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第1章
15話
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「う……ん、はぁ、サーラ、苦しいわ。手……どけて……」
「あいにく俺はサーラという名前じゃないんだが」
ハッと気づいて体を動かそうとしたが、両手首を縛られ、更にはベッドに括りつけられたまま寝かされていた。しかも、サーラ渾身のミイラボディが全解除されている。
「きゃあーーーーっ!」
腕で胸を隠そうとしても、拘束されているので隠すこともできない。人前で、しかも男性の前で胸を晒すなんて信じられない。パニック状態で泣きながら懇願する。
「お願い、解いてよぅ、嫌だこんな格好……」
「お前が全部吐けばすぐに解放してやるよ、しっかし隠すようなモンか?」
そう言いながら、私の胸を鷲掴みにして揉んでくる。ちょっ、な、何すんのよ! 失礼でしょ! 自分でだってそんなことしたことないのにっ!
「ふざけんなっ! ドスケベの変態めっ。人の胸、気安く揉むんじゃないわよっ!」
「へぇ、抵抗するんだ。お前生意気だな、こんな格好で俺に命令とかするんだ。ほぉ、面白い」
へ? プライド刺激した? だってこんな事するのって変態だけじゃないの? 団長の目が半分座ってるし、黒い笑顔になってるんですけど……
「ご……めん、ごめんなさい。命令しませんから解放してください。ホントにこんな格好は嫌なんですって!」
「ふん、ならこれでどうだ? 俺がその貧相なもの、見なきゃいいんだろ」
私が拘束されているベッドがギシッと軋む音がする。
貧相なものって……ホンっト失礼なヤツ。
まあ、紐を解いてくれたのには感謝だけど。
ようやく両手首の拘束が外れたと思ったら、そのままベッドの上で再び両手首を封じられる。
何のことはない。ベッドに繋がれていた紐が団長の両手に代わっただけで、基本拘束されてるままだ。
しかーもー、覆い被さってのご対面ですよ。顔が近いっ、近過ぎるってばっ! 確かに胸は隠れたけど貞操の危機はほぼ一緒。
もー、いい加減許してってば。私悪くないもん。
……やっぱりちょっと悪かったかもしれない、いや、上司騙した段階でかなり悪いのか?
とりあえずダメ元で自己紹介だけしておこう。信用されるかされないかは二の次にして。
「私はニコル・テイラード、二十歳。ニコラスの二つ上の姉です。スパイでも暗殺者でもありません、お願いですから離して」
「姉、ねぇ。潜り込んだ目的を言え」
「潜り込むなんて……身がわりですよ、身がわり」
「身がわりだと?」
こうなったら処罰覚悟で正直に話すしかない。軽くため息をつきながら、喋り始めた。
近衛での勤務中、第二王女から気に入られてしまいプロポーズされたが断ったこと。プロポーズを断ってる最中に婚約者から浮気と勘違いされて逃げられたこと。婚約者を連れ戻すに必要なギリギリの期間、任務放棄を誤魔化すために身がわりになったこと。
一気に喋ったら、声がかすれて少し咳き込んだ。団長か水差しから水を汲んでくれたので、ありがたく頂戴する。
体にシーツを巻きつけて胸ガードするのは忘れずにやった。
「バレると思わなかったのか?」
「一週間ですし、近衛や地方と違って、お守り騎士団ですからね、団員との接触を極力減らせば乗り切れると思ったんです。だって仕事は巡回だけで夜勤なし。目立たず騒がずでいけると踏んだんです。まさか最後にバレるとは思いませんでしたけどね」
団長は呆れて軽く首を振りながら、私が飲みかけていたグラスをひょいっと取り、残り全部の水を一気に飲み干してからこう言った。
「馬鹿者、俺は最初っからニセモノだと気づいてた。だいたい今まで近衛で勤務していたヤツが俺の顔知らないってあり得ないだろが。それに、お前が誰か判らなかったから名前なんぞ一度も呼んでないしな」
「あいにく俺はサーラという名前じゃないんだが」
ハッと気づいて体を動かそうとしたが、両手首を縛られ、更にはベッドに括りつけられたまま寝かされていた。しかも、サーラ渾身のミイラボディが全解除されている。
「きゃあーーーーっ!」
腕で胸を隠そうとしても、拘束されているので隠すこともできない。人前で、しかも男性の前で胸を晒すなんて信じられない。パニック状態で泣きながら懇願する。
「お願い、解いてよぅ、嫌だこんな格好……」
「お前が全部吐けばすぐに解放してやるよ、しっかし隠すようなモンか?」
そう言いながら、私の胸を鷲掴みにして揉んでくる。ちょっ、な、何すんのよ! 失礼でしょ! 自分でだってそんなことしたことないのにっ!
「ふざけんなっ! ドスケベの変態めっ。人の胸、気安く揉むんじゃないわよっ!」
「へぇ、抵抗するんだ。お前生意気だな、こんな格好で俺に命令とかするんだ。ほぉ、面白い」
へ? プライド刺激した? だってこんな事するのって変態だけじゃないの? 団長の目が半分座ってるし、黒い笑顔になってるんですけど……
「ご……めん、ごめんなさい。命令しませんから解放してください。ホントにこんな格好は嫌なんですって!」
「ふん、ならこれでどうだ? 俺がその貧相なもの、見なきゃいいんだろ」
私が拘束されているベッドがギシッと軋む音がする。
貧相なものって……ホンっト失礼なヤツ。
まあ、紐を解いてくれたのには感謝だけど。
ようやく両手首の拘束が外れたと思ったら、そのままベッドの上で再び両手首を封じられる。
何のことはない。ベッドに繋がれていた紐が団長の両手に代わっただけで、基本拘束されてるままだ。
しかーもー、覆い被さってのご対面ですよ。顔が近いっ、近過ぎるってばっ! 確かに胸は隠れたけど貞操の危機はほぼ一緒。
もー、いい加減許してってば。私悪くないもん。
……やっぱりちょっと悪かったかもしれない、いや、上司騙した段階でかなり悪いのか?
とりあえずダメ元で自己紹介だけしておこう。信用されるかされないかは二の次にして。
「私はニコル・テイラード、二十歳。ニコラスの二つ上の姉です。スパイでも暗殺者でもありません、お願いですから離して」
「姉、ねぇ。潜り込んだ目的を言え」
「潜り込むなんて……身がわりですよ、身がわり」
「身がわりだと?」
こうなったら処罰覚悟で正直に話すしかない。軽くため息をつきながら、喋り始めた。
近衛での勤務中、第二王女から気に入られてしまいプロポーズされたが断ったこと。プロポーズを断ってる最中に婚約者から浮気と勘違いされて逃げられたこと。婚約者を連れ戻すに必要なギリギリの期間、任務放棄を誤魔化すために身がわりになったこと。
一気に喋ったら、声がかすれて少し咳き込んだ。団長か水差しから水を汲んでくれたので、ありがたく頂戴する。
体にシーツを巻きつけて胸ガードするのは忘れずにやった。
「バレると思わなかったのか?」
「一週間ですし、近衛や地方と違って、お守り騎士団ですからね、団員との接触を極力減らせば乗り切れると思ったんです。だって仕事は巡回だけで夜勤なし。目立たず騒がずでいけると踏んだんです。まさか最後にバレるとは思いませんでしたけどね」
団長は呆れて軽く首を振りながら、私が飲みかけていたグラスをひょいっと取り、残り全部の水を一気に飲み干してからこう言った。
「馬鹿者、俺は最初っからニセモノだと気づいてた。だいたい今まで近衛で勤務していたヤツが俺の顔知らないってあり得ないだろが。それに、お前が誰か判らなかったから名前なんぞ一度も呼んでないしな」
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