37 / 73
狼におあずけをくわせる方法
1
しおりを挟む
その日、突然、弥生は一智に呼ばれた。
大学帰りのことである。校門を出た彼女にスッと寄ってきた車から、生真面目そうな初老の男性が降りてきたのだ。その人はきれいに四十五度腰を曲げ、顔を上げると、真っ直ぐに彼女を見つめながら弥生の名前を呼んだ。
「大石弥生様ですね? 私は新藤一智の秘書、水谷と申します。先日の件に関しまして、主人が是非とも貴女にお会いして謝罪させていただきたいと申しております。申し訳ありませんが、ご足労いただけませんでしょうか」
「一輝君のおじいちゃんが……?」
呟いた彼女に、水谷が頷く。
「はい。一智様はいたく反省しておりまして、すっかり消沈していらっしゃいます」
「そんな」
確かに一智のしたことで弥生はずいぶんと怖い目に遭わされたけれど、結局、あのことがあったから一輝と想いを通じ合わせることができたのだ。
「あれ以来、一輝様は一智様に口をきこうとされなくて、いっそう一智様は沈んでおられるのです」
「一輝君が?」
「はい……」
一輝からは、もしも祖父が甘い顔を見せて来ても絶対に信じるなと言われているけれど、弥生は落ち込んでいるという一智のことが気の毒になってくる。
だがしかし、この状況でお願いされて、断ることができる弥生ではない。
「わかりました。お伺いします」
――頷いた瞬間、きらりと水谷の目が光ったのは、気のせいだろうか?
小さな疑念が弥生の頭をよぎったけれど、それがはっきりとしたものになる前に、丁重かつ強引に、彼女は車の中に入れられてしまった。
――この車に乗っちゃっても、よかったのかな……。
高級そうなシートに身を沈め、ほとんどエンジンの音を立てずに車が走り出したのを腿の下に感じてからそう思っても、後の祭りだった。
このことが一輝に知られたら、無防備に知らない人の車に乗るなんて、と叱られるかもしれない。
走っている車から飛び降りるわけにもいかず、弥生はそわそわしながら早く目的地に着いて車が停まってくれることを祈った。
やがて、車は以前に見た事のある塀沿いに走り始め、目的地が近いことを知った弥生は小さく息をつく。
「……別に、取って食われたりは、しませんよ?」
その言葉は隣に座る水谷からのものだったが、口元を緩めることすらなく発せられたので、冗談なのか、真面目なのか、弥生には判断できなった。
「え……あ、はい……」
何となく、曖昧な返事をして、弥生は手元に視線を落とす。
車が門に入り、弥生は玄関で降ろされた。
「こちらへどうぞ」
水谷について、純和風の屋敷の長い廊下を歩く。通されたのは、前と同じ、広い和室であった。
「では、主人が参るまで、少々お待ちください」
水谷はそう残して部屋を出て行った。
ポツンと独り残され、弥生は一智のことを思い出していた。容姿は一輝によく似ていた。けれども、その時に彼から言われた内容の所為もあるのだろうが、怖い人だった、という記憶しかない。その印象が強すぎて、つい、ビクビクしてしまう。
――帰りたい……。
弥生がそう思ったときだった。
襖がスッと開かれ、和服を着た長身の男性が入ってくる。弥生の記憶が正しければ、彼が一智だった。
一智の視線が、弥生に向けられる。一瞬にして、蛇に睨まれた蛙のように、彼女の全身がピシリと固まった。
「あ……の、……こんにちは」
弥生は、何とかそれだけ口にする。
だが、そんな彼女に、正座になった一智が深々と頭を下げたのだ。
「え……?」
呆気に取られる弥生の前で、一智が身体は伏せたまま、顔だけを上げて彼女を真っ直ぐに見る。
「すまなかった」
「え、え……?」
何のことだか、弥生にはさっぱり解らない。
「この間は、きついことを言ってしまった。きっと、辛い思いをしたのだろう? しかし、それも全て、孫可愛さのため。この愚かなじじいを許してもらえないだろうか?」
苦渋に満ちた声。
弥生の中からは恐れも吹き飛び、彼女は大きくかぶりを振る。
「やめてください、そんな……だって、おじい様は一輝君のおじい様なんですから、ああおっしゃったのも当然です。わたし、もう気にしてませんから」
腰を浮かせて言い募る弥生に、一智がにじり寄った。
「そうか! おお、何と優しい……。一輝には過ぎた嫁だな。弥生さんに出会えたあの子は、幸せ者だよ!」
一部とんでもない単語が入っていたが、半ばパニックになっている弥生は気付かない。
「いえ、わたしの方こそ、一輝君に出会えて、とっても良かったです」
「そうか、そうか! これからも、愚孫をよろしく頼むぞ?」
「はい、こちらこそ」
はっきり言って、半分くらいは流れで受け答えしている弥生である。そんな彼女が冷静に考える余裕を取り戻す前に、一智が更に畳み掛けた。
「それでだな、今日、ここに来てもらったのは、あなたに謝る他に、一つ頼みごとをしたかったからなんだ」
「頼みごと、ですか……?」
一智にできなくて自分にできることがあるとは思えず、弥生が首をかしげる。
彼は姿勢を正して座り直すと、おもむろに切り出した。
「うちの孫――一輝は、まだ小さかった頃から働き詰めなことは知っているだろう?」
「あ……はい」
一智の言葉通り、一輝は本来ならまだ高校生で楽しく遊び暮らしているような年頃だというのに、殆ど休む間も無く総帥の職務をこなしているのだ。本人はさして苦もなくその生活に馴染んでいるようだけれど、弥生としては、もっと休ませてあげたいな、というのが本音だ。
「孫はな、休みをやろうとしても、いらんと言うのだ」
「そうですか……」
祖父である一智が言っても聞かないなら、弥生などが何を言ってもダメだろう。肩を落とす弥生をよそに、一智が続ける。
「それでだな、弥生さん、あいつと一緒に旅行にでも行ってきてくれないか?」
「は……ええ!?」
「あいつには、俺から休みをやるから、弥生さんから誘ってやってくれ」
「無理です、絶対、頷いてなんてくれません」
両手と首を振って拒否する弥生に、一智が力強く頷いてみせる。
「いいや、あなたから誘えば、絶対に堕ちる! ちょっと、こう、下から見上げるようにして『お願い』とでも言えば、一発だ。俺が保証する」
そんなことで一輝が首を縦に振るとは、到底思えない。承諾しかねている彼女に、一智は更に詰め寄った。
「あいつを休ませてやりたいと、思うだろう? まだ子どもなのに、何の潤いもない中年のおっさんみたいな生活は憐れだと、思わないか?」
――あれ?
弥生は、そこはかとなく違和感を覚える。一智の印象が、何だか……。
だが、その疑問はチラリとよぎっただけで一瞬にして消えていき、更に深める余裕は、その時の彼女にはなかった。
「あいつに、十六歳男児らしい楽しみを与えてやりたいとは思わんか!?」
「う……思い、ます……」
「だったら、頼む。試してみるだけでもいい。あなたから言っても聞かなかったら、俺も諦める」
キラリと切れ長の眦に光ったのは、涙だろうか?
弥生はこれほど必死に孫のことを想っている一智に、ほだされる。
「わかり、ました。一輝君がウンと言ってくれるかどうかわかりませんけど、やってみます」
「そうか! やってくれるか! よし、さっき言ったように、ジッと見つめて『お願い』だぞ? それなら、絶対、イケる」
「は……はい……」
目をらんらんと光らせて迫る一智に気圧されて、弥生は頷く。
と、廊下を荒い足音が近付いてきた。
「おお、着いたようだ。弥生さん、先ほどの件、頼んだぞ?」
そう言って、一智は弥生にウィンクを投げてよこす。
――……ウィンク?
思わず弥生は、大きく瞬きをした。
だが、戸惑う弥生が気持ちを整理するより先に、足音は部屋の前に到着し、襖がスパンと開かれる。そこに立っていたのは、話題の人物、一輝である。彼はニッコリと弥生に笑いかけ、次いで全く異なる笑顔を祖父に向けた。
「おじい様、何をなさっておいでで?」
――一輝君、怒ってる……?
同じ笑顔の筈なのに、祖父に向けたものは、明らかに怖い。
だが、一智も一智で、慣れているのか、そんな一輝の眼差しにもニコニコと応えている。
「いや、何。この間は悪いことをしたからな、謝っていただけだ。なあ、弥生さん?」
「え、あ、えっと……はい」
どこからどう見ても何かありげな弥生の応答に、一輝の目が細くなった。
思わず彼女は視線を逸らして畳の筋など数えてしまう。
少しして、フッと息を吐くような音が聞こえた。
目を上げると、いつの間にか一輝はすぐ近くに来ていて、弥生は少しドギマギしてしまう。
一輝は好々爺の笑みを浮かべている一智を冷たく一瞥すると、微笑みながら弥生に手を差し出した。
「さあ、帰りましょう、弥生さん。お送りしますから」
殆ど反射的にその手を取ると、グイと引き上げられた。そのまま、スタスタと歩き出した一輝に、小走りでついていく。一智には、「さようなら」と一言残すのがやっとだった。
廊下を歩く間、彼は一言も口をきかない。
玄関前には一輝の車が停められており、開け放たれた後部座席のドアの横には、橘が佇んでいる。
「あ、橘さん、こんにち――」
――挨拶を最後まで言い切ることは叶わず、弥生は問答無用で車中へと押し込められた。
大学帰りのことである。校門を出た彼女にスッと寄ってきた車から、生真面目そうな初老の男性が降りてきたのだ。その人はきれいに四十五度腰を曲げ、顔を上げると、真っ直ぐに彼女を見つめながら弥生の名前を呼んだ。
「大石弥生様ですね? 私は新藤一智の秘書、水谷と申します。先日の件に関しまして、主人が是非とも貴女にお会いして謝罪させていただきたいと申しております。申し訳ありませんが、ご足労いただけませんでしょうか」
「一輝君のおじいちゃんが……?」
呟いた彼女に、水谷が頷く。
「はい。一智様はいたく反省しておりまして、すっかり消沈していらっしゃいます」
「そんな」
確かに一智のしたことで弥生はずいぶんと怖い目に遭わされたけれど、結局、あのことがあったから一輝と想いを通じ合わせることができたのだ。
「あれ以来、一輝様は一智様に口をきこうとされなくて、いっそう一智様は沈んでおられるのです」
「一輝君が?」
「はい……」
一輝からは、もしも祖父が甘い顔を見せて来ても絶対に信じるなと言われているけれど、弥生は落ち込んでいるという一智のことが気の毒になってくる。
だがしかし、この状況でお願いされて、断ることができる弥生ではない。
「わかりました。お伺いします」
――頷いた瞬間、きらりと水谷の目が光ったのは、気のせいだろうか?
小さな疑念が弥生の頭をよぎったけれど、それがはっきりとしたものになる前に、丁重かつ強引に、彼女は車の中に入れられてしまった。
――この車に乗っちゃっても、よかったのかな……。
高級そうなシートに身を沈め、ほとんどエンジンの音を立てずに車が走り出したのを腿の下に感じてからそう思っても、後の祭りだった。
このことが一輝に知られたら、無防備に知らない人の車に乗るなんて、と叱られるかもしれない。
走っている車から飛び降りるわけにもいかず、弥生はそわそわしながら早く目的地に着いて車が停まってくれることを祈った。
やがて、車は以前に見た事のある塀沿いに走り始め、目的地が近いことを知った弥生は小さく息をつく。
「……別に、取って食われたりは、しませんよ?」
その言葉は隣に座る水谷からのものだったが、口元を緩めることすらなく発せられたので、冗談なのか、真面目なのか、弥生には判断できなった。
「え……あ、はい……」
何となく、曖昧な返事をして、弥生は手元に視線を落とす。
車が門に入り、弥生は玄関で降ろされた。
「こちらへどうぞ」
水谷について、純和風の屋敷の長い廊下を歩く。通されたのは、前と同じ、広い和室であった。
「では、主人が参るまで、少々お待ちください」
水谷はそう残して部屋を出て行った。
ポツンと独り残され、弥生は一智のことを思い出していた。容姿は一輝によく似ていた。けれども、その時に彼から言われた内容の所為もあるのだろうが、怖い人だった、という記憶しかない。その印象が強すぎて、つい、ビクビクしてしまう。
――帰りたい……。
弥生がそう思ったときだった。
襖がスッと開かれ、和服を着た長身の男性が入ってくる。弥生の記憶が正しければ、彼が一智だった。
一智の視線が、弥生に向けられる。一瞬にして、蛇に睨まれた蛙のように、彼女の全身がピシリと固まった。
「あ……の、……こんにちは」
弥生は、何とかそれだけ口にする。
だが、そんな彼女に、正座になった一智が深々と頭を下げたのだ。
「え……?」
呆気に取られる弥生の前で、一智が身体は伏せたまま、顔だけを上げて彼女を真っ直ぐに見る。
「すまなかった」
「え、え……?」
何のことだか、弥生にはさっぱり解らない。
「この間は、きついことを言ってしまった。きっと、辛い思いをしたのだろう? しかし、それも全て、孫可愛さのため。この愚かなじじいを許してもらえないだろうか?」
苦渋に満ちた声。
弥生の中からは恐れも吹き飛び、彼女は大きくかぶりを振る。
「やめてください、そんな……だって、おじい様は一輝君のおじい様なんですから、ああおっしゃったのも当然です。わたし、もう気にしてませんから」
腰を浮かせて言い募る弥生に、一智がにじり寄った。
「そうか! おお、何と優しい……。一輝には過ぎた嫁だな。弥生さんに出会えたあの子は、幸せ者だよ!」
一部とんでもない単語が入っていたが、半ばパニックになっている弥生は気付かない。
「いえ、わたしの方こそ、一輝君に出会えて、とっても良かったです」
「そうか、そうか! これからも、愚孫をよろしく頼むぞ?」
「はい、こちらこそ」
はっきり言って、半分くらいは流れで受け答えしている弥生である。そんな彼女が冷静に考える余裕を取り戻す前に、一智が更に畳み掛けた。
「それでだな、今日、ここに来てもらったのは、あなたに謝る他に、一つ頼みごとをしたかったからなんだ」
「頼みごと、ですか……?」
一智にできなくて自分にできることがあるとは思えず、弥生が首をかしげる。
彼は姿勢を正して座り直すと、おもむろに切り出した。
「うちの孫――一輝は、まだ小さかった頃から働き詰めなことは知っているだろう?」
「あ……はい」
一智の言葉通り、一輝は本来ならまだ高校生で楽しく遊び暮らしているような年頃だというのに、殆ど休む間も無く総帥の職務をこなしているのだ。本人はさして苦もなくその生活に馴染んでいるようだけれど、弥生としては、もっと休ませてあげたいな、というのが本音だ。
「孫はな、休みをやろうとしても、いらんと言うのだ」
「そうですか……」
祖父である一智が言っても聞かないなら、弥生などが何を言ってもダメだろう。肩を落とす弥生をよそに、一智が続ける。
「それでだな、弥生さん、あいつと一緒に旅行にでも行ってきてくれないか?」
「は……ええ!?」
「あいつには、俺から休みをやるから、弥生さんから誘ってやってくれ」
「無理です、絶対、頷いてなんてくれません」
両手と首を振って拒否する弥生に、一智が力強く頷いてみせる。
「いいや、あなたから誘えば、絶対に堕ちる! ちょっと、こう、下から見上げるようにして『お願い』とでも言えば、一発だ。俺が保証する」
そんなことで一輝が首を縦に振るとは、到底思えない。承諾しかねている彼女に、一智は更に詰め寄った。
「あいつを休ませてやりたいと、思うだろう? まだ子どもなのに、何の潤いもない中年のおっさんみたいな生活は憐れだと、思わないか?」
――あれ?
弥生は、そこはかとなく違和感を覚える。一智の印象が、何だか……。
だが、その疑問はチラリとよぎっただけで一瞬にして消えていき、更に深める余裕は、その時の彼女にはなかった。
「あいつに、十六歳男児らしい楽しみを与えてやりたいとは思わんか!?」
「う……思い、ます……」
「だったら、頼む。試してみるだけでもいい。あなたから言っても聞かなかったら、俺も諦める」
キラリと切れ長の眦に光ったのは、涙だろうか?
弥生はこれほど必死に孫のことを想っている一智に、ほだされる。
「わかり、ました。一輝君がウンと言ってくれるかどうかわかりませんけど、やってみます」
「そうか! やってくれるか! よし、さっき言ったように、ジッと見つめて『お願い』だぞ? それなら、絶対、イケる」
「は……はい……」
目をらんらんと光らせて迫る一智に気圧されて、弥生は頷く。
と、廊下を荒い足音が近付いてきた。
「おお、着いたようだ。弥生さん、先ほどの件、頼んだぞ?」
そう言って、一智は弥生にウィンクを投げてよこす。
――……ウィンク?
思わず弥生は、大きく瞬きをした。
だが、戸惑う弥生が気持ちを整理するより先に、足音は部屋の前に到着し、襖がスパンと開かれる。そこに立っていたのは、話題の人物、一輝である。彼はニッコリと弥生に笑いかけ、次いで全く異なる笑顔を祖父に向けた。
「おじい様、何をなさっておいでで?」
――一輝君、怒ってる……?
同じ笑顔の筈なのに、祖父に向けたものは、明らかに怖い。
だが、一智も一智で、慣れているのか、そんな一輝の眼差しにもニコニコと応えている。
「いや、何。この間は悪いことをしたからな、謝っていただけだ。なあ、弥生さん?」
「え、あ、えっと……はい」
どこからどう見ても何かありげな弥生の応答に、一輝の目が細くなった。
思わず彼女は視線を逸らして畳の筋など数えてしまう。
少しして、フッと息を吐くような音が聞こえた。
目を上げると、いつの間にか一輝はすぐ近くに来ていて、弥生は少しドギマギしてしまう。
一輝は好々爺の笑みを浮かべている一智を冷たく一瞥すると、微笑みながら弥生に手を差し出した。
「さあ、帰りましょう、弥生さん。お送りしますから」
殆ど反射的にその手を取ると、グイと引き上げられた。そのまま、スタスタと歩き出した一輝に、小走りでついていく。一智には、「さようなら」と一言残すのがやっとだった。
廊下を歩く間、彼は一言も口をきかない。
玄関前には一輝の車が停められており、開け放たれた後部座席のドアの横には、橘が佇んでいる。
「あ、橘さん、こんにち――」
――挨拶を最後まで言い切ることは叶わず、弥生は問答無用で車中へと押し込められた。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
天才と呼ばれた彼女は無理矢理入れられた後宮で、怠惰な生活を極めようとする
カエデネコ
恋愛
※カクヨムの方にも載せてあります。サブストーリーなども書いていますので、よかったら、お越しくださいm(_ _)m
リアンは有名私塾に通い、天才と名高い少女であった。しかしある日突然、陛下の花嫁探しに白羽の矢が立ち、有無を言わさず後宮へ入れられてしまう。
王妃候補なんてなりたくない。やる気ゼロの彼女は後宮の部屋へ引きこもり、怠惰に暮らすためにその能力を使うことにした。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載。
虜囚の王女は言葉が通じぬ元敵国の騎士団長に嫁ぐ
あねもね
恋愛
グランテーレ国の第一王女、クリスタルは公に姿を見せないことで様々な噂が飛び交っていた。
その王女が和平のため、元敵国の騎士団長レイヴァンの元へ嫁ぐことになる。
敗戦国の宿命か、葬列かと見紛うくらいの重々しさの中、民に見守られながら到着した先は、言葉が通じない国だった。
言葉と文化、思いの違いで互いに戸惑いながらも交流を深めていく。
隠れ御曹司の愛に絡めとられて
海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた――
彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。
古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。
仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!?
チャラい男はお断り!
けれども彼の作る料理はどれも絶品で……
超大手商社 秘書課勤務
野村 亜矢(のむら あや)
29歳
特技:迷子
×
飲食店勤務(ホスト?)
名も知らぬ男
24歳
特技:家事?
「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて
もう逃げられない――
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
同居人の一輝くんは、ちょっぴり不器用でちょっぴり危険⁉
朝陽七彩
恋愛
突然。
同居することになった。
幼なじみの一輝くんと。
一輝くんは大人しくて子羊みたいな子。
……だったはず。
なのに。
「結菜ちゃん、一緒に寝よ」
えっ⁉
「結菜ちゃん、こっちにおいで」
そんなの恥ずかしいよっ。
「結菜ちゃんのこと、どうしようもなく、
ほしくてほしくてたまらない」
そんなにドキドキさせないでっ‼
今までの子羊のような一輝くん。
そうではなく。
オオカミになってしまっているっ⁉
。・.・*.・*・*.・。*・.・*・*.・*
如月結菜(きさらぎ ゆな)
高校三年生
恋愛に鈍感
椎名一輝(しいな いつき)
高校一年生
本当は恋愛に慣れていない
。・.・*.・*・*.・。*・.・*・*.・*
オオカミになっている。
そのときの一輝くんは。
「一緒にお風呂に入ったら教えてあげる」
一緒にっ⁉
そんなの恥ずかしいよっ。
恥ずかしくなる。
そんな言葉をサラッと言ったり。
それに。
少しイジワル。
だけど。
一輝くんは。
不器用なところもある。
そして一生懸命。
優しいところもたくさんある。
そんな一輝くんが。
「僕は結菜ちゃんのこと誰にも渡したくない」
「そんなに可愛いと理性が破壊寸前になる」
なんて言うから。
余計に恥ずかしくなるし緊張してしまう。
子羊の部分とオオカミの部分。
それらにはギャップがある。
だから戸惑ってしまう。
それだけではない。
そのギャップが。
ドキドキさせる。
虜にさせる。
それは一輝くんの魅力。
そんな一輝くんの魅力。
それに溺れてしまう。
もう一輝くんの魅力から……?
♡何が起こるかわからない⁉♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる