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454話 教会の接触

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 エクスラント聖王国の地方都市グリンジス郊外に広がる大森林の
 その端にある小山に存在する洞窟。
 此処は魔界に生息する魔族の竜、
 魔竜エビルドラゴンリュシウムが住まう
 【竜穴ドラゴンホール】と呼称されている。

 洞窟の奥に広がる中央空間ホール
 その中央に鎮座する巨大な魔竜リュシウムは
 今迄には感じなかった種類の”力”の接近を感じ取り、
 その長い首を高く伸ばすと周囲を伺った。

「オオオ…そう強くは無いが、
魔界では感じたことの無い種類の力…
これは一体?」

「これは光属性の魔力じゃな」

「アポクリファル様ッ!
これが…闇属性魔力を持つ我等魔族に対し
絶大な力を発揮するという
光属性の魔力なのですかッ!?」

「そうじゃリュシウム。
お前さんは若い魔族だから実際に感じるのは初めてという事になるのう。
儂ら古参の魔族からすれば500年前の大戦時によく見知った魔力じゃよ。

ふむ…一人じゃないのう。
複数、いや集団でいる居る様じゃな」

 魔導将アポクリファルは宙に向けてひとさし指を差した。
 空中に洞窟の外の景色が映し出される。
 魔法によるリアルタイム投射映像ヴィジョン
 そこには白い法衣を纏った者と
 白い鎧に身を包んだ者とで構成された、
 大人数の人間の集団が映し出されていた。

「これは人間共の宗教組織、【教会】に所属する者達じゃな。
法衣を着た者が神官、
鎧を着た者が教会騎士じゃ。

ひとりひとり魔力数値自体は
500年前の光属性魔力を持っていた人間達より
だいぶ弱いみたいじゃが、
光属性魔力自体は人間しか持たぬ属性かつ、
光属性を持って生まれて来る人間自体が少ないという
極めて希少レアな存在じゃ。
それをこれだけの人数を揃えているとはのう…。

リュシウムよ。
光属性魔力は儂ら魔族に取って天敵、
魔力数値が低いからといって油断せぬ事じゃ」

「アポクリファル様…心得たッ!」

 魔竜リュシウムは人間より遙かに優れた”竜の感覚”を広げると、
 【竜穴ドラゴンホール】の入り口へとやって来た
 教会の集団を注意深く見据えた。






********






「私は聖王国における国教級宗教組織、
【教会】を代表する教会長を務めるクリストと申す者ですじゃ。
こちらに絶大なお力を持つ魔竜エビルドラゴン
リュシウム様という御方が住まわれていると聞き及び…
ご挨拶に参上いたした次第ですじゃ」

 いかにも清廉潔白というばかりの
 真っ白に輝く法衣に身を包んだ年配の男は、
 竜穴ドラゴンホールの奥の中央空間ホールに鎮座する
 巨大な魔竜リュシウムに向かってうやうやしくこうべを垂れた。
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