放蕩貴族と銀の天使

トウリン

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嫉妬②

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 ブライアンの視界には、溢れんばかりにヒトの姿がある。だが、彼の脳は、アンジェリカの存在しか受け入れていなかった。

「いかがです、お兄様?」
 そう声をかけられて初めて、彼はセレスティアがすぐ目の前に立っていることに気付く。
 一つ二つ瞬きをし、首を捩じるようにしてアンジェリカから妹へと眼を移した。

「セレスティア、ああ、えっと……」
 何とか応じようとする間にもいつしかブライアンの視線はまたアンジェリカに戻っていて、その麗姿を貪っている。
 傍から見れば、さぞかし間抜けな顔をしているだろう。その自覚はあるが、正せない。

「ブライアン?」
 淡く紅を差されたアンジェリカの唇が、彼の名を呼んだ。やはり挙動不審が過ぎたのか、そこには何かを問うような響きがある。

 応えなければ。
 そう思っても、言葉が出てこなかった。綺麗だとか良く似合っているだとか、そんな、確かに真実ではあるものの、平凡極まりないものくらいしか。
 かつて群がる貴婦人たちを相手に垂れ流していた美辞麗句が、今は一つも出てこない。

 もたつくブライアンを差し置いて行動を起こしたのは、エリック・ドーソンだった。
「君がアンジェリカ? それにそちらはコーネリアかな? 君たちみたいな子が埋もれているなら、私ももっと街に出ないといけないな」
 女心を蕩けさせる笑みを浮かべて、ドーソンがコニーの手を取り、そこに軽く口付ける。
「こんなにも魅力的な茶色の瞳があるとは、知らなかったよ」
 少し身体を折り、覗き込むようにしながらそう言ったドーソンに、コニーは負けず劣らず蠱惑的な笑みを浮かべる。
「ありがとう。良く言われるわ」
 サラリとそう答えた彼女に、これまで数多の女性を落としてきた彼の魅力に惑わされた様子は微塵もない。
 ドーソンは微かに目をみはり、そして笑みを深くする。今度のそれはごく自然なものだ。
「そうだろうね」
 彼はクスリと笑ってもう一度コニーの指先にキスをして、それを手放した。次いで、アンジェリカに目を移す。
「そして君がアンジェリカか。お噂はかねがね」
 そう言いながら、ドーソンはアンジェリカに一礼した。銀色に輝く彼女の頭の天辺からドレスの裾に隠れたつま先まで、舐めるようにして見つめながら。

 エリック・ドーソンは、女性全てをそんなふうに眺める男だ。
 ブライアンも、かつては同じように淑女たちを見ていたに違いない。だが、どうしたことか、今の彼には、友人のその視線が不快でたまらなかった。
 ふと視線を巡らせれば、およそアンジェリカを視界に入れられる場所にいる男どもは皆、その眼を彼女に釘付けにしているではないか。

 不意に、そうやって彼女が彼らに見られることが、いや、他の男がいる場に置いておくことすら、我慢ならないことのように思えてきた。
 思わず声を張り上げそうになって、ブライアンは両手を固く握り締める。
 常日頃から彼女は男たちの視線を集めているが、さして気になったことはない。今日はどうしてこんなに心がささくれ立ってしまうのか。

(僕が選んだ服を着ているからか?)
 無意識のうちに、彼女は自分が飾り立てたのだから、自分のものなのだと、思ってしまっていたのだろうか。

 ムゥ、と眉間に深い溝を刻んだブライアンの前で、染み一つない絹の手袋に包まれたドーソンの手がアンジェリカに近付いていき、そして触れようとする。
 その距離が縮まるにつれ加速度的にブライアンの中でムカつきが増していき――

「ラザフォード?」
「ブライアン?」

 二つの声から名前を呼ばれてハタと我に返った時には、ドーソンの手を叩き落としたブライアンの手が宙に浮いていた。
 ドーソンとアンジェリカが、いや、その場にいる皆が、丸くした目を彼に向けている。

「えぇっと、その……ちょっと飲み物をとってくるよ」
 ひりつく手を振りながら苦し紛れにそう言い置いて、ブライアンは足早に人込みに紛れ込んだ。そのまま真っ直ぐ、飲み物が置かれている壁際のテーブルへと向かう。
 ひしめき合う人々に押しこくられながらもどうにかこうにかそこへ辿り着いたブライアンは、手近なグラスを掴んで中身を一気に飲み干した。カッと熱くなった喉に、かなり度数が高い代物を選んでしまったことを知る。だが、構わずもう一杯、同じものを空にした。

 空きっ腹に入れたせいか、効きが早い。
 回転が鈍り始めた頭に、ブライアンは安堵する。きっと、感じることや思うことも、不明瞭になってくれるだろうから。

 酔いの息苦しさから大きく息をついた時、ブライアンの腕にするりと何かが絡み付いてきた。
(アンジェリカ!?)
 彼女のことしか頭になかったせいか、それとも酒のせいか、そんなことがあるはずがないと判っていつつ、ブライアンは胸の内でアンジェリカの名を呼んだ。
 が、パッとそちらに向けた彼の目に入ってきたのは、彼女とは全く違う、黄金の髪に青い瞳で。

「ブライアン、お久しぶりね。最近、全然会えないじゃないの」
 一瞬、誰だったろうとブライアンは目をしばたたかせた。そしてすぐに、かつて懇意にしていた相手の一人だということを思い出す。
(あ……っと、そう、確か彼女は――)
「やあ、エリザベス。元気だったかい?」
 どうにか作った笑みを浮かべてそう答えると、エリザベスは拗ねた素振りで唇を尖らせた。

「元気だったかい、ではなくてよ。もう、どこに雲隠れしていらしたの? 噂では、急に貴族の義務に目覚めたようだって聞いたけど……本当のところは、何を?」
 彼女は豊かな双丘に彼の腕をグイグイと引き付けながら、そう言った。
「議会に出たり、領地の収支を確認したり、かな」
 答えつつ、ブライアンはさりげなく腕を引き抜こうと試みたが、うまくいかない。エリザベスの腕はガブリエルに教わった締め技並みに、がっちりと彼を捕らえている。
「ウソ! 貴方がそんなことするはずがないじゃない。きっと、別にイイヒト見つけたんでしょう?」
 それはあながち間違いではないので、ブライアンは即座に否定の言葉を返すことができなかった。

 その沈黙が雄弁な答えとなったらしく、エリザベスが頬を膨らませる。
「やっぱり! まあいいわ、じゃあ、何にも言ってくれずに袖にしたことは、キスひとつで赦してあげる」
 言うなり彼女はブライアンの腕を捕らえていた手を解き、代わりにするりと彼の首の後ろに回して引き寄せると、つま先立って顔を近づけてきた。たおやかな外見とは裏腹の、かなりの力強さだ。

「ちょっと、待って――」
 距離を詰めてくる唇から何とか逃れんとブライアンが背を反らせようとしていた、その時。

「……ブライアン?」

 喧騒をものともせずに耳に届いたその涼やかな声に、彼は勢い良く振り返った。

「アンジェリカ」
 その名を呼んだとき、彼女の眼が向けられているのはブライアンではなかった。アンジェリカが見つめているのは、ブライアンではなく――彼にピタリと身を寄せている、エリザベスだ。

 彼の声が聞こえなかったのか、アンジェリカは無言で佇んでいる。
「えっと、アンジェリカ?」
 半ば無理やりエリザベスの腕を振り解いてからもう一度呼びかけると、彼女はいくつか瞬きをし、それからようやくその菫色の眼差しをブライアンに注いでくれた。

 が、次の瞬間。

「すまない、邪魔をした」
 淡々とそう言い残したかと思うと、クルリと踵を返して行ってしまう。

「え、邪魔って、あれ、アンジェリカ……?」
 呆然としているブライアンの横から、盛大なため息が聞こえる。訳が解からないままそちらを見ると、エリザベスの「呆れた」と言わんばかりの顔が待っていた。
「彼女なのでしょう、貴方がイイ子になった理由」
「イイ子?」
「女性の間をフラフラ飛び回らなくなった、理由。彼女、誤解したのではなくて?」
「誤解?」
「イヤだわ。貴方ったら、そんなに鈍かったかしら」
 エリザベスは眉をひそめ、手にしていた扇子でピシャリとブライアンの腕を叩いた。
「私と貴方のことを、よ」
「貴女と、僕?」
 馬鹿みたいに彼女の言葉を繰り返すばかりのブライアンは、まだ、事態をよく呑み込めていない。

 エリザベスはクルリと目を回し、次いで彼を睨み付けてくる。
「それって、貴方にその気がないからさっぱり思いつかないということなのかしら? まあ、いいわ。ああ、ほら、あの子、見えなくなってしまってよ?」
 言われて振り返ると、確かに彼女は今にも人の間に消えていってしまいそうだった。
「ちょっと待って、アンジェリカ――っと、ごめん、エリザベス。今の僕は彼女一筋なんだ」
 駆け出しかけて振り返り、単刀直入に伝えたブライアンに、エリザベスは苦笑する。
「そんなの、一目で判ったわ。ほら、早くお行きなさいな。あんなに可愛らしい子、一人にしておいたらあっという間に狼の餌食になってしまってよ」
「うん、ありがとう」
 サッと彼女の手を取りほんの一瞬唇に寄せて、今度こそブライアンは人の波に飛び込んだ。

 アンジェリカの際立つ銀髪は、まるでそれ自体が光を放っているようだ。見失わないでいることは容易だが、巧みに人の間を擦り抜ける彼女に、なかなか追い付けない。
 ブライアンがようやくアンジェリカの手を捉えることができたのは、人気のない露台でのことだった。

「アンジェリカ、ちょっと、止まって!」
 同じ距離を同じ速度で移動してきたというのに、彼女の方はこれっぽっちも息を乱していないのはどういうことなのだろう。
 ブライアンはアンジェリカを捕まえたまま荒い息をつき、どうにかこうにか呼吸を整えてから、そっと手を離す。

 改めてアンジェリカを見ると、ほの暗い露台の上で、月明りに照らされた彼女は仄かに輝いて見えた。
 アンジェリカの様子は、いつもと変わらない。淡々として、泰然としている。ちょうど彼女の真後ろに細い三日月が浮かんでいて、まるで、月の妖精のようだった。

 やはり、綺麗だ。
 それ以外の言葉は、見つからない。

 束の間彼女に見惚れてしまってから、ブライアンはそこが肌寒い屋外であることを思い出した。慌てて上着を脱ぎ、彼女の肩に着せ掛けた。華奢な彼女にはかなり大きいが、前も閉じ、しっかりと包み込む。

 と。

(あれ?)
 微かに、アンジェリカの顔が曇ったような気がして、ブライアンは眉をひそめた。気のせいかと思ったが、確かにそこには陰りがある。第一、いつも真っ直ぐに見つめてくる彼女の眼が、逸らされているではないか。

「アンジェリカ?」
 ブライアンは恐る恐る呼びかけた。
 彼女は怒っているのだろうか。いや、そういうわけではなさそうだ。怒っているのではなくて――

(何なんだ?)

 困惑と途方に暮れたブライアンは、二の句を継げずにただただアンジェリカを見つめる。何か言ってくれないかと願いながら。

 その願いが彼女に届いたのだろうか。
 ポソリと、アンジェリカが何かを呟いた。が、彼女らしくない小さな声で、ブライアンには聞き取れない。
「ごめん、もう一度言ってくれるかな」
 そう乞うと、一呼吸分置いてから、アンジェリカは目を上げ彼を見返してきた。そうして、言う。

「私は、期待外れだったか?」

 彼女のその台詞がさっぱり理解できず、ブライアンは目をしばたたかせる。
(……期待、外れ?)
「えっと、どういう意味かな?」
 曖昧な笑顔でごまかしつつ、彼はもう少し説明を求めた。
 アンジェリカはほんの一瞬唇を噛み、そしてそれを開く。
「この衣装はブライアンが選んでくれたのだろう? でも、私には、やはり身に余る。そぐっていないから、あなたをがっかりさせたのだろう?」

 束の間、ポカンと彼女を見つめてしまった。
 そしてすぐさま我に返る。
 単にアンジェリカのこの美しさを表現する言葉を見いだせなかっただけだったのに、彼女にそんなふうに思わせてしまっていたとは。

「は? え、そういう意味? いや、似合ってる。ものすごく、似合ってる。似合い過ぎていて、少し後悔したくらいだ」
 慌てて言葉を重ねて断言したブライアンに、今度はアンジェリカが眉根を寄せる。

「後悔?」
「そう。だって、他の男も見るじゃないか。僕だけのものにしておけば良かったと、後悔した。あなたを美しく装うのは、僕だけが見られるような場所でにしておけば良かったってね。ドーソンがあなたの手に口付けようとしたときは、本気でムカついたよ」
 まあ、結局させなかったのだけれどと、ブライアンは苦笑する。
 万人の眼を奪うアンジェリカを誰にも見せたくないと思い、たとえそれが礼儀作法に則ったものだとしても、他の男が彼女に触れることが許せなかった。

 自分が、こんなにも心の狭い男だったとは、今の今まで、知らなかった。いや、多分、アンジェリカに出逢わなければ、自分にそんな一面があるなんて、一生知らずにいたのだろう。

「こんなふうに特別綺麗になったあなたを他の人間には見せたくないし、ましてや触れさせたくないと思ってしまったんだ。だから、変な態度を取ってしまった」
 すまなかったねと謝罪の言葉を口にしたブライアンに、アンジェリカはしばし考えこむような素振りを見せてから、ポツリと呟いた。

「わたしも、同じように感じたかもしれない」
「え?」
「先ほど、そんなふうに思った気がする。感覚としては、悪いものを食べて胸やけをしたときに似ていた」
 そう言ったアンジェリカの顔に浮かんでいるものは、困惑だろうか。特大の難問に遭遇したような顔をしている。たいていのことを淡々とこなす彼女のそんな表情は、初めて見るかもしれない。

 だが、先ほど、というのは、どれのことだろう。

 ブライアンは首を捻って考える。
(ボールドウィンやドーソンたちと居た時のことか?)
 いや、多分、違うだろう。彼が取った妙な行動と言えばアンジェリカに触れようとしたドーソンの手を叩き落としたことくらいだが、それではないに違いない。

 となると、他に思い当たるものと言ったら――

(エリザベスのこと、か?)
 彼にしがみつく彼女を見て、アンジェリカに触れようとするドーソンを前にした彼と同じようにムカついた、ということなのだろうか。
 だが、それではまるで、アンジェリカが嫉妬したかのようではないか。
 まさかそんなことがあるはずがない、と自分を嗤い、ブライアンはかぶりを振る。もしもそれが事実であるならば、身一つで空も舞えてしまいそうなほど嬉しいが――まさかアンジェリカが、彼のことで嫉妬などするはずがない。それはあまりに希望的観測過ぎる。

「そう、まさか、ね」
 気付かぬうちに口から洩れていた声に、アンジェリカが反応する。
「ブライアン?」
 小首をかしげて彼を見上げてくる彼女は、可憐で優美な小鳥のようだ。

 ああ、クソ、何て愛らしいのだろう。アンジェリカが本当に小鳥であったなら、豪奢な鳥籠を作って閉じ込めておけるのに。

 ブライアンは悶える気持ちを押し込めて、彼女に微笑み返す。
「何でもないよ。中に戻ろうか。改めて、僕の友人たちに紹介するから」
 そうする代わりにこの別邸にある部屋の一つに引っ張り込んでしまえたらと思いつつ、彼はアンジェリカの背に手を添えた。彼女を促し歩き始めたブライアンはもう一度心の中でかぶりを振ると、残っていた微かな願望を打ち払った。
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