしら? 許可もなくこんな奥まで入ってきてしまったけど大丈夫なの?」
この国には現在、二人の大司教がいる。一人はいわずと知れた王都のヘンゼ大司教。そして、もう一人がこのシェンカ領都にいた。
この場には聖女であるシュリアスタはもちろん、大聖国のミーヤ大司教までもいるのだ。本来ならば、この教会の大司教や司教が対応すべき相手だろう。
だが、神官やシスター達の姿は見たのだが、話たのはここまでコルトだけだ。そして、これだけ時間が経っても誰もこの部屋に来ない。
「あ、言ってなかったね。この教会の前の大司教様は半年前に別の教会に移られたんだ。今は僕がこの教会の代表になってる」
「でも、コルトは司祭だったわよね?」
教会の代表は司教又は大司教のはずだ。
「うん。実は司教になる資格は既に持ってたんだ。規定の三つの推薦ももらってた。けど、トブラン司教が許さなかったんだ」
司教になるには、それなりの実績がなくてはならない。そして、推薦も必要だ。
コルトは実績が十分にあった。しかし、絶対に必要となる司祭として補佐する司教からの推薦がどうしてももらえなかったのだ。
「フレアと北へ向かう時。もし生きて帰ってきたなら司教として認めるって誓約書をトブラン司教からもらってたんだよ。他の付いてきた神官達も何人か司祭になる許可もついでにね」
神官だからこそ、北の大地の瘴気が簡単には浄化できないと分かっていた。今の腹黒さは別にして、トブラン司教はちゃんと司教としての実力はある。
帰還は絶望的だと彼も思っていたのだろう。何より、フレアの力を侮っていた。
異世界の聖女やレストールさえ、戻って来ないならそれでも構わないと思っていたのだろう。確認してはいないが、トブラン司教があの禁忌とされる術を神官や魔術師達に教えたことに関わっていた可能性もある。
「戻って来てすぐに司教と認めてもらってここに来たんだ。先ずはフレアのことを、直接シェンカ辺境伯に報告しようと思って」
「そう……ここに来るまで何もなかった?」
トブラン司教としては、気に入らないはずだ。予想に反して北から帰還し、止めていた司教資格を与えることになってしまったのだから。
その上にもっと気に入らないフレアリールの故郷であるシェンカ辺境伯領への異動。
道中何もないなんてことは考えられなかった。
「ふふっ。あったよ? けど、こっちにはリガル殿達もいたからね。それに、僕らもそれなりに戦える。だから、ついでに他のここまでの教会を精査して回ったんだ」
コルトはいい笑顔で答えた。黒い何かが見えるようだ。
一方これを聞いて、ギルセリュートが何かに思い当たった。
「なるほど。それが一年前の神官達の摘発か」
「摘発? コルト……まさか炙り出しを?」
フレアリールは可能性として予想していたことを口にする。
天使のような見た目で、コルトは意外と腹黒いことを平気でやる。
リガルのような魔術師達が同行していたとしても、手足が使えない状態での旅は時間がかかっただろう。その上、今は大丈夫でも当初は上手く魔術が使えなかったはずだ。
ただ、コルトをはじめとしたフレアリールを慕う若い神官達は、神聖魔術の高い素質もさる事ながら、それなりに武器を持って戦えるように仕込んでいた。
北の大地にも、足手まといにはならないという判断で連れて行ったのだから。
そんな実力もあり、コルト達は今まで大人しくしてはいても、実はかなりの武闘派。荒事も結構好きなタイプだ。はっきりと敵対したなら、遠慮なくやれると判断したとしても不思議ではない。
コルトは楽しそうに頷いた。
「どこの教会の誰が繋がってるのかを知るのに良い機会だったからね~。わざと寝込みを襲いやすくしてやったり、リガル殿達が不調だと分かりやすく装ったりしたら、綺麗にもれなく釣れたよ♪」
その時のことを思い出したのか、凄くいい笑顔だ。もう、何というか清々しいほど腹黒い。何一つ隠していないのだ。悪いと思っていない。これが司教でいいのだろうか。
ギルセリュートが目を細めてフレアリールを見る。『こんなやつに誰がしたのか』と責めるように。
「……フレア……」
「た、確かに技は仕込んだけど、好戦的なのは私のせいじゃ……」
コルトがこうなのは性格だと思う。だが、これを聞くと一緒にいただろう神官達も問題なく参加していそうだ。そうなると、やはり戦う手段を与えてしまったフレアリールのせいとも言えなくもない。
ギルセリュートは当時の状況を思い出す。
「王都の南側の教会が軒並み人員不足になったらしいが、それが君の仕業だと?」
「そうなるね。半分くらい兵に引き渡したかな。それも司教権限で神官の資格剥奪も言い渡してね。これが出来るから司教になったようなものだよ」
「そんな簡単に司教一人の一存だけで剥奪できるものではないでしょう?」
これが通ってしまったら、もっと王都の教会は黒く淀んだ歪なところになっていただろう。コルトは上手くやるとしても、多くの神官達が辞めさせられていたはずだ。それこそフレアリールを認める者が誰もいなくなるほど。
「もちろん。ちゃんとした証拠がないとね。そこはリガル殿達が地道に集めてくれたよ。魔術師の世界って、結構殺伐としてるっていうのかな? 異様に情報収集が上手かったよ。裏に繋がりも持ってたみたいだね」
それなりに誰が王都の司教達と繋がっているのかを下調べして、襲撃に備えていたようだ。
ならばどこからそんな情報を集められたか。心当たりが一つある。
「……ギル」
「ああ……割の良いバイトだと師匠も出かけていた。私もいくつか受けたな。あの辺りのは間違いない」
「そう……」
ギルセリュートや聡のように、裏で情報を集めたり、時に暗殺したりする仕事を請け負う組織が一つある。
「リガル殿は『闇ギルド』に依頼できる伝手を持ってるのね。さすがは次期魔術師長候補だっただけはあるわ」
伝手がなければその存在さえ認知されず、利用することはできない。その上、かなり支払う報酬も高いのだ。利用できる者は本当に限られてくる。
「交渉は全部リガル殿が?」
「うん。それくらいは任せて欲しいって言われてね。なんか借りはそれなりにあるからって」
フレアリールが考え込むように表情をしかめると、コルトが首を傾げる。何を心配しているのかと不思議に思っているようだ。
「ギル、大丈夫だと思う?」
「あの内容と報酬額だと、それほど高額な支払いではないはずだ。リスクも少ない。それに、調べた内容もそれほど大したものではないんだ。おそらく、裏取りに使っただけだ。あれだけで捕縛や神官資格の剥奪は難しい」
「そう……一応は後で確認しようかしら。まあ、お兄様が気付かないはずはないから大丈夫だと思うけど」
リガルは思いの外、フレアリールのことでかなり重く責任を感じていたのかもしれない。
「フレア、何が気になったの?」
「そうね。リガル殿が全財産をそれに注ぎ込んだかもしれないなって思ったの」
「あ~……そういえば『ケジメも必要なので』って言ってた。『もう王都の屋敷とかも必要ないですし』とも」
これは間違いなく全財産使うつもりで動いていただろう。
「あの人達。フレアにしたこと、すごい反省してたからね」
「……よく許したな。結果的には生きているとはいえ、フレアを殺した奴らだろう」
ギルセリュートは、コルトのフレアリールへの慕い様を見て疑問に思っていたようだ。よく同行を許したものだと。
「だって、フレアが生かした人達だもの。いくら殺したくってもできないよ。それに、反省してるのは分かったからね。何より、あの人達もトブラン司教とかに騙されてたわけだし」
「なるほど……君がやっと司教らしく思えた」
「それはどうも」
どれほどの極悪人が相手であっても冷静に判断できる。それは司教として必要な素質だ。若く私情に走るようにしか思えないが、ちゃんとその資格はあるらしいとギルセリュートは少しだけほっとしたようだった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
2019. 5. 17
51
お気に入りに追加
5,273
あなたにおすすめの小説
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる