28 / 54
招かれざる客②
しおりを挟む
ストレイフ家で開かれた、日頃尽力してくれている人たちへの慰労のためのパーティーは、とても和気あいあいとした楽しいものだった。
夫婦で開く初めての催しなので父のコデルロスにも招待状を送ったけれど、その主旨を伝えた為か、彼からは短い断りの手紙が返ってきただけだった。
来て欲しいと願いつつ、きっと断るだろうと思っていたクリスティーナはさほど落胆せずにいる。それに、もしも招待に応じてくれても、こんなふうに『使用人』が自由に振舞っているのを父が目にしたらあまり良い結果にはならなかったかもしれない。
むしろ、お互いに不快な思いをしないためには、断ってくれて良かったのだろう。
クリスティーナは、そう気持ちを切り替えることにした。そうして、広間に目を戻す。
パーティーが始まるとすぐに、マクシミリアンは皆の前でクリスティーナを紹介した。もちろん、屋敷の中で働く人たちは彼女のことを充分に知り尽くしていたけれど、パーティーの参加者の大半はマクシミリアンの仕事仲間で、ごくごくわずか――屋敷に書類を届けに来た数人――を除けば初対面だ。
父の取引相手に笑顔を振り撒いていれば良かったのとは、違う。
マクシミリアンの仕事仲間には、クリスティーナ個人に対して好意を持って欲しかった。
元々あまり人前に立つのが得手ではない上にその気負いが輪をかけて、最初のうちは、ガチガチに肩を強張らせていた。けれど、皆屈託なく彼女のことを受け入れてくれたから、その緊張もあっという間に消え失せた。
マクシミリアンの短い挨拶が終わるとすぐにクリスティーナはピアノの前に引っ張っていかれて、早々に彼とは離されてしまったけれど、心細さを感じる暇もなくパーティーの楽しい空気に呑み込まれてしまった。
フロアいっぱいに溢れる者たちは、奏でられる音楽に乗って思い思いに身体を動かしている。型にはまったものではないそのダンスはただただ明るく元気で、ひたすら楽しそうで、その中に交じっていないクリスティーナも気分が浮き立ってくる。
最初は一曲だけ、と思っていたのに、気付くとクリスティーナは促されるままに立て続けに何曲もこなしてしまっていた。さすがにだるくなった手を休ませるために彼女が立ち上がると、すかさず椅子に腰を下ろした若い男性が代わりに鍵盤を叩き出す。
クリスティーナよりは年上で、マクシミリアンよりはいくつか年下くらい。男性はそこに佇んだままの彼女に、手を止めることはせず、ニコリと笑った。
「ありがとうございました」
何に対しての礼なのだろうとクリスティーナは首を傾げたけれど、奏でられる曲に気を取られて、その疑問はすぐに頭の中から飛んで行ってしまった。
彼が弾き始めた曲を、クリスティーナは聴いたことがない。
技巧を凝らしたものではないけれどとても陽気で、まさにダンスの為の曲、という感じだ。
しばらく弾き手の運指に見入っていたクリスティーナは、ふとマクシミリアンはどうしているのだろうと気になった。
ぐるりと辺りを見渡しただけでは、見出せない。
広間は広く、人はとても多いけれども、彼は他の人よりも頭半分は背が高いから、すぐに見つけられるはず。
そう思ったのに、いない。
(どちらに……?)
マクシミリアンの姿を求めて歩き出したクリスティーナの肩が、ポンと叩かれた。
(マクシミリアンさま?)
期待で顔を輝かせてパッと振り返るとそこにいたのは彼ではなくて、笑顔が中途半端になってしまう。
「クリスティーナ様、ピアノをありがとうございました。みんなすごく喜んでましたよ――と、なんだか、がっかりしてません?」
もちろん、クリスティーナの落胆は鋭いアルマンにはすぐに見抜かれてしまう。彼女は頬を染め、ごまかすように微笑んだ。
「少しでも皆さんに楽しんでいただけたなら、わたくしもうれしいです」
「少しでも、だなんて、そんな。大好評ですよ。ああ、でも、今、ピアノを弾いている彼、彼が一番喜んでいたかもしれませんね。今までは専ら彼の役目だったんですけど、今回はどうしてもダンスに誘いたかった子がいたそうで。クリスティーナ様のお陰で、無事、念願叶ったみたいですよ」
「まあ……」
そんなことが、とピアノの方へと目を遣ると、さっきまでクリスティーナが立っていたところに別の女性が佇んでいた。彼はピアノを弾き続けながらその人と笑顔を交わしている。
その笑顔を見ていると、クリスティーナの胸までふわりと温かくなった。
「また、代わって差し上げた方がいいかしら」
「いいえぇ。彼も彼女にイイところ見せたいでしょうから。あれはあれでいいんですよ」
アルマンの返事に、クリスティーナはもう一度二人を見遣った。
確かに、楽し気に笑み交わす彼らは、ダンスの輪に入れないことに不満を抱いているようには見えない。
(大事な人といられれば、それでいいのかもしれない)
そんなふうに思って、クリスティーナは不意にマクシミリアンのことが気になった。というよりも、彼の傍に行きたくなった、と言うべきか。
「ねぇ、アルマン。あの、マクシミリアンさまをお見かけした?」
際立つはずの彼の姿をまた目で探しながら、彼女はアルマンに問いかけた。
すぐには返事が来ない。
アルマンに目を向けると、彼は少し困ったような顔をしている。
「アルマン?」
「あの方は、いつもしばらくするとふらりと姿を消してしまいます。マクシミリアン様が先代からこの事業を引き継いでから毎年この会を開いていますが、開会のお言葉をくださると、それからはもうどこかに行かれてしまって。そうですね、書斎にいらっしゃったこともありますし、庭にいらっしゃったこともありますし」
「お庭……この寒い時期に?」
「ええ。今年はクリスティーナ様がピアノをお弾きになりますし、ここにおられると思っていたのですが……ああ、でも、しばらくはいらっしゃいましたよ。いつもよりは、長く留まっておられました」
残念そうな、アルマンの顔。
クリスティーナはベランダの外に目を向けた。
暗闇の中にチラチラと白いものが舞うのが見える。
(お庭に、いらっしゃるのかしら)
そう思った瞬間、雪空の中で独り佇むマクシミリアンの姿が脳裏に浮かんだ。不意に、居ても立ってもいられなくなる。
「わたくし、その、少し席を外してもよいかしら」
そわそわと両手を胸の前で組んでクリスティーナが訊ねると、アルマンはしばし彼女を見つめてから頷いた。
「構いませんよ。皆、勝手に飲み食い踊りをしてますから」
「ありがとう」
一刻も早くマクシミリアンを見つけ出したくて、感謝の一言もそこそこに身を翻し、クリスティーナはその場を後にしようとした。その彼女を、アルマンの静かな声が引き留める。
「奥様」
普段聞き慣れない呼び方に、クリスティーナは肩越しに振り返った。首をかしげる彼女を、アルマンがその呼び方と同じくらい見慣れぬ生真面目な眼差しで見つめ返してくる。
「僕はあの人の一番傍に仕えてきたと自負していますが、それでも、国の東の端と西の端にいるんじゃないかと思うくらい、未だに距離を感じます」
唐突な告白に、クリスティーナは眉をひそめる。
(アルマン、でも?)
マクシミリアンとの間に隔たりを覚えているのは自分だけなのかと思っていたけれど。
彼の言葉にどう返していいのか判らずにいるクリスティーナに、アルマンはニコリと笑った。
「でもね、最近のあの方は、ちょっとばかし綻びができ始めている気がするんですよ」
「綻び?」
「そう。あるいは、『隙』かな」
頷き、アルマンは親指と人差し指で小さな小さな隙間を作る。
「こんなくらいしかありませんどね、でも、鉄壁の要塞が、たまに揺らいでます――クリスティーナ様といる時にだけ」
「わたくし、といる時だけ」
言われたことを繰り返したけれど、彼女にはそうは思えなかった。自分が彼に何らかの影響力を持っているとは、思えない。
疑いの眼差しでアルマンを見返すクリスティーナに、彼は静かに微笑んだ。
「どうか、あの方に『楽しい』という感情を覚えさせてあげてください」
深い響きを持つ声での、願い。
けれど、乞われても、果たしてクリスティーナに成し遂げられるものだろうか。
「それは……わたくしにできることでしょうか」
心許なく彼女がつぶやくと、即座に返事が来る。
「多分、クリスティーナ様にしかできませんよ」
ずいぶんと自信満々な風情だけれど、その自信は、一体どこから来るのだろう。
ムッとアルマンを睨むと、彼はニヤリと笑った。それは、いつもの、どこかからかいを含んだような笑顔で。
「あの方もまだ三十五ですからね。これから生きても、まだまだ人生取り戻せますから」
一転、軽い口調で、まるで、今までのマクシミリアンの人生が有意義なものではなかったかのような言い方をすると、アルマンはクリスティーナの肩を回して広間の扉がある方へと向ける。
「さあ、マクシミリアン様を探しに行ってあげてくださいな」
その台詞と共にそっと背中を押されて、クリスティーナは一歩を踏み出した。
夫婦で開く初めての催しなので父のコデルロスにも招待状を送ったけれど、その主旨を伝えた為か、彼からは短い断りの手紙が返ってきただけだった。
来て欲しいと願いつつ、きっと断るだろうと思っていたクリスティーナはさほど落胆せずにいる。それに、もしも招待に応じてくれても、こんなふうに『使用人』が自由に振舞っているのを父が目にしたらあまり良い結果にはならなかったかもしれない。
むしろ、お互いに不快な思いをしないためには、断ってくれて良かったのだろう。
クリスティーナは、そう気持ちを切り替えることにした。そうして、広間に目を戻す。
パーティーが始まるとすぐに、マクシミリアンは皆の前でクリスティーナを紹介した。もちろん、屋敷の中で働く人たちは彼女のことを充分に知り尽くしていたけれど、パーティーの参加者の大半はマクシミリアンの仕事仲間で、ごくごくわずか――屋敷に書類を届けに来た数人――を除けば初対面だ。
父の取引相手に笑顔を振り撒いていれば良かったのとは、違う。
マクシミリアンの仕事仲間には、クリスティーナ個人に対して好意を持って欲しかった。
元々あまり人前に立つのが得手ではない上にその気負いが輪をかけて、最初のうちは、ガチガチに肩を強張らせていた。けれど、皆屈託なく彼女のことを受け入れてくれたから、その緊張もあっという間に消え失せた。
マクシミリアンの短い挨拶が終わるとすぐにクリスティーナはピアノの前に引っ張っていかれて、早々に彼とは離されてしまったけれど、心細さを感じる暇もなくパーティーの楽しい空気に呑み込まれてしまった。
フロアいっぱいに溢れる者たちは、奏でられる音楽に乗って思い思いに身体を動かしている。型にはまったものではないそのダンスはただただ明るく元気で、ひたすら楽しそうで、その中に交じっていないクリスティーナも気分が浮き立ってくる。
最初は一曲だけ、と思っていたのに、気付くとクリスティーナは促されるままに立て続けに何曲もこなしてしまっていた。さすがにだるくなった手を休ませるために彼女が立ち上がると、すかさず椅子に腰を下ろした若い男性が代わりに鍵盤を叩き出す。
クリスティーナよりは年上で、マクシミリアンよりはいくつか年下くらい。男性はそこに佇んだままの彼女に、手を止めることはせず、ニコリと笑った。
「ありがとうございました」
何に対しての礼なのだろうとクリスティーナは首を傾げたけれど、奏でられる曲に気を取られて、その疑問はすぐに頭の中から飛んで行ってしまった。
彼が弾き始めた曲を、クリスティーナは聴いたことがない。
技巧を凝らしたものではないけれどとても陽気で、まさにダンスの為の曲、という感じだ。
しばらく弾き手の運指に見入っていたクリスティーナは、ふとマクシミリアンはどうしているのだろうと気になった。
ぐるりと辺りを見渡しただけでは、見出せない。
広間は広く、人はとても多いけれども、彼は他の人よりも頭半分は背が高いから、すぐに見つけられるはず。
そう思ったのに、いない。
(どちらに……?)
マクシミリアンの姿を求めて歩き出したクリスティーナの肩が、ポンと叩かれた。
(マクシミリアンさま?)
期待で顔を輝かせてパッと振り返るとそこにいたのは彼ではなくて、笑顔が中途半端になってしまう。
「クリスティーナ様、ピアノをありがとうございました。みんなすごく喜んでましたよ――と、なんだか、がっかりしてません?」
もちろん、クリスティーナの落胆は鋭いアルマンにはすぐに見抜かれてしまう。彼女は頬を染め、ごまかすように微笑んだ。
「少しでも皆さんに楽しんでいただけたなら、わたくしもうれしいです」
「少しでも、だなんて、そんな。大好評ですよ。ああ、でも、今、ピアノを弾いている彼、彼が一番喜んでいたかもしれませんね。今までは専ら彼の役目だったんですけど、今回はどうしてもダンスに誘いたかった子がいたそうで。クリスティーナ様のお陰で、無事、念願叶ったみたいですよ」
「まあ……」
そんなことが、とピアノの方へと目を遣ると、さっきまでクリスティーナが立っていたところに別の女性が佇んでいた。彼はピアノを弾き続けながらその人と笑顔を交わしている。
その笑顔を見ていると、クリスティーナの胸までふわりと温かくなった。
「また、代わって差し上げた方がいいかしら」
「いいえぇ。彼も彼女にイイところ見せたいでしょうから。あれはあれでいいんですよ」
アルマンの返事に、クリスティーナはもう一度二人を見遣った。
確かに、楽し気に笑み交わす彼らは、ダンスの輪に入れないことに不満を抱いているようには見えない。
(大事な人といられれば、それでいいのかもしれない)
そんなふうに思って、クリスティーナは不意にマクシミリアンのことが気になった。というよりも、彼の傍に行きたくなった、と言うべきか。
「ねぇ、アルマン。あの、マクシミリアンさまをお見かけした?」
際立つはずの彼の姿をまた目で探しながら、彼女はアルマンに問いかけた。
すぐには返事が来ない。
アルマンに目を向けると、彼は少し困ったような顔をしている。
「アルマン?」
「あの方は、いつもしばらくするとふらりと姿を消してしまいます。マクシミリアン様が先代からこの事業を引き継いでから毎年この会を開いていますが、開会のお言葉をくださると、それからはもうどこかに行かれてしまって。そうですね、書斎にいらっしゃったこともありますし、庭にいらっしゃったこともありますし」
「お庭……この寒い時期に?」
「ええ。今年はクリスティーナ様がピアノをお弾きになりますし、ここにおられると思っていたのですが……ああ、でも、しばらくはいらっしゃいましたよ。いつもよりは、長く留まっておられました」
残念そうな、アルマンの顔。
クリスティーナはベランダの外に目を向けた。
暗闇の中にチラチラと白いものが舞うのが見える。
(お庭に、いらっしゃるのかしら)
そう思った瞬間、雪空の中で独り佇むマクシミリアンの姿が脳裏に浮かんだ。不意に、居ても立ってもいられなくなる。
「わたくし、その、少し席を外してもよいかしら」
そわそわと両手を胸の前で組んでクリスティーナが訊ねると、アルマンはしばし彼女を見つめてから頷いた。
「構いませんよ。皆、勝手に飲み食い踊りをしてますから」
「ありがとう」
一刻も早くマクシミリアンを見つけ出したくて、感謝の一言もそこそこに身を翻し、クリスティーナはその場を後にしようとした。その彼女を、アルマンの静かな声が引き留める。
「奥様」
普段聞き慣れない呼び方に、クリスティーナは肩越しに振り返った。首をかしげる彼女を、アルマンがその呼び方と同じくらい見慣れぬ生真面目な眼差しで見つめ返してくる。
「僕はあの人の一番傍に仕えてきたと自負していますが、それでも、国の東の端と西の端にいるんじゃないかと思うくらい、未だに距離を感じます」
唐突な告白に、クリスティーナは眉をひそめる。
(アルマン、でも?)
マクシミリアンとの間に隔たりを覚えているのは自分だけなのかと思っていたけれど。
彼の言葉にどう返していいのか判らずにいるクリスティーナに、アルマンはニコリと笑った。
「でもね、最近のあの方は、ちょっとばかし綻びができ始めている気がするんですよ」
「綻び?」
「そう。あるいは、『隙』かな」
頷き、アルマンは親指と人差し指で小さな小さな隙間を作る。
「こんなくらいしかありませんどね、でも、鉄壁の要塞が、たまに揺らいでます――クリスティーナ様といる時にだけ」
「わたくし、といる時だけ」
言われたことを繰り返したけれど、彼女にはそうは思えなかった。自分が彼に何らかの影響力を持っているとは、思えない。
疑いの眼差しでアルマンを見返すクリスティーナに、彼は静かに微笑んだ。
「どうか、あの方に『楽しい』という感情を覚えさせてあげてください」
深い響きを持つ声での、願い。
けれど、乞われても、果たしてクリスティーナに成し遂げられるものだろうか。
「それは……わたくしにできることでしょうか」
心許なく彼女がつぶやくと、即座に返事が来る。
「多分、クリスティーナ様にしかできませんよ」
ずいぶんと自信満々な風情だけれど、その自信は、一体どこから来るのだろう。
ムッとアルマンを睨むと、彼はニヤリと笑った。それは、いつもの、どこかからかいを含んだような笑顔で。
「あの方もまだ三十五ですからね。これから生きても、まだまだ人生取り戻せますから」
一転、軽い口調で、まるで、今までのマクシミリアンの人生が有意義なものではなかったかのような言い方をすると、アルマンはクリスティーナの肩を回して広間の扉がある方へと向ける。
「さあ、マクシミリアン様を探しに行ってあげてくださいな」
その台詞と共にそっと背中を押されて、クリスティーナは一歩を踏み出した。
0
お気に入りに追加
320
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
旦那様の様子がおかしいのでそろそろ離婚を切り出されるみたいです。
バナナマヨネーズ
恋愛
とある王国の北部を治める公爵夫婦は、すべての領民に愛されていた。
しかし、公爵夫人である、ギネヴィアは、旦那様であるアルトラーディの様子がおかしいことに気が付く。
最近、旦那様の様子がおかしい気がする……。
わたしの顔を見て、何か言いたそうにするけれど、結局何も言わない旦那様。
旦那様と結婚して十年の月日が経過したわ。
当時、十歳になったばかりの幼い旦那様と、見た目十歳くらいのわたし。
とある事情で荒れ果てた北部を治めることとなった旦那様を支える為、結婚と同時に北部へ住処を移した。
それから十年。
なるほど、とうとうその時が来たのね。
大丈夫よ。旦那様。ちゃんと離婚してあげますから、安心してください。
一人の女性を心から愛する旦那様(超絶妻ラブ)と幼い旦那様を立派な紳士へと育て上げた一人の女性(合法ロリ)の二人が紡ぐ、勘違いから始まり、運命的な恋に気が付き、真実の愛に至るまでの物語。
全36話
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる