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目録(作者用途 辞典的なもの) 番外編

魔法使い(女)番外編。

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 三十年以上私はこの異世界を彷徨ってきたが、不思議なことに恋愛のレの字とうまくタイミング合う機会がなかった。不思議なことに。それがどうしてか、このような人と出会うことになるとは思わなかった。
 まず出会い方そのものもおかしかったが、こんな関係になるとも露ほどに思わなんだ。
 おかしなことだ。
 
 「本当に」

 妙な縁ですらある。
鳥たちはかしましく、猫はなつく。
竜は騒がしく、星は瞬く。
人はうるさい。でも親切。たまに嫌になるけど。でも。

 ひとりぼっちだと思っていた。
ずっと、これからもそうだと。

 顔のシワは少しずつ増えてはいたし、たるみは嫌ではあったけれども白髪だってそのうち、嫌がおうにも出てくるだろうと考えていた。
 だのに、こんな人生を歩むことになるなんて。
 まさしく人並みの生き方。

 まあ、まず異世界にいる時点でおかしいことではあるが……。

 「ご飯だ……、……」

 ああ、私を呼ぶ声がする。
彼の名を私もまた言い返した。

 振り返ると、暖かな家があった。ぬくもりのある家。
 昔、私が帰っていた自宅とはまた違う趣だけれども、まあ異国情緒あっていいんではないでしょうか。
 惜しむらくは、私のこの家や姿、形、思い出を、家族である親や兄、友達に教えて笑い合うことができないことぐらい。

 (といっても……)

 もう、かなり昔の話だ。
記憶というものは消えていく。似た匂いを思い起こせば、なんとか。けど。

 「……どうし……、……?」

 柔和な彼はたちまちに私を大事にしてくれている。
私もまた、大事にしなければ。

 これはとても、とても大事な時間なのだ。
 だから、私は生きている。
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