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バカップルからのご相談。
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壮絶な美しい顔を持つ吸血鬼プリンス、切れ長の赤目は闇に光り銀色の長い髪をたなびかせるという典型的美形吸血族が、なぜかゴミ捨て場で僕とピンク色の触手とたびたびこうして会話をするという、他にやることがないのか男子高校生みたいなライフワークをこなしているが、最近困ったことがある。
「その……」
「……なに?」
「えと……」
意外と喋りがおぼつかないプリンス君は白磁の頬をほんのりと赤らめながら、僕に流し目を向けてくる。
考えるな、このプリンスは男だ。やけに色っぽい視線やめい。
「まあ……」
俯くと銀色の雫みたいに、サラサラな髪が肩にかかってセクシーさが増した。
「痛っ!」
足元を見れば、ピンクの触手くんがちょっと怒って僕の足をぐるぐる巻きにして蛇みたいにとぐろ巻きして締め付けていた。ぷんぷん、ってやつだ。
「ちょっと、やめてよ……嫉妬しすぎでしょ……」
そんな彼氏ピンクを見て、キャ! と女子ばりに両手で顔を隠す吸血鬼……。
そして反応して照れてしまった触手くんもまた、僕たちから距離を離れて高速分身したり校舎に隠れ忍んだり……。
「ちょっと……どうしたいんだよ……二人とも……」
僕、帰れないんだけど……てかいい加減帰っていい?
そう言うと、彼らアッーカップルは僕を引き止めようとする。
そんなどうしようもない日々が毎週あって、そろそろ一ヶ月が経過した。
温厚だと評判の僕も、さすがにキレそうだ。今日もまた触手くんに確保されたし。昨日はプリンスだ。引きずられてズル向けだ。足がね? 彼ら人外は異様に人族に比べて力比べするまでもなく強いので、僕は授業が終わった途端、たちまちに拉致される。酷い奴らだ。人間への冒涜だ。訴えてやりたい。
「で? 今日は何?
また同じように南條君はモゴモゴ、ピンクはピンクでしょ」
人間代表としても物申したい。仁王立ちして、しっかりと彼ら二人にしっかと雷光光らせるが如く強めに立つと、さすがに彼らも察するものはあるらしい。
南條君は白い顔をさらに白くさせて漂白気味に、ピンクはさらにピンクになった。薄いな。
「えと……ごめんね、
はっきりとしなくて……」
「うん」
”まずは……これを読んでほしい”
渡されたスケッチブック。いつもの手書きはさらなる進化を遂げていた。
吸血鬼君の文字も追加されていたのだ。黙読するとあれ、プリンスは文字は下手らしい、特徴的な文字だが読みづらいうえに、触手君の達筆な赤字修正がある。赤点先生か。いや、赤点触手か……。
まあいい。僕は根気良く、この分厚い束を飲むようにして読み込んだ。
……。
ああ、うん。
まあ……そうだろうとは予感してたけど。
「もっと早く言ってくんない?」
特に南條君は触手くんと違い、上の口があるんだからさぁ……!
と僕は今までの失われた時間を思った。
「ごめん……」
”すみません”
「ごめんですめば警察はいらないよ」
要約するとこうだ。
互いに初心者すぎてエッチができない。
「知らねーよ!」
てかやっぱり手が早いじゃねーか触手くん!
「その……」
「……なに?」
「えと……」
意外と喋りがおぼつかないプリンス君は白磁の頬をほんのりと赤らめながら、僕に流し目を向けてくる。
考えるな、このプリンスは男だ。やけに色っぽい視線やめい。
「まあ……」
俯くと銀色の雫みたいに、サラサラな髪が肩にかかってセクシーさが増した。
「痛っ!」
足元を見れば、ピンクの触手くんがちょっと怒って僕の足をぐるぐる巻きにして蛇みたいにとぐろ巻きして締め付けていた。ぷんぷん、ってやつだ。
「ちょっと、やめてよ……嫉妬しすぎでしょ……」
そんな彼氏ピンクを見て、キャ! と女子ばりに両手で顔を隠す吸血鬼……。
そして反応して照れてしまった触手くんもまた、僕たちから距離を離れて高速分身したり校舎に隠れ忍んだり……。
「ちょっと……どうしたいんだよ……二人とも……」
僕、帰れないんだけど……てかいい加減帰っていい?
そう言うと、彼らアッーカップルは僕を引き止めようとする。
そんなどうしようもない日々が毎週あって、そろそろ一ヶ月が経過した。
温厚だと評判の僕も、さすがにキレそうだ。今日もまた触手くんに確保されたし。昨日はプリンスだ。引きずられてズル向けだ。足がね? 彼ら人外は異様に人族に比べて力比べするまでもなく強いので、僕は授業が終わった途端、たちまちに拉致される。酷い奴らだ。人間への冒涜だ。訴えてやりたい。
「で? 今日は何?
また同じように南條君はモゴモゴ、ピンクはピンクでしょ」
人間代表としても物申したい。仁王立ちして、しっかりと彼ら二人にしっかと雷光光らせるが如く強めに立つと、さすがに彼らも察するものはあるらしい。
南條君は白い顔をさらに白くさせて漂白気味に、ピンクはさらにピンクになった。薄いな。
「えと……ごめんね、
はっきりとしなくて……」
「うん」
”まずは……これを読んでほしい”
渡されたスケッチブック。いつもの手書きはさらなる進化を遂げていた。
吸血鬼君の文字も追加されていたのだ。黙読するとあれ、プリンスは文字は下手らしい、特徴的な文字だが読みづらいうえに、触手君の達筆な赤字修正がある。赤点先生か。いや、赤点触手か……。
まあいい。僕は根気良く、この分厚い束を飲むようにして読み込んだ。
……。
ああ、うん。
まあ……そうだろうとは予感してたけど。
「もっと早く言ってくんない?」
特に南條君は触手くんと違い、上の口があるんだからさぁ……!
と僕は今までの失われた時間を思った。
「ごめん……」
”すみません”
「ごめんですめば警察はいらないよ」
要約するとこうだ。
互いに初心者すぎてエッチができない。
「知らねーよ!」
てかやっぱり手が早いじゃねーか触手くん!
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