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魔術師団編
34の2.そりゃ荒れるわ!
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もう一人の不満の対象は、第四部隊のロイズ隊長らしい。
今日の会議では会えなかったが、王宮での王族警護が通常任務なんだそうだ。
彼は警護よりも王宮勤めの侍女のナンパがメインか、というくらいのチャラ男らしい。
しかしながら、王族や女性、貴族への対応は非の打ち所がなく、王宮関係の者の信頼は厚いという。
「ああ、ダメ男とクズ男に囲まれているわけね。なら必然的に頼りになるのは第一隊長のコークス様になるわねぇ」
「だろ? ただ、副師団長は姐さんのこと同僚としては認めてるけど、女としては見てないんだよねぇ。てか、女に興味ないんじゃないかって感じだし……いくら姐さんがモーションかけても普段と変わらずなんだとさ」
はあ、なるほどね。
ダメ男とクズ男に嫌気がさして、コークスさんに救いを求めるも、アッサリ玉砕ってパターンか。そりゃ荒むだろ、あんだけ魅力的な女性だ。出来る男をパートナーに選びたいと考えるのは自然の流れなんだろう。
「あれ? ならラッセルにも声はかけてるんでしょ? 恋人になってって」
「聞くところによれば、声かける前に対象外だって判断したらしい。自分の手には余るってボヤいてたって話し」
手のひらを上に向け、肩をすくめながらお手上げっていう感じのポーズを私に見せる。
まあ言われてみれば、ラッセルって冷徹な感じだったモンね。ありゃ恋人やパートナー以前に、人間として付き合えるかどうかって状態だったろうし。
「でもさ、隊長クラスがダメでも副隊長クラスとかの人たちなら対象になるんじゃない?」
「それがさぁ、姐さんもあの性格だからな。豪快過ぎてみんな萎縮しちまうんだよ。その気風の良さに惚れ込むのは姐さんの部下たちだけさ」
ああ、確かに。変な期待を男性に求めるよりも、頼りになるお姉様の方が人気になるのもわかるよ。
例えるなら、宝塚の男役に熱をあげるようなモンだよね。なにせ周りの男性より男らしいもの、惚れこむのもわかるわぁ。
「噂じゃあ、第三部隊では毎晩、男にはわからない、女性ならではの耽美な世界が繰り広げられているとか……」
「ええっ? 女同士……それは私、遠慮したいなぁ、ハハハ」
男性とのお付き合いさえまだなのに、一番最初に付き合うのが女性ってのはどうよ。平凡な事務員さんにはハードル高いですって。
「あらぁ? やっぱりロイズの部下ねえ。女の子に親しく話しかけて気心を知ってもらってから自分のものにするなんて手段。あなたの部隊じゃ女の口説き方まで訓練するのかしら?」
私とルディの話しを聞きつけてなのか、レイニーさんが間に割って入ってきた。その後ろには、ミラーズさんがビクビクしながら控えている。
「い、いやぁ、俺は姐さんの気風の良さをコイツに自慢してただけで……決してウチの部隊の新人が常に姐さんの餌食になるだとか、取り巻きのみなさんから『オハライバコ』になった新人は必ず転属願い出すだとかは教えてませんから」
おいおい、それはレイニーさんとその部下さん達を軽くディスってないか?
あたしゃ知らんぞ、君がこれからどうなるかは想像できるが、それを止める手立てが思いつかないわい。
私はルディに向かって軽く両手を合わせ、仏様を拝むポーズで俯いた。
『ルディよ、永遠なれ』
頭の中ではチーン、と鈴がなる音を感じ、本日一番いい笑顔で見送ることにした。
私にゃ無理だ、ミラーズさん、お願いします!
眉間に青筋を立てるレイニーさんと顔面蒼白なルディ、それを止めたいが止められない、といった状態のミラーズさん。
ああ、こんな状態じゃミラーズさんには手が余るかも……ルディ君、ピーンチっ!
今日の会議では会えなかったが、王宮での王族警護が通常任務なんだそうだ。
彼は警護よりも王宮勤めの侍女のナンパがメインか、というくらいのチャラ男らしい。
しかしながら、王族や女性、貴族への対応は非の打ち所がなく、王宮関係の者の信頼は厚いという。
「ああ、ダメ男とクズ男に囲まれているわけね。なら必然的に頼りになるのは第一隊長のコークス様になるわねぇ」
「だろ? ただ、副師団長は姐さんのこと同僚としては認めてるけど、女としては見てないんだよねぇ。てか、女に興味ないんじゃないかって感じだし……いくら姐さんがモーションかけても普段と変わらずなんだとさ」
はあ、なるほどね。
ダメ男とクズ男に嫌気がさして、コークスさんに救いを求めるも、アッサリ玉砕ってパターンか。そりゃ荒むだろ、あんだけ魅力的な女性だ。出来る男をパートナーに選びたいと考えるのは自然の流れなんだろう。
「あれ? ならラッセルにも声はかけてるんでしょ? 恋人になってって」
「聞くところによれば、声かける前に対象外だって判断したらしい。自分の手には余るってボヤいてたって話し」
手のひらを上に向け、肩をすくめながらお手上げっていう感じのポーズを私に見せる。
まあ言われてみれば、ラッセルって冷徹な感じだったモンね。ありゃ恋人やパートナー以前に、人間として付き合えるかどうかって状態だったろうし。
「でもさ、隊長クラスがダメでも副隊長クラスとかの人たちなら対象になるんじゃない?」
「それがさぁ、姐さんもあの性格だからな。豪快過ぎてみんな萎縮しちまうんだよ。その気風の良さに惚れ込むのは姐さんの部下たちだけさ」
ああ、確かに。変な期待を男性に求めるよりも、頼りになるお姉様の方が人気になるのもわかるよ。
例えるなら、宝塚の男役に熱をあげるようなモンだよね。なにせ周りの男性より男らしいもの、惚れこむのもわかるわぁ。
「噂じゃあ、第三部隊では毎晩、男にはわからない、女性ならではの耽美な世界が繰り広げられているとか……」
「ええっ? 女同士……それは私、遠慮したいなぁ、ハハハ」
男性とのお付き合いさえまだなのに、一番最初に付き合うのが女性ってのはどうよ。平凡な事務員さんにはハードル高いですって。
「あらぁ? やっぱりロイズの部下ねえ。女の子に親しく話しかけて気心を知ってもらってから自分のものにするなんて手段。あなたの部隊じゃ女の口説き方まで訓練するのかしら?」
私とルディの話しを聞きつけてなのか、レイニーさんが間に割って入ってきた。その後ろには、ミラーズさんがビクビクしながら控えている。
「い、いやぁ、俺は姐さんの気風の良さをコイツに自慢してただけで……決してウチの部隊の新人が常に姐さんの餌食になるだとか、取り巻きのみなさんから『オハライバコ』になった新人は必ず転属願い出すだとかは教えてませんから」
おいおい、それはレイニーさんとその部下さん達を軽くディスってないか?
あたしゃ知らんぞ、君がこれからどうなるかは想像できるが、それを止める手立てが思いつかないわい。
私はルディに向かって軽く両手を合わせ、仏様を拝むポーズで俯いた。
『ルディよ、永遠なれ』
頭の中ではチーン、と鈴がなる音を感じ、本日一番いい笑顔で見送ることにした。
私にゃ無理だ、ミラーズさん、お願いします!
眉間に青筋を立てるレイニーさんと顔面蒼白なルディ、それを止めたいが止められない、といった状態のミラーズさん。
ああ、こんな状態じゃミラーズさんには手が余るかも……ルディ君、ピーンチっ!
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