1 / 29
第一章 開幕
俺、卓球始めるってよ(前半)
しおりを挟む
俺の名は原結斗。高校2年である。俺は普段、学校に行っては授業のほとんどを寝てサボり、家に帰って自分で晩ご飯を作って食べる。それからは自分の部屋に戻って後は大体深夜3時までゲームをするという自分でもやばいと思うぐらい自堕落な生活をしてしている。
だが、勿論のこと、俺はこの生活に満足している。だって自分の好きなことをやってるんだから。父と母はそんな俺をみて心配そうにしている(2人とも顔に出やすいから分かりやすい)。が、テストでは学年上位をキープしているんだ。下手をしなければ卒業してそれなりの大学に行けるさ。
さて、そんなゲーム中毒者一歩手前の俺にも素晴らしい友人がいる。近藤大和というイケメンクソやろうである。
あいつは馬鹿だが運動神経がよく、卓球部というマイナー部に所属しておりながら女子からそれなりの人気がある。あいつとは中学からの仲で、馬鹿真面目だったあの頃の俺にゲームを教えてくれた素晴らしい英雄だ。
そんな俺の唯一無二の友が、ある日の学校の昼休みに突然……。
「頼む結斗!卓球部に入ってくれ!」
「…………はぁ?」
なぜ、本当になぜこうなったんだ?
春の陽気が訪れてきた4月。2年に進級して迎えた始業式から1週間がたったある日の昼休み。絢爛に咲いた桜の花弁が美しく宙に散る中、俺は友人である近藤に何故か卓球部に入って欲しいと懇願された。
全く意味不明である。
「なんでいきなり卓球部なんだ?」
「実はだな、この夏に県内の学校全てが集まる大会があるんだ。そのためのメンバーがあと1人足りないんだ。」
「だとしても俺に当たるのは間違えでしかないだろう。俺、自慢じゃないが運動苦手だぞ」
「お前に当たる前にも色んなやつに声掛けたさ。だが誰も聞く耳を持たなくてな……」
「なるほど、意外だな。お前ある程度人望あるのに」
「その点については関係ない。運動好きの仲いいやつを中心に声を掛けたが、『卓球はマイナーだし面白くなさそう』って感じで全部流されたんだ」
「まあ、そうなるわな」
最近は日本でリーグとかもやるようになってきたらしいが、正直スポーツに興味がない俺からしたら”だからなに?”って感じ。多分今以上に人気になってもやらないと思う。それを切り離して考えてもすごい難しそう。選手が打ってる球めっちゃ速いし。
「というわけなんだ結斗。頼む!入ってくれないか?」
「悪いが断る」
もう後がない様子の近藤の願いを俺は刹那で断った。
「……理由だけ聞いてもいいか?」
近藤が諦めた様子で俺に問いかける。
「多分今まで誘ってきたやつと同じ理由」
「だよなぁ」
近藤は深いため息をついた。ここで近藤は諦めてまた人探し……とはいかないはずだ。
俺は知っている。昔から近藤はこういう後がないことがあると必ず俺を協力させる。勉強とか宿題。なにかをごまかしたりなど多々こんなことに俺を巻き込もうとする。
そして俺が断ろうとすると決まって……。
「実はそういうと思ってな、ある条件を持ってきた」
………だと思った。
近藤はこういう時は決まってなにか武器を持ってくる。いままで俺はその数々の誘惑に敗北し、不本意……本当に不本意に!奴に付き合ってきた。
俺はもう呑まれない。どんな誘惑が来ても俺は屈しない……屈しないぞ!たとえ今めちゃくちゃほしい新作のゲーム機を条件にされてもな……!
「なんだ、その、条件は」
近藤はにやけながら俺のほうに近づいてくる。俺は思わず後ずさりそうになるがぐっとこらえる。そして俺のすぐ間近まで接近し、耳元に顔をよせてきた。
「お前が欲しがっている新作ゲーム機が買える分の金」
「!?」
そう耳元で近藤が囁いた後、俺の手元に一枚の封筒を近づけた。俺はそれを手に取り中身を確認する。
……そこにはちゃんと新作ゲーム機一台分のお金が入っていた。
「引き受けてくれるか?」
「当たり前だろ。俺たち友達だろう?」
こうして俺はあっさり欲に飲まれ、近藤の頼みを引き受けることになったのだった。
だが、勿論のこと、俺はこの生活に満足している。だって自分の好きなことをやってるんだから。父と母はそんな俺をみて心配そうにしている(2人とも顔に出やすいから分かりやすい)。が、テストでは学年上位をキープしているんだ。下手をしなければ卒業してそれなりの大学に行けるさ。
さて、そんなゲーム中毒者一歩手前の俺にも素晴らしい友人がいる。近藤大和というイケメンクソやろうである。
あいつは馬鹿だが運動神経がよく、卓球部というマイナー部に所属しておりながら女子からそれなりの人気がある。あいつとは中学からの仲で、馬鹿真面目だったあの頃の俺にゲームを教えてくれた素晴らしい英雄だ。
そんな俺の唯一無二の友が、ある日の学校の昼休みに突然……。
「頼む結斗!卓球部に入ってくれ!」
「…………はぁ?」
なぜ、本当になぜこうなったんだ?
春の陽気が訪れてきた4月。2年に進級して迎えた始業式から1週間がたったある日の昼休み。絢爛に咲いた桜の花弁が美しく宙に散る中、俺は友人である近藤に何故か卓球部に入って欲しいと懇願された。
全く意味不明である。
「なんでいきなり卓球部なんだ?」
「実はだな、この夏に県内の学校全てが集まる大会があるんだ。そのためのメンバーがあと1人足りないんだ。」
「だとしても俺に当たるのは間違えでしかないだろう。俺、自慢じゃないが運動苦手だぞ」
「お前に当たる前にも色んなやつに声掛けたさ。だが誰も聞く耳を持たなくてな……」
「なるほど、意外だな。お前ある程度人望あるのに」
「その点については関係ない。運動好きの仲いいやつを中心に声を掛けたが、『卓球はマイナーだし面白くなさそう』って感じで全部流されたんだ」
「まあ、そうなるわな」
最近は日本でリーグとかもやるようになってきたらしいが、正直スポーツに興味がない俺からしたら”だからなに?”って感じ。多分今以上に人気になってもやらないと思う。それを切り離して考えてもすごい難しそう。選手が打ってる球めっちゃ速いし。
「というわけなんだ結斗。頼む!入ってくれないか?」
「悪いが断る」
もう後がない様子の近藤の願いを俺は刹那で断った。
「……理由だけ聞いてもいいか?」
近藤が諦めた様子で俺に問いかける。
「多分今まで誘ってきたやつと同じ理由」
「だよなぁ」
近藤は深いため息をついた。ここで近藤は諦めてまた人探し……とはいかないはずだ。
俺は知っている。昔から近藤はこういう後がないことがあると必ず俺を協力させる。勉強とか宿題。なにかをごまかしたりなど多々こんなことに俺を巻き込もうとする。
そして俺が断ろうとすると決まって……。
「実はそういうと思ってな、ある条件を持ってきた」
………だと思った。
近藤はこういう時は決まってなにか武器を持ってくる。いままで俺はその数々の誘惑に敗北し、不本意……本当に不本意に!奴に付き合ってきた。
俺はもう呑まれない。どんな誘惑が来ても俺は屈しない……屈しないぞ!たとえ今めちゃくちゃほしい新作のゲーム機を条件にされてもな……!
「なんだ、その、条件は」
近藤はにやけながら俺のほうに近づいてくる。俺は思わず後ずさりそうになるがぐっとこらえる。そして俺のすぐ間近まで接近し、耳元に顔をよせてきた。
「お前が欲しがっている新作ゲーム機が買える分の金」
「!?」
そう耳元で近藤が囁いた後、俺の手元に一枚の封筒を近づけた。俺はそれを手に取り中身を確認する。
……そこにはちゃんと新作ゲーム機一台分のお金が入っていた。
「引き受けてくれるか?」
「当たり前だろ。俺たち友達だろう?」
こうして俺はあっさり欲に飲まれ、近藤の頼みを引き受けることになったのだった。
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる