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第232話 混乱の果て
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魔力心臓核。
魔法を修得する上で最初に認識する必要がある、
自身の魔力の源。
それは身体の器官ではなく概念に近いもの。
基本的には生き物の”真芯”の箇所にあると言われている。
生き物の個体差、
人間の個人差によってその箇所は変わるというのが魔法学者であるミリィの言葉。
ポーラ姫は率先して俺の魔力心臓核の捜索を願い出た。
だが俺の胸の箇所には魔力心臓核は見つからなかった。
そこでポーラ姫は俺の腹部へと捜索範囲を移した。
だがそれでも見つからない。
人間の”真芯”の箇所…
すなわち人間の真ん中の箇所…
胸、腹と来て…
次は下腹部の捜索という訳である。
しかしそれが意味することは…
俺の”分身”にポーラ姫の指先が触れるということにいいいいいいい!?
「や…やめるんだ、ポーラ…。
それ以上は…」
絶体絶命の危機に陥った俺はポーラ姫に諭すように話しかける。
これ以上の彼女の進撃は何としても止めなくてはいけない。
もし俺の下腹部への侵攻を許してしまえば…
俺の『瞑想』を持っても平静を保ち続けることは不可能なのだから!
「は、はい…お兄様…。
わ、わたくしもこれ以上は…その…」
ポーラ姫は顔を真っ赤にしながら手の動きを停めた。
ああ…そうか…
彼女も恥ずかしかったんだ…
そりゃあそうだよなあ…
よしここは…
俺は彼女を止めるべく言葉を続ける。
「ポーラ、
ここは一度冷静になって落ち着いて、
ひと休みしようじゃないか?
そうしたら…見逃していた魔力心臓核が、
案外簡単に見つかるなんてこともあるかも知れないぞ?」
よし!
これで彼女が一度引き下がって
俺の身体から手を放してくれれば、
その瞬間に俺は『瞑想』を解除出来る。
それで精神と同調していると思われる
魔力心臓核も活性化して、
その箇所が瞬く間に見つかる筈なのである。
俺はこの危機一髪の状況を抜け出す筋道を早急に組み立てた。
これで何とかなるはず…。
「でも…他らなぬケイガお兄様の為…
お兄様が一刻も早く魔法をご修得されるためにも…
ポーラは恥も外聞もかなぐり捨てて!
魔力心臓核の捜索を
精一杯頑張りますわ!」
「…ファッ!?」
ポーラ姫はそう述べると
俺の下腹部への再進撃を開始した。
「…大丈夫ですわお兄様!
天井の染みを数えていればすぐに終わりますわ!」
「ちょっ…ポーラっ?
何言ってんのおおおお!?」
ポーラ姫はその綺麗な青い瞳をぐるぐると回しながら、
俺の下腹部へとその手を近付けて来る。
まずい…彼女は羞恥の余り正気を失って混乱していると見て取れる。
この状態では俺の言葉が耳に届いていない可能性が高い。
つまり言葉での説得は不可能という事か!?
…ま、まずいっ!?
俺は”死”を覚悟した。
魔法を修得する上で最初に認識する必要がある、
自身の魔力の源。
それは身体の器官ではなく概念に近いもの。
基本的には生き物の”真芯”の箇所にあると言われている。
生き物の個体差、
人間の個人差によってその箇所は変わるというのが魔法学者であるミリィの言葉。
ポーラ姫は率先して俺の魔力心臓核の捜索を願い出た。
だが俺の胸の箇所には魔力心臓核は見つからなかった。
そこでポーラ姫は俺の腹部へと捜索範囲を移した。
だがそれでも見つからない。
人間の”真芯”の箇所…
すなわち人間の真ん中の箇所…
胸、腹と来て…
次は下腹部の捜索という訳である。
しかしそれが意味することは…
俺の”分身”にポーラ姫の指先が触れるということにいいいいいいい!?
「や…やめるんだ、ポーラ…。
それ以上は…」
絶体絶命の危機に陥った俺はポーラ姫に諭すように話しかける。
これ以上の彼女の進撃は何としても止めなくてはいけない。
もし俺の下腹部への侵攻を許してしまえば…
俺の『瞑想』を持っても平静を保ち続けることは不可能なのだから!
「は、はい…お兄様…。
わ、わたくしもこれ以上は…その…」
ポーラ姫は顔を真っ赤にしながら手の動きを停めた。
ああ…そうか…
彼女も恥ずかしかったんだ…
そりゃあそうだよなあ…
よしここは…
俺は彼女を止めるべく言葉を続ける。
「ポーラ、
ここは一度冷静になって落ち着いて、
ひと休みしようじゃないか?
そうしたら…見逃していた魔力心臓核が、
案外簡単に見つかるなんてこともあるかも知れないぞ?」
よし!
これで彼女が一度引き下がって
俺の身体から手を放してくれれば、
その瞬間に俺は『瞑想』を解除出来る。
それで精神と同調していると思われる
魔力心臓核も活性化して、
その箇所が瞬く間に見つかる筈なのである。
俺はこの危機一髪の状況を抜け出す筋道を早急に組み立てた。
これで何とかなるはず…。
「でも…他らなぬケイガお兄様の為…
お兄様が一刻も早く魔法をご修得されるためにも…
ポーラは恥も外聞もかなぐり捨てて!
魔力心臓核の捜索を
精一杯頑張りますわ!」
「…ファッ!?」
ポーラ姫はそう述べると
俺の下腹部への再進撃を開始した。
「…大丈夫ですわお兄様!
天井の染みを数えていればすぐに終わりますわ!」
「ちょっ…ポーラっ?
何言ってんのおおおお!?」
ポーラ姫はその綺麗な青い瞳をぐるぐると回しながら、
俺の下腹部へとその手を近付けて来る。
まずい…彼女は羞恥の余り正気を失って混乱していると見て取れる。
この状態では俺の言葉が耳に届いていない可能性が高い。
つまり言葉での説得は不可能という事か!?
…ま、まずいっ!?
俺は”死”を覚悟した。
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