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10.5 初めての戦闘
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ずっと前にフレキから習ったことを思い出した。
不死者には、大きく分けて二種類ある。
一つは、死後、何らかの理由で天に還れなくなった者。
この場合の不死者は自分の意志で動いているものもいる。
未練を無くしてやったり、説得すれば自分から天に還ることもあるらしい。
長くとどまりすぎたり、その他の理由で自我を失っている場合もある。
だが、死神の使徒が奇跡を使えば天に還るのだ。
もう一つは、不死神から祝福を授けられた者。
天に還らずにいる不死者に、不死神がそのまま地上で暮らせるよう祝福を与えるのだ。
それは不死神の権能。不死神の使徒が行使する奇跡でもある。
不死神の祝福を受けた者には、死神の使徒の奇跡は通じない。
『死神さまの敵じゃ! 殲滅せねばならぬ』
不死神の祝福を受け、眷属となった者には自我自体はある。
だが、その自我が体を動かすことはない。
不死者の本能に従い、動くしかなくなるのだ。
愛する者を庇護したいあまり天に還らず、不死者になった者が、愛する者を庇護することはある。
だが、その不死者が、不死神に目をつけられて、祝福されてしまえば、意志の通り行動することができなくなるのだ。
その不死者は、本能に従い愛する者を食らってしまうという。
残っている自我は、自分が愛する者を食らうところを見ていることしかできないのだ。
自我はそのままに、肉体の制御を失い、痛みと苦しみを覚えながら、腐敗し続け、永遠に苦しむことになる。
「安心しろ。死神は、お前たちを救ってくださる」
俺は起き上がりながら、魔法で不死者たちを攻撃する。
人の不死者の右腕がはじけ飛ぶ。腕が取れても、不死者は動きを変えない。
魂は痛みを覚え悲鳴を上げているが、体は痛みを気にせず、不死者の本能だけで動く
「いま、救ってやるからな」
痛みや苦しみを長引かせるのは、可哀想だ。
肉体を失えば不死神の祝福は、その効果を失う。
そうすれば、死神の使徒の権能が通じ、天に還すことができるようになる。
俺は効率よく肉体にダメージを与えるため、人の不死者の体を魔法の炎で包みこむ。
――ギャアアアアアアア
全身を炎に包まれた不死者はおぞましい悲鳴をあげて、暴れ回る。
周囲の木々に燃え移った。
その炎を、フレキや母たちが魔法で消してくれる。
『不死者はまず手足を潰すのじゃ! こやつらは、機能的に潰すまで、動きつづけるのじゃからな』
「わかった!」
『おおっと、危ないのじゃ。手足を潰し、心臓を取り出せば、死神さまの権能は通じるじゃろ!』
不死者たちは、攻撃の矛先をフレキに向ける。
俺よりもフレキが恐ろしいと気付いたらしい。
フレキは、俺に助言を与えながら、不死者たちから大きく距離を取り、魔法を駆使して戦っていた。
「お前たちの相手は俺だ!」
俺は不死者たちの背後から襲いかかり、
「がああああう」
フレキは吠えて、母たちをさらに後方へと下がらせながら、自らも後退している。
やはり、牙を使えないので戦いにくいようだ。
俺は背後から人の不死者の手足を魔法で砕き、素手で心臓を取り出す。
腐った血が俺に掛かる。
「がう!」
それをみた母が心配そうに鳴いた。
「大丈夫、母さん。俺には不死者の毒は効かない」
それも死神の使徒の権能の一つだ。
俺は手足を砕き、心臓を取りだした不死者に右手をかざし権能を行使する。
死神の奇跡を受けて、不死者は天に還っていく。
「……ア……リガト」
天に還る寸前、不死者はそう呟いて、微笑んだ。
「死神さまによろしくな」
それから俺は狼や熊、人の不死者を全て順番に天に還していった。
不死者たちの最後の一体を天に還したとき、
「ほう。何事かと思えば……死神の使徒か」
俺の真横に、突然何者かが現われた。
不死者には、大きく分けて二種類ある。
一つは、死後、何らかの理由で天に還れなくなった者。
この場合の不死者は自分の意志で動いているものもいる。
未練を無くしてやったり、説得すれば自分から天に還ることもあるらしい。
長くとどまりすぎたり、その他の理由で自我を失っている場合もある。
だが、死神の使徒が奇跡を使えば天に還るのだ。
もう一つは、不死神から祝福を授けられた者。
天に還らずにいる不死者に、不死神がそのまま地上で暮らせるよう祝福を与えるのだ。
それは不死神の権能。不死神の使徒が行使する奇跡でもある。
不死神の祝福を受けた者には、死神の使徒の奇跡は通じない。
『死神さまの敵じゃ! 殲滅せねばならぬ』
不死神の祝福を受け、眷属となった者には自我自体はある。
だが、その自我が体を動かすことはない。
不死者の本能に従い、動くしかなくなるのだ。
愛する者を庇護したいあまり天に還らず、不死者になった者が、愛する者を庇護することはある。
だが、その不死者が、不死神に目をつけられて、祝福されてしまえば、意志の通り行動することができなくなるのだ。
その不死者は、本能に従い愛する者を食らってしまうという。
残っている自我は、自分が愛する者を食らうところを見ていることしかできないのだ。
自我はそのままに、肉体の制御を失い、痛みと苦しみを覚えながら、腐敗し続け、永遠に苦しむことになる。
「安心しろ。死神は、お前たちを救ってくださる」
俺は起き上がりながら、魔法で不死者たちを攻撃する。
人の不死者の右腕がはじけ飛ぶ。腕が取れても、不死者は動きを変えない。
魂は痛みを覚え悲鳴を上げているが、体は痛みを気にせず、不死者の本能だけで動く
「いま、救ってやるからな」
痛みや苦しみを長引かせるのは、可哀想だ。
肉体を失えば不死神の祝福は、その効果を失う。
そうすれば、死神の使徒の権能が通じ、天に還すことができるようになる。
俺は効率よく肉体にダメージを与えるため、人の不死者の体を魔法の炎で包みこむ。
――ギャアアアアアアア
全身を炎に包まれた不死者はおぞましい悲鳴をあげて、暴れ回る。
周囲の木々に燃え移った。
その炎を、フレキや母たちが魔法で消してくれる。
『不死者はまず手足を潰すのじゃ! こやつらは、機能的に潰すまで、動きつづけるのじゃからな』
「わかった!」
『おおっと、危ないのじゃ。手足を潰し、心臓を取り出せば、死神さまの権能は通じるじゃろ!』
不死者たちは、攻撃の矛先をフレキに向ける。
俺よりもフレキが恐ろしいと気付いたらしい。
フレキは、俺に助言を与えながら、不死者たちから大きく距離を取り、魔法を駆使して戦っていた。
「お前たちの相手は俺だ!」
俺は不死者たちの背後から襲いかかり、
「がああああう」
フレキは吠えて、母たちをさらに後方へと下がらせながら、自らも後退している。
やはり、牙を使えないので戦いにくいようだ。
俺は背後から人の不死者の手足を魔法で砕き、素手で心臓を取り出す。
腐った血が俺に掛かる。
「がう!」
それをみた母が心配そうに鳴いた。
「大丈夫、母さん。俺には不死者の毒は効かない」
それも死神の使徒の権能の一つだ。
俺は手足を砕き、心臓を取りだした不死者に右手をかざし権能を行使する。
死神の奇跡を受けて、不死者は天に還っていく。
「……ア……リガト」
天に還る寸前、不死者はそう呟いて、微笑んだ。
「死神さまによろしくな」
それから俺は狼や熊、人の不死者を全て順番に天に還していった。
不死者たちの最後の一体を天に還したとき、
「ほう。何事かと思えば……死神の使徒か」
俺の真横に、突然何者かが現われた。
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