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蚊を殺したので、あなたは死刑です。

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「私はただ蚊を殺しただけなのに、どうして死刑なんですか?」

「この国では、そういう法律なんです。人間であろうと、蚊であろうと命の価値は同じです。優劣なんかありません。そういうあなたはどこの国の出身なんですか?」

「日本出身です」

「日本ではそんな法律はないんですか?」

「日本では、人を殺した場合には死刑になる可能性がありますが、動物や虫を殺しても死刑にはなりません」

「へー、日本という国は差別国家なのですね。人間の命にしか価値がないと思っているとは、実に嘆かわしい。そのことをおかしいと思っている人はいないんですか?」

「……ん~、多分いないと思います。だって、人間と虫の命を同価値だと考えるなんて偽善者じみてて気持ち悪いじゃないですか」

「そうですか。では、仕方ありません。これであなたの死刑が確定しました」

「ちょっと待って下さい。私は自分の国の価値観を語ったまでです。本当は私、そんなこと思っていません。ごめんなさい。反省してます。だから、死刑にはしないで下さい」

「謝ったところで死んだ命は元には戻りません。よって、あなたは死刑です」

「それなら、こんな茶番する必要なかったじゃないですか!」

「ありますよ。この後悔を糧に、あなたが次生まれ変わる時には、命の価値がわかる善人なれることでしょう」

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