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SS:ある日のマクシミリアン
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地面に、鳥の雛が落ちていた。
かれこれ三十分ほどクリスティーナが庭に出たままだとメイドの一人から聞かされて、マクシミリアンは様子を見に来たのだ。今日はとても暑いので。
この気温では、クリスティーナはすぐに暑さに中てられてしまうに違いない。モニクが付いているから大丈夫だとは思うが、念のため――もしかしたら、具合が悪くなって難儀しているかもしれないから。
そう思って庭に出てきたら、雛を見つけた。
頭上の枝を見上げると、そこには鳥の巣がかかっている。
もう一度、地面に目を向ける。目が合った――気がする。だいぶ羽は生えているから、じきに巣立ちの時期なのだろう。なんでこの期に及んで落ちたりなどしたのか。
経験上、巣に戻しても親が育てるかどうかは五分五分だ。彼が拾った方が、生き残る確率は高い。
マクシミリアンはしかめ面でしばしそれを睨み付け、ポケットからハンカチを取り出した。それで包み込んでしまえば、怪我をさせることもないだろう。
そうして、本来の用を果たしに行った。
*
雛を見せると、クリスティーナは目を輝かせた。
「小さいですねぇ」
腰を屈めて目線を合わせようとするのが、可愛い。恐ろしく、可愛い。
彼女がパッとマクシミリアンを見上げてきた。少し表情が曇っている。
「助かりますか?」
心配そうなその顔に、マクシミリアンは心臓の辺りが痛くなった。
「大丈夫だ。ここまで大きくなっていたら、普通は死なない。餌をやっておけば育つ」
途端にクリスティーナの顔が明るくなって、マクシミリアンもホッとする。
と、その時。
雛が、ピィと啼いた。
「まあ」
クリスティーナは声を上げ、輝かんばかりの笑みを浮かべる。その顔を、クルリとマクシミリアンに向けた。
普段は白い頬に薔薇色が注し、真昼間だというのに空色の目の中には星が見えるような気がする。
「可愛らしいですね」
パッと、一段と明るくなった笑み。
花が咲いたのかと思うような。
刹那、マクシミリアンはめまいめいたものに襲われた。
「マクシミリアンさま?」
いぶかしげ――いや、心配そうなクリスティーナの目が真っ直ぐに見つめてくる。
お前の方が、千倍可愛い。
思わず転がり出しそうになった心の声を見えない両手で喉の奥に押し込め、マクシミリアンは後ずさった。
「私は、仕事があるから」
かろうじて一声かけて、その場を後にした。
*
「おや、マクシミリアン様、こんなところで何してるんですか?」
廊下の窓枠に肘を置いて外をぼんやりと眺めていたマクシミリアンに、声がかかる。アルマンだ。
「雛はどうしたんです? クリスティーナ様、喜んだでしょ?」
クリスティーナの名を口にしたアルマンをムッと睨むと、彼は目を丸くし、呆れたような顔になった。
「ちょっと、待ってくださいよ。もしかしてまた、あまりの可愛さにトキメいちゃって逃げ出してきたとか言わないですよね?」
マクシミリアンは答えられない。
「もう……何やってんですか。せっかくの共通の話題でしょう? こういう時こそ、仲を深めないと。今まで散々雛の世話してきたんですから、知識も経験も腐るほどあるでしょうに。蘊蓄かましてやったらいいじゃないですか。憧れの眼差し注いでくれるのは必至ですよ」
アルマンは唇を引き結んだままのマクシミリアンに、ため息をつく。
「まあ、いいですけど。世話はお願いしますよ? 多分、死ぬことはないと思いますけどね」
先ほどのマクシミリアンと同じことを言って、アルマンは去っていった。
その背中を見送りながら、マクシミリアンはハタと気付く。
もしも雛が死ぬようなことがあったら、クリスティーナがどれほど悲しむか。
今まで拾った雛は、皆無事に旅立っていったが、今回ばかりは絶対にしくじれない。
何が何でも、生きてここから出て行ってもらわないと
心の底から真剣に、マクシミリアンはあの雛を無事に育て上げることを決意した。
*
二週間が過ぎて。
「飛んでくれるでしょうか」
不安げなクリスティーナの声。彼女の目は、庭の樹の枝にのせた鳥に一心に注がれている。
無事に育った雛を空に返そうと試みて、今日が三日目だ。
いつもピィピィと啼くだけで、羽ばたこうとしない。
多分、外の世界を知らないから怖いのだろう。
と、不意に、パタッと羽ばたきの音がして、拾った雛の隣に同種の鳥が舞い降りた。
まるで会話をするようにピィピィと啼き合っている。
そして。
「飛んだ――飛びました!」
ギュッと、クリスティーナの手がマクシミリアンの腕を掴む。その顔は、満面の笑みを浮かべたままみるみる小さくなっていく鳥を追いかけていた。
あまりに晴れやかなその笑顔から、彼は目が離せない。
ストレイフ家に嫁いできてから、彼女はしばしばこんなふうに笑うようになった。
それを見るとマクシミリアンの胸の中が熱を帯びる。だが、いつも、彼に向いた瞬間、その笑顔は淡雪のように消えてしまうのだ。
自分に向けた笑顔が欲しい。
マクシミリアンは切にそう望むけれど、きっとそれは無理な話なのだろう。
彼女は望んで彼の妻になったわけではないのだから。
不意に、仲間が来て、ためらいなく飛んでいった雛の姿が脳裏をよぎった。
クリスティーナの世界も、いずれ広がる。いずれもっと多くの人間と知り合い、その中で、誰か――彼女を誘う者が現れるのかもしれない。
それがマクシミリアンよりももっと彼女に相応しい者だったら。
彼は奥歯を噛み締めた。
想像すら、したくない。
と、ひそりと。
「こんな笑顔を振りまいていたら、社交界でも大人気になりそうですよね」
まるでマクシミリアンの不安を読み取ったようなアルマンの囁きは、彼の耳にだけ届けられた。ギラリと睨むと、忠実な秘書は悪びれた様子もなくにこりと笑う。
「それまでにはマクシミリアン様にメロメロにしておいてくださいよ?」
空の雲を掴むよりも難しいようなことを平然と吐き、彼は足取りも軽く去っていった。
かれこれ三十分ほどクリスティーナが庭に出たままだとメイドの一人から聞かされて、マクシミリアンは様子を見に来たのだ。今日はとても暑いので。
この気温では、クリスティーナはすぐに暑さに中てられてしまうに違いない。モニクが付いているから大丈夫だとは思うが、念のため――もしかしたら、具合が悪くなって難儀しているかもしれないから。
そう思って庭に出てきたら、雛を見つけた。
頭上の枝を見上げると、そこには鳥の巣がかかっている。
もう一度、地面に目を向ける。目が合った――気がする。だいぶ羽は生えているから、じきに巣立ちの時期なのだろう。なんでこの期に及んで落ちたりなどしたのか。
経験上、巣に戻しても親が育てるかどうかは五分五分だ。彼が拾った方が、生き残る確率は高い。
マクシミリアンはしかめ面でしばしそれを睨み付け、ポケットからハンカチを取り出した。それで包み込んでしまえば、怪我をさせることもないだろう。
そうして、本来の用を果たしに行った。
*
雛を見せると、クリスティーナは目を輝かせた。
「小さいですねぇ」
腰を屈めて目線を合わせようとするのが、可愛い。恐ろしく、可愛い。
彼女がパッとマクシミリアンを見上げてきた。少し表情が曇っている。
「助かりますか?」
心配そうなその顔に、マクシミリアンは心臓の辺りが痛くなった。
「大丈夫だ。ここまで大きくなっていたら、普通は死なない。餌をやっておけば育つ」
途端にクリスティーナの顔が明るくなって、マクシミリアンもホッとする。
と、その時。
雛が、ピィと啼いた。
「まあ」
クリスティーナは声を上げ、輝かんばかりの笑みを浮かべる。その顔を、クルリとマクシミリアンに向けた。
普段は白い頬に薔薇色が注し、真昼間だというのに空色の目の中には星が見えるような気がする。
「可愛らしいですね」
パッと、一段と明るくなった笑み。
花が咲いたのかと思うような。
刹那、マクシミリアンはめまいめいたものに襲われた。
「マクシミリアンさま?」
いぶかしげ――いや、心配そうなクリスティーナの目が真っ直ぐに見つめてくる。
お前の方が、千倍可愛い。
思わず転がり出しそうになった心の声を見えない両手で喉の奥に押し込め、マクシミリアンは後ずさった。
「私は、仕事があるから」
かろうじて一声かけて、その場を後にした。
*
「おや、マクシミリアン様、こんなところで何してるんですか?」
廊下の窓枠に肘を置いて外をぼんやりと眺めていたマクシミリアンに、声がかかる。アルマンだ。
「雛はどうしたんです? クリスティーナ様、喜んだでしょ?」
クリスティーナの名を口にしたアルマンをムッと睨むと、彼は目を丸くし、呆れたような顔になった。
「ちょっと、待ってくださいよ。もしかしてまた、あまりの可愛さにトキメいちゃって逃げ出してきたとか言わないですよね?」
マクシミリアンは答えられない。
「もう……何やってんですか。せっかくの共通の話題でしょう? こういう時こそ、仲を深めないと。今まで散々雛の世話してきたんですから、知識も経験も腐るほどあるでしょうに。蘊蓄かましてやったらいいじゃないですか。憧れの眼差し注いでくれるのは必至ですよ」
アルマンは唇を引き結んだままのマクシミリアンに、ため息をつく。
「まあ、いいですけど。世話はお願いしますよ? 多分、死ぬことはないと思いますけどね」
先ほどのマクシミリアンと同じことを言って、アルマンは去っていった。
その背中を見送りながら、マクシミリアンはハタと気付く。
もしも雛が死ぬようなことがあったら、クリスティーナがどれほど悲しむか。
今まで拾った雛は、皆無事に旅立っていったが、今回ばかりは絶対にしくじれない。
何が何でも、生きてここから出て行ってもらわないと
心の底から真剣に、マクシミリアンはあの雛を無事に育て上げることを決意した。
*
二週間が過ぎて。
「飛んでくれるでしょうか」
不安げなクリスティーナの声。彼女の目は、庭の樹の枝にのせた鳥に一心に注がれている。
無事に育った雛を空に返そうと試みて、今日が三日目だ。
いつもピィピィと啼くだけで、羽ばたこうとしない。
多分、外の世界を知らないから怖いのだろう。
と、不意に、パタッと羽ばたきの音がして、拾った雛の隣に同種の鳥が舞い降りた。
まるで会話をするようにピィピィと啼き合っている。
そして。
「飛んだ――飛びました!」
ギュッと、クリスティーナの手がマクシミリアンの腕を掴む。その顔は、満面の笑みを浮かべたままみるみる小さくなっていく鳥を追いかけていた。
あまりに晴れやかなその笑顔から、彼は目が離せない。
ストレイフ家に嫁いできてから、彼女はしばしばこんなふうに笑うようになった。
それを見るとマクシミリアンの胸の中が熱を帯びる。だが、いつも、彼に向いた瞬間、その笑顔は淡雪のように消えてしまうのだ。
自分に向けた笑顔が欲しい。
マクシミリアンは切にそう望むけれど、きっとそれは無理な話なのだろう。
彼女は望んで彼の妻になったわけではないのだから。
不意に、仲間が来て、ためらいなく飛んでいった雛の姿が脳裏をよぎった。
クリスティーナの世界も、いずれ広がる。いずれもっと多くの人間と知り合い、その中で、誰か――彼女を誘う者が現れるのかもしれない。
それがマクシミリアンよりももっと彼女に相応しい者だったら。
彼は奥歯を噛み締めた。
想像すら、したくない。
と、ひそりと。
「こんな笑顔を振りまいていたら、社交界でも大人気になりそうですよね」
まるでマクシミリアンの不安を読み取ったようなアルマンの囁きは、彼の耳にだけ届けられた。ギラリと睨むと、忠実な秘書は悪びれた様子もなくにこりと笑う。
「それまでにはマクシミリアン様にメロメロにしておいてくださいよ?」
空の雲を掴むよりも難しいようなことを平然と吐き、彼は足取りも軽く去っていった。
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