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533話 力量差

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地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・五の型、流星りゅうせい!」

魔光斬イーブルスラッシュ!」

 俺の両手のひらから放たれた気功波、
 魔族の騎士が振りかぶった剣から放たれた魔力の斬撃波ざんげきは
 重なって優羽花ゆうかに迫る。

 だが彼女は手にした星剣を真横に一閃させて、
 俺達の技を斬り散らして掻き消した。

 今の攻撃は、
 俺もディラムも攻撃技として万全の態勢で力を練り上げて
 撃ち放ったものである。
 
 アニメや漫画で言うならば…
 ただ手をかざした放った技名無しの通常の気功波ではなく、
 必殺技のかめ〇め波ということである。
  
 だが優羽花ゆうかは…
 そんな俺達の必殺の攻撃を、
 ただの剣の一振りで打ち消して無力化して見せた。

 必殺のかめ〇め波が只のグーパンで打ち消されれば
 最早絶望しか無いだろう。

 だがこれこそが…
 今の俺達と優羽花ゆうかの歴然たる力の差を
 明確に現しているということなのだ。

地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・一の型、雷迅らいじん!」

魔光剣イーブルソード!」

 俺は雷撃状の気を纏った正拳突きを、
 魔族の騎士はその手に握った剣に魔力の光を纏わせた斬撃を、
 優羽花ゆうかに向けて繰り出した。

 だが彼女は手にした星剣を振るって
 俺達の攻撃の悉くを撃ち払って見せた。


「うおおおお!」

「はっ!」

 しかし俺とディラムは怯むことなく、
 優羽花ゆうかへの攻撃を続行する。

 妹の左右から挟み込んで、
 死角からの拳と剣の絶え間ない音速の連続攻撃。

 幾ら俺たちと力の差が有ろうとも…
 数の多さ手数の多さは如何ともし難いだろう。

 俺とディラムは気と魔力を纏った必殺の攻撃を
 連続で叩き込むことで
 優羽花ゆうかを防戦一方に釘付けにして、
 こちらへの攻撃の手を止めさせた。

「くっ…重い」

 だが優羽花ゆうかの俺たちの攻撃を凌ぐ、
 言わば防御のための剣撃でさえも…
 俺達へは重い一撃として身体に伝わって、
 ダメージとして蓄積されてしまう。
 気を抜いたら…
 そのまま大きく跳ね飛ばされてしまいそうである。

 傍目には怒涛の攻撃ラッシュで
 優羽花ゆうかを追い詰めている様に見える俺達ではあるが…
 実際に追い詰められているのは俺達側というのが実情である。

 防御のための動きすらダメージになる。
 それ程までに優羽花ゆうかとは力の差がある事を、
 心底実感させられた。

 だがそれでも…
 攻撃の手を緩めることは出来ない。
 もし優羽花ゆうかが攻撃に転じようものなら、
 俺達は一気にやられてしまうからである。
 だから常に攻撃し続けるしかないのだ。

 俺とディラムと優羽花ゆうかの気と魔力、
 力と力のぶつかり合いは
 衝撃波と化して周囲を空間ごと揺るがした。
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