24 / 54
彼の提案③
しおりを挟む
「仲睦まじい夫婦の姿とはかくあるべしというのを子どもたちに示していただくというのも非常に有意義なことですが、今日の御用はそれではないのでは?」
ビクンと肩を跳ねさせクリスティーナが振り返ると、そこに立っていたのは初老の男性だった。
中肉中背で、白髪。年は六十をいくつか越えていそう。
丸メガネの奥の目は銀色で、一見冷たそうだけれどもよく見るとそこには温かな笑みが宿っている。
「ああ、ティナ。彼がここの院長のギョーム・コルノー氏だよ。ギョーム、彼女が妻のクリスティーナだ」
互いを紹介しながらマクシミリアンがクリスティーナの背に手を添え、その男性に向き直るように促した。
「初めまして、ストレイフ夫人。ようやくお目見えできましたな」
ギョームは生真面目そうな顔をしかめるようにして微笑むと、彼女に右手を差し出した。
きっと挨拶のキスをされるのだろうとクリスティーナがその手を取ると、彼はギュッとそれを握り締めた。まるで対等な相手にするような力強い握手だ。力強く、そして、温かい。
ギョームはクリスティーナの目を覗き込むようにジッと見つめ、それから手を放す。
「で、ストレイフさんからは貴女がうちの子にピアノを教えてくださるのだと伺いましたが?」
握手にも真っ直ぐに切り込むように見つめられるのにも慣れていないクリスティーナは、彼にそう問われて我に返る。
「あ、はい。わたくしでは力不足かもしれませんが……」
「いえいえ、とんでもない。私はそちらの方面にはてんで不調法なもので、子どもに望むものを与えてやれないのですよ。音楽教師を雇うのはとても金がかかりますしね。ストレイフさんからはたっぷり寄付をいただいていますが、一人を贔屓するわけにもいかないので」
彼の言葉は率直だ。
「ストレイフさんが、奥様はとてもピアノがお上手だと自慢なさるのでね、だったら是非ともお願いしたいと思った次第です」
「マクシミリアンさま……」
あんまり持ち上げられたら、実物を見てがっかりされてしまう。
クリスティーナが夫を睨むと、彼は澄ました顔を返してきた。
「ピアノをやりたいと言っているのはアデールという六歳の女の子なんだ。少し引っ込み思案だけどね、貴女ならうまくあの子の力を伸ばしてあげられる」
地上に下してもらえるかと思ったら、更に持ち上げられてしまった。
過剰な期待に応えられるだけの自信がクリスティーナにはない。
(ちゃんと教えられなかったら、どうしよう)
今さらながら不安になってマクシミリアンを見上げると、彼はポンとクリスティーナの背中を叩いて微笑んだ。
「大丈夫。貴女は楽しめばいいだけだ。アデールには、何よりもまず、楽器を奏でることの楽しさを味わって欲しいから。そのついでに、ちょっと弾き方を教えてあげたらいいよ」
「そんな、適当なことを――」
「気負い過ぎないで、ティナ。貴女ならやれるよ」
クリスティーナの不安を軽くいなして、マクシミリアンはヒョイと身体を屈めると彼女の頬に宥める為のキスをした。続いて励ましと信頼の笑みを与えられれば、クリスティーナも、おずおずではあるけれど、釣られて微笑みを返してしまう。
「ほら、その笑顔があれば完璧だ」
そう言って、彼の方こそ人の心を融かしてしまう笑顔になる。
「……私がここに居ることを、覚えていますか?」
若干憮然とした声が笑顔を交わし合う二人の間に割って入った。
マクシミリアンの笑顔が少しわざとらしいようなものになって、声の主であるギョームに向けられる。
「ああ、これは失礼。すっかり忘れていました。ティナといると、どうしても他のことは頭から薄れてしまってね」
「そのようですね。だから、なかなかここへお連れにならなかったのでは?」
「当たらずとも遠からず、だよ」
悪びれもせずにそう答えたマクシミリアンに、ギョームがやれやれと小さくかぶりを振った。そうして、クリスティーナにまた目を向ける。
「では、役に立たない旦那さんは放っておいて、本筋に戻るとしましょうか。アデールはピアノが置いてある講堂で待っていますから」
そう言うと、彼は踵を返して歩き出した。
マクシミリアンはクリスティーナに向かってクルリと目を回して見せると、彼女の背に手を添えギョームの後を追う。
孤児院の中は古びているけれども掃除は行き届いていて清潔だ。そこかしこに、何度も修繕を繰り返した跡があった。
途中、幾度か子どもたちとすれ違う。
見た限りでは、三歳ほどから十歳をいくつか過ぎたくらいの子までで、年齢がバラバラな数人のまとまりで活動しているようだった。大きな子が小さな子の面倒を見ているらしい。
また今通り過ぎて行った子どもたちを見送りながら、クリスティーナは首をかしげる。
「ここには何人くらいの子どもたちがいるのですか?」
「赤子から十三歳までが三十二人だ。十四歳の誕生日を迎えたら、ここを出て働きに出る。ほとんどは、私のところで雇うことになるかな」
「どんなお仕事があるのですか?」
「色々だなぁ。私がやっているのは運輸とホテル経営が主だけど、そこから派生する仕事は様々だから、大体皆、適した職種に就けていると思うよ。ラルスとル・アールとサン・ブニュのそれぞれ五つの孤児院を支援していてね、数年前からぼちぼち軌道に乗り始めている」
つまり、もう何人もの子どもたちを支え、送り出してきたということだ。しかも、ただお金を出すだけでなく、こうやって足を運び、実際に彼らのことを見ながら。
クリスティーナは称賛と懸念の混じる眼差しで隣を歩くマクシミリアンを見上げる。
大人の従業員だけでなく、子どもたちのことまで。
(この方は、いったいどれほどの人の人生を背負っているの?)
たくさんの子どもたちを救うことはとても素晴らしいことだけれども、それは、一人の肩には過ぎる重責ではないのだろうか。
(たくさんの人を支えるマクシミリアンさまのことを支えてくれる人は、いるの?)
マクシミリアンの傍には、アルマンが控えている。
でも、裏を返せば彼くらいしか見たことがないし、アルマンは常に一歩下がっている感じだ。クリスティーナは、マクシミリアンの隣に立って、彼と対等の立場で支える人にいて欲しかった。
あるいは、クリスティーナが知らない誰かが、他にたくさんいるのかもしれない。
それならそれでいいと思った。
誰でもいいから、クリスティーナは蚊帳の外に置かれていてもいいから、マクシミリアンの傍に誰かがいてくれるのならば、それでいい。
クリスティーナは願い、そしてこっそり唇を噛む。
でも、きっと、そんな人はいない。
きっと、マクシミリアンは独りで立つ人だ――常に、どんな時でも。
あの、夜。
あの夜のように悪夢にうなされる彼のことを知っている人も、多分、いないのだろう。
胸の中に巣食う闇も彼は独りで奥深くに抱え込み、決して誰にも見せようとはしない。
確かに誰にでも笑顔を向けるけれども、誰一人としてその内側には立ち入れさせないのだと思う。クリスティーナにそうしているように、柔らかな笑みで拒むのだろう。
皆に灯を与えながら、自分はその恩恵を得ようとはしない。
不意に、暗い中でポツリと佇む彼の姿が脳裏に浮かんで、クリスティーナの胸が重苦しく痛んだ。無性に、もやもやする。
そんなマクシミリアンでいて欲しくない。
彼には、光と温もりが似合うと思うのに。
――あんなふうに夢に追われて縋りついてくるマクシミリアンの姿を目の当たりにしていなければ、クリスティーナは今でも彼が光に満ちた人だと信じていただろう。けれど、今は、その光の奥にある闇が見えてしまった。
クリスティーナは、マクシミリアンの腕にかけた手に力を込める。その力は、彼の気を引くのに充分な強さになってしまったらしい。
「どうかした?」
見下ろしてきた彼に、クリスティーナはこの胸にあるものを打ち明けたかった。
けれど、それを告げて彼が心の内を露わにするとは思えない。むしろ、その心を覆う鎧を厚くしてしまうところを想像できてしまう。
だからクリスティーナは微笑んだ。
「少し、つまずいてしまって」
彼はその言葉を信じたのか、彼女に向けて笑みを返してくる。
「大丈夫? 足を捻らなかった?」
「大丈夫です」
マクシミリアンの気遣いの言葉に、何故か不意に泣きたくなった。
いや、違う。
もっとひりつくようなこの感じは、もどかしいというか、苛立たしいというか。
自分にどんな表情が浮かんでいるか判らなくて、クリスティーナは足元を見る振りをして顔を伏せる。
彼女のその態度の不自然さに気付いていないはずがないのに、マクシミリアンからはそれ以上何か声をかけてくることはなかった。二人とも、ただ黙って前を行くギョームに続く。
それから間もなくして講堂に着いた時、クリスティーナは、マクシミリアンと距離を置けることにほんの少しだけホッとした。
ビクンと肩を跳ねさせクリスティーナが振り返ると、そこに立っていたのは初老の男性だった。
中肉中背で、白髪。年は六十をいくつか越えていそう。
丸メガネの奥の目は銀色で、一見冷たそうだけれどもよく見るとそこには温かな笑みが宿っている。
「ああ、ティナ。彼がここの院長のギョーム・コルノー氏だよ。ギョーム、彼女が妻のクリスティーナだ」
互いを紹介しながらマクシミリアンがクリスティーナの背に手を添え、その男性に向き直るように促した。
「初めまして、ストレイフ夫人。ようやくお目見えできましたな」
ギョームは生真面目そうな顔をしかめるようにして微笑むと、彼女に右手を差し出した。
きっと挨拶のキスをされるのだろうとクリスティーナがその手を取ると、彼はギュッとそれを握り締めた。まるで対等な相手にするような力強い握手だ。力強く、そして、温かい。
ギョームはクリスティーナの目を覗き込むようにジッと見つめ、それから手を放す。
「で、ストレイフさんからは貴女がうちの子にピアノを教えてくださるのだと伺いましたが?」
握手にも真っ直ぐに切り込むように見つめられるのにも慣れていないクリスティーナは、彼にそう問われて我に返る。
「あ、はい。わたくしでは力不足かもしれませんが……」
「いえいえ、とんでもない。私はそちらの方面にはてんで不調法なもので、子どもに望むものを与えてやれないのですよ。音楽教師を雇うのはとても金がかかりますしね。ストレイフさんからはたっぷり寄付をいただいていますが、一人を贔屓するわけにもいかないので」
彼の言葉は率直だ。
「ストレイフさんが、奥様はとてもピアノがお上手だと自慢なさるのでね、だったら是非ともお願いしたいと思った次第です」
「マクシミリアンさま……」
あんまり持ち上げられたら、実物を見てがっかりされてしまう。
クリスティーナが夫を睨むと、彼は澄ました顔を返してきた。
「ピアノをやりたいと言っているのはアデールという六歳の女の子なんだ。少し引っ込み思案だけどね、貴女ならうまくあの子の力を伸ばしてあげられる」
地上に下してもらえるかと思ったら、更に持ち上げられてしまった。
過剰な期待に応えられるだけの自信がクリスティーナにはない。
(ちゃんと教えられなかったら、どうしよう)
今さらながら不安になってマクシミリアンを見上げると、彼はポンとクリスティーナの背中を叩いて微笑んだ。
「大丈夫。貴女は楽しめばいいだけだ。アデールには、何よりもまず、楽器を奏でることの楽しさを味わって欲しいから。そのついでに、ちょっと弾き方を教えてあげたらいいよ」
「そんな、適当なことを――」
「気負い過ぎないで、ティナ。貴女ならやれるよ」
クリスティーナの不安を軽くいなして、マクシミリアンはヒョイと身体を屈めると彼女の頬に宥める為のキスをした。続いて励ましと信頼の笑みを与えられれば、クリスティーナも、おずおずではあるけれど、釣られて微笑みを返してしまう。
「ほら、その笑顔があれば完璧だ」
そう言って、彼の方こそ人の心を融かしてしまう笑顔になる。
「……私がここに居ることを、覚えていますか?」
若干憮然とした声が笑顔を交わし合う二人の間に割って入った。
マクシミリアンの笑顔が少しわざとらしいようなものになって、声の主であるギョームに向けられる。
「ああ、これは失礼。すっかり忘れていました。ティナといると、どうしても他のことは頭から薄れてしまってね」
「そのようですね。だから、なかなかここへお連れにならなかったのでは?」
「当たらずとも遠からず、だよ」
悪びれもせずにそう答えたマクシミリアンに、ギョームがやれやれと小さくかぶりを振った。そうして、クリスティーナにまた目を向ける。
「では、役に立たない旦那さんは放っておいて、本筋に戻るとしましょうか。アデールはピアノが置いてある講堂で待っていますから」
そう言うと、彼は踵を返して歩き出した。
マクシミリアンはクリスティーナに向かってクルリと目を回して見せると、彼女の背に手を添えギョームの後を追う。
孤児院の中は古びているけれども掃除は行き届いていて清潔だ。そこかしこに、何度も修繕を繰り返した跡があった。
途中、幾度か子どもたちとすれ違う。
見た限りでは、三歳ほどから十歳をいくつか過ぎたくらいの子までで、年齢がバラバラな数人のまとまりで活動しているようだった。大きな子が小さな子の面倒を見ているらしい。
また今通り過ぎて行った子どもたちを見送りながら、クリスティーナは首をかしげる。
「ここには何人くらいの子どもたちがいるのですか?」
「赤子から十三歳までが三十二人だ。十四歳の誕生日を迎えたら、ここを出て働きに出る。ほとんどは、私のところで雇うことになるかな」
「どんなお仕事があるのですか?」
「色々だなぁ。私がやっているのは運輸とホテル経営が主だけど、そこから派生する仕事は様々だから、大体皆、適した職種に就けていると思うよ。ラルスとル・アールとサン・ブニュのそれぞれ五つの孤児院を支援していてね、数年前からぼちぼち軌道に乗り始めている」
つまり、もう何人もの子どもたちを支え、送り出してきたということだ。しかも、ただお金を出すだけでなく、こうやって足を運び、実際に彼らのことを見ながら。
クリスティーナは称賛と懸念の混じる眼差しで隣を歩くマクシミリアンを見上げる。
大人の従業員だけでなく、子どもたちのことまで。
(この方は、いったいどれほどの人の人生を背負っているの?)
たくさんの子どもたちを救うことはとても素晴らしいことだけれども、それは、一人の肩には過ぎる重責ではないのだろうか。
(たくさんの人を支えるマクシミリアンさまのことを支えてくれる人は、いるの?)
マクシミリアンの傍には、アルマンが控えている。
でも、裏を返せば彼くらいしか見たことがないし、アルマンは常に一歩下がっている感じだ。クリスティーナは、マクシミリアンの隣に立って、彼と対等の立場で支える人にいて欲しかった。
あるいは、クリスティーナが知らない誰かが、他にたくさんいるのかもしれない。
それならそれでいいと思った。
誰でもいいから、クリスティーナは蚊帳の外に置かれていてもいいから、マクシミリアンの傍に誰かがいてくれるのならば、それでいい。
クリスティーナは願い、そしてこっそり唇を噛む。
でも、きっと、そんな人はいない。
きっと、マクシミリアンは独りで立つ人だ――常に、どんな時でも。
あの、夜。
あの夜のように悪夢にうなされる彼のことを知っている人も、多分、いないのだろう。
胸の中に巣食う闇も彼は独りで奥深くに抱え込み、決して誰にも見せようとはしない。
確かに誰にでも笑顔を向けるけれども、誰一人としてその内側には立ち入れさせないのだと思う。クリスティーナにそうしているように、柔らかな笑みで拒むのだろう。
皆に灯を与えながら、自分はその恩恵を得ようとはしない。
不意に、暗い中でポツリと佇む彼の姿が脳裏に浮かんで、クリスティーナの胸が重苦しく痛んだ。無性に、もやもやする。
そんなマクシミリアンでいて欲しくない。
彼には、光と温もりが似合うと思うのに。
――あんなふうに夢に追われて縋りついてくるマクシミリアンの姿を目の当たりにしていなければ、クリスティーナは今でも彼が光に満ちた人だと信じていただろう。けれど、今は、その光の奥にある闇が見えてしまった。
クリスティーナは、マクシミリアンの腕にかけた手に力を込める。その力は、彼の気を引くのに充分な強さになってしまったらしい。
「どうかした?」
見下ろしてきた彼に、クリスティーナはこの胸にあるものを打ち明けたかった。
けれど、それを告げて彼が心の内を露わにするとは思えない。むしろ、その心を覆う鎧を厚くしてしまうところを想像できてしまう。
だからクリスティーナは微笑んだ。
「少し、つまずいてしまって」
彼はその言葉を信じたのか、彼女に向けて笑みを返してくる。
「大丈夫? 足を捻らなかった?」
「大丈夫です」
マクシミリアンの気遣いの言葉に、何故か不意に泣きたくなった。
いや、違う。
もっとひりつくようなこの感じは、もどかしいというか、苛立たしいというか。
自分にどんな表情が浮かんでいるか判らなくて、クリスティーナは足元を見る振りをして顔を伏せる。
彼女のその態度の不自然さに気付いていないはずがないのに、マクシミリアンからはそれ以上何か声をかけてくることはなかった。二人とも、ただ黙って前を行くギョームに続く。
それから間もなくして講堂に着いた時、クリスティーナは、マクシミリアンと距離を置けることにほんの少しだけホッとした。
1
お気に入りに追加
319
あなたにおすすめの小説
傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~
日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】
https://ncode.syosetu.com/n1741iq/
https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199
【小説家になろうで先行公開中】
https://ncode.syosetu.com/n0091ip/
働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。
地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?
【完結】誕生日に最低なフラれ方をしたので神様に溺愛してくれるイケメンを所望してみた
灰銀猫
恋愛
今日は私の誕生日。その日は付いていなかった。エアコンは壊れるわ、駅の階段で転んで怪我するわと散々なスタートだったが、それでも付き合っている彼にホテルのレストランを予約したと言われた私は、浮足立っていた。同僚からは、「いよいよプロポーズ?」なんて言われてその気になっていたけれど……
「別れてくれ。俺、美優ちゃんと付き合うんだ」
宣告されたのは想定していた言葉とは真逆で、しかも決定事項。
(ああ、神様! 誕プレに私だけを愛して甘やかしてくれるスパダリイケメンを下さい! つーか寄こせ―――!!!)
そう願った次の瞬間、気が付けば暗い森の中にいて……
暑さ疲れからのおかしなテンションで書いたものなので、設定ゆるゆるでノリと勢いだけです。
苦情は受け付けませんので、お心の広い方のみお読みください。
タグは話が進むと追加の可能性あり。
9/5 R18を取り下げました。
今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!
ユウ
恋愛
三年前、夫の願いにより義両親との同居を求められた私はは悩みながらも同意した。
苦労すると周りから止められながらも受け入れたけれど、待っていたのは我慢を強いられる日々だった。
それでもなんとななれ始めたのだが、
目下の悩みは子供がなかなか授からない事だった。
そんなある日、義姉が里帰りをするようになり、生活は一変した。
義姉は子供を私に預け、育児を丸投げをするようになった。
仕事と家事と育児すべてをこなすのが困難になった夫に助けを求めるも。
「子供一人ぐらい楽勝だろ」
夫はリサに残酷な事を言葉を投げ。
「家族なんだから助けてあげないと」
「家族なんだから助けあうべきだ」
夫のみならず、義両親までもリサの味方をすることなく行動はエスカレートする。
「仕事を少し休んでくれる?娘が旅行にいきたいそうだから」
「あの子は大変なんだ」
「母親ならできて当然よ」
シンパシー家は私が黙っていることをいいことに育児をすべて丸投げさせ、義姉を大事にするあまり家族の団欒から外され、我慢できなくなり夫と口論となる。
その末に。
「母性がなさすぎるよ!家族なんだから協力すべきだろ」
この言葉でもう無理だと思った私は決断をした。
モテ男とデキ女の奥手な恋
松丹子
恋愛
来るもの拒まず去るもの追わずなモテ男、神崎政人。
学歴、仕事共に、エリート過ぎることに悩む同期、橘彩乃。
ただの同期として接していた二人は、ある日を境に接近していくが、互いに近づく勇気がないまま、関係をこじらせていく。
そんなじれじれな話です。
*学歴についての偏った見解が出てきますので、ご了承の上ご覧ください。(1/23追記)
*エセ関西弁とエセ博多弁が出てきます。
*拙著『神崎くんは残念なイケメン』の登場人物が出てきますが、単体で読めます。
ただし、こちらの方が後の話になるため、前著のネタバレを含みます。
*作品に出てくる団体は実在の団体と関係ありません。
関連作品(どれも政人が出ます。時系列順。カッコ内主役)
『期待外れな吉田さん、自由人な前田くん』(隼人友人、サリー)
『初恋旅行に出かけます』(山口ヒカル)
『物狂ほしや色と情』(名取葉子)
『さくやこの』(江原あきら)
『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい!』(阿久津)
死を回避したい悪役令嬢は、ヒロインを破滅へと導く
miniko
恋愛
お茶会の参加中に魔獣に襲われたオフィーリアは前世を思い出し、自分が乙女ゲームの2番手悪役令嬢に転生してしまった事を悟った。
ゲームの結末によっては、断罪されて火あぶりの刑に処されてしまうかもしれない立場のキャラクターだ。
断罪を回避したい彼女は、攻略対象者である公爵令息との縁談を丁重に断ったのだが、何故か婚約する代わりに彼と友人になるはめに。
ゲームのキャラとは距離を取りたいのに、メインの悪役令嬢にも妙に懐かれてしまう。
更に、ヒロインや王子はなにかと因縁をつけてきて……。
平和的に悪役の座を降りたかっただけなのに、どうやらそれは無理みたいだ。
しかし、オフィーリアが人助けと自分の断罪回避の為に行っていた地道な根回しは、徐々に実を結び始める。
それがヒロインにとってのハッピーエンドを阻む結果になったとしても、仕方の無い事だよね?
だって本来、悪役って主役を邪魔するものでしょう?
※主人公以外の視点が入る事があります。主人公視点は一人称、他者視点は三人称で書いています。
※連載開始早々、タイトル変更しました。(なかなかピンと来ないので、また変わるかも……)
※感想欄は、ネタバレ有り/無しの分類を一切おこなっておりません。ご了承下さい。
英雄になった夫が妻子と帰還するそうです
白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。
愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。
好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。
今、目の前にいる人は誰なのだろう?
ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。
珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥)
ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。
旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。
ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。
実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。
ネコ科に愛される加護を貰って侯爵令嬢に転生しましたが、獣人も魔物も聖獣もまとめてネコ科らしいです。
ゴルゴンゾーラ三国
ファンタジー
猫アレルギーながらも猫が大好きだった主人公は、猫を助けたことにより命を落とし、異世界の侯爵令嬢・ルティシャとして生まれ変わる。しかし、生まれ変わった国では猫は忌み嫌われる存在で、ルティシャは実家を追い出されてしまう。
しぶしぶ隣国で暮らすことになったルティシャは、自分にネコ科の生物に愛される加護があることを知る。
その加護を使って、ルティシャは愛する猫に囲まれ、もふもふ異世界生活を堪能する!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる