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18.5 冒険者ギルド
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途中、依頼票の貼られた掲示板が目に入った。
五級の俺でも受けられる依頼も、それなりにありそうだ。
(下水道の清掃、鼠退治、迷い猫探し……、五級でも受けられる魔物退治も一応あるな)
冒険者ギルドを出ると、まっすぐに人神の神殿へと向かう。
寄り道などしたら、フレキがへそを曲げてしまうだろう。
神殿に到着すると、先ほど対応してくれた門番にギルドカードを見せる。
「おお、早速来たな。少年。確かに確かに。身分証はばっちりだ。記帳してくれ」
指示に従い、記帳を済ませる。
「少年、人神さまのご加護を」
「ありがとう」
俺は門番にお礼をいって、人神の神殿の門をくぐった。
信者たちの服装は様々だが、白い服を着ている者はいない。
白い服の着用を許されるのは神官だけのようだ。
神官は、金や銀、青や赤の装飾が施された白い絹のガウンを身につけている。
それが人神の神官服なのだろう。
(死神の神殿はないから……神官もいないし、よって神官服もない、か)
少し寂しさを感じながら、俺は信者の列に交じって少し歩き、大きな建物の中へと入る。
天井の高い大きな部屋があり、正面に大きな像があった。
恐らく人神の神像だろう。
その像に向かって、信者たちは両膝と頭と両手を地面につけて、礼拝している。
人は沢山いるが、誰も何も言わず、物音も立てない。静謐な空間だった。
俺は立ったまま神像をじっと見る。
神像自体はただの石だ。だが、
(神域に雰囲気が似ているな)
神気とでも言うべき、厳かな空気がだ漂っている。
もちろん、神域に比べたら神気の濃度はなきに等しいほど薄いものだ。
だが、ここは、確かに人神の領域なのだと俺に実感させるには充分だった。
(人神さま。信者ではありませんが、ご挨拶に参りました。よろしくお願いいたします)
俺は心の中で挨拶する。
俺は死神の使徒だが、他の神に敬意を払わなくてよいというわけではない。
不死神は別だが、他の神とは友好的な関係を築きたいものだ。
(人神さま。私が扱うべき神器がこの近くにあるようです。探すことをお許しください)
心の中で人神に挨拶を済ませてから、神具である大鎌のありかを探る。
(ん? 地下か?)
中に入って初めて気付いたが、鎌の気配はどうやら下にあるらしい。
(しかも、これは、かすかにだが不死者の気配?)
人神の神気のせいで不死者の気配に気付くのが遅れた。
だが、確かにこれは不死者の気配である。
(どこだ?)
気配を探るために、集中していると、
「どうかされましたか?」
後ろから声を掛けられた。
五級の俺でも受けられる依頼も、それなりにありそうだ。
(下水道の清掃、鼠退治、迷い猫探し……、五級でも受けられる魔物退治も一応あるな)
冒険者ギルドを出ると、まっすぐに人神の神殿へと向かう。
寄り道などしたら、フレキがへそを曲げてしまうだろう。
神殿に到着すると、先ほど対応してくれた門番にギルドカードを見せる。
「おお、早速来たな。少年。確かに確かに。身分証はばっちりだ。記帳してくれ」
指示に従い、記帳を済ませる。
「少年、人神さまのご加護を」
「ありがとう」
俺は門番にお礼をいって、人神の神殿の門をくぐった。
信者たちの服装は様々だが、白い服を着ている者はいない。
白い服の着用を許されるのは神官だけのようだ。
神官は、金や銀、青や赤の装飾が施された白い絹のガウンを身につけている。
それが人神の神官服なのだろう。
(死神の神殿はないから……神官もいないし、よって神官服もない、か)
少し寂しさを感じながら、俺は信者の列に交じって少し歩き、大きな建物の中へと入る。
天井の高い大きな部屋があり、正面に大きな像があった。
恐らく人神の神像だろう。
その像に向かって、信者たちは両膝と頭と両手を地面につけて、礼拝している。
人は沢山いるが、誰も何も言わず、物音も立てない。静謐な空間だった。
俺は立ったまま神像をじっと見る。
神像自体はただの石だ。だが、
(神域に雰囲気が似ているな)
神気とでも言うべき、厳かな空気がだ漂っている。
もちろん、神域に比べたら神気の濃度はなきに等しいほど薄いものだ。
だが、ここは、確かに人神の領域なのだと俺に実感させるには充分だった。
(人神さま。信者ではありませんが、ご挨拶に参りました。よろしくお願いいたします)
俺は心の中で挨拶する。
俺は死神の使徒だが、他の神に敬意を払わなくてよいというわけではない。
不死神は別だが、他の神とは友好的な関係を築きたいものだ。
(人神さま。私が扱うべき神器がこの近くにあるようです。探すことをお許しください)
心の中で人神に挨拶を済ませてから、神具である大鎌のありかを探る。
(ん? 地下か?)
中に入って初めて気付いたが、鎌の気配はどうやら下にあるらしい。
(しかも、これは、かすかにだが不死者の気配?)
人神の神気のせいで不死者の気配に気付くのが遅れた。
だが、確かにこれは不死者の気配である。
(どこだ?)
気配を探るために、集中していると、
「どうかされましたか?」
後ろから声を掛けられた。
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