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幼少期編
18 オシャレなんてしませんが
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「ニコラス殿下の稽古を見に王宮へ!? それは大変です、お嬢様! ささ、とびきりのドレスを!」
「いいえ! ニコラス殿下はそのようなこと望まないと思うわ! だから普通のドレスで行きます!」
やめてほしい。
剣の稽古に着飾ってきたらニコラスに爆笑され、騎士団からは空気の読めない頭桃色な子認定される。
シェリーの異様なはりきりをかわし、どうにかシンプルなドレスに身を包む。
王宮に行くのは久しぶりだ。
夏にニコラスの誕生日で行ったっきりだが、もう冬も終わりごろ。
比較的温暖な気候のおかげで日向ぼっこができている。
しかし、冬なのだから寒い。
この寒い中剣の練習をしているのだ。
「姉上、いざとなればビンタをお見舞いしてくださいね!?」
「そんなことできるわけないじゃないの……寂しいのはわかるけど、私は大丈夫よ。またね、アーネスト」
アーネストは、一通りの稽古を終えてマナーを身に付けたら春には龍血の儀式を受ける予定になっている。
ぜひとも頑張ってほしい。
馬車に乗り込み、王宮へと走らせた。
外を見ていると自分がゲームの世界にいるんだなと実感させられる。人々は今、バレンタインに沸いていた。この中世ヨーロッパの世界観でバレンタインに盛り上がる。ちぐはぐなのだ。
食べ物も世界観も言語も文明も……説明のつかないものがある。
おかしいけど……でも、そのおかしな世界が現実なのだ。
「よく来てくれたね、エイリーン」
「お迎えありがとう存じます、ニコラス殿下」
エスコートされて王宮に降りる。
綺麗に作り笑顔をつけ、私たちは使用人たちをゾロゾロ引き連れて闘技場のようなところに入った。
王族ともなれば、小さな闘技場を庭園感覚で持っているらしい。財力半端ない。
「こんにちは、スパニッシュ嬢。きみのお父上から噂は聞いているが、なるほど聡明そうだ」
「ごきげんよう、キャロット公爵。お褒めにあずかり光栄ですわ」
キャロット公爵。また、キャロット騎士団長。
「ニコラス殿下が稽古をしている間、退屈でしょう? 暇潰しにと息子を連れて参りました」
キャロット公爵の隣に立つのは、父親に似た精悍な顔立ちの少年。
私たちと同い年のはずだが、少し筋肉もついているし、強そうだ。赤色の髪と真っ赤な目。
──攻略対象、ディーンだ。
「!? 公爵、聞いておりませんが!」
「ははは。殿下、行きましょう」
なるほどねー。
公爵も考えたものだ。
私とディーンをくっつけておきたいんだね。
私は高位の令嬢だし、龍血。キャロット公爵は出世欲があるわけじゃないだろうから、龍血を取り込んで龍血の強い孫が欲しいわけだ。そうすれば軍事のキャロット家は安泰だものね。
「エイリーン・ドラゴン・スパニッシュですわ」
「……ディーン・ドラゴン・キャロットだ」
さて。このプライドの高そうな坊っちゃんとどうやって仲良くなるべきか。
「いいえ! ニコラス殿下はそのようなこと望まないと思うわ! だから普通のドレスで行きます!」
やめてほしい。
剣の稽古に着飾ってきたらニコラスに爆笑され、騎士団からは空気の読めない頭桃色な子認定される。
シェリーの異様なはりきりをかわし、どうにかシンプルなドレスに身を包む。
王宮に行くのは久しぶりだ。
夏にニコラスの誕生日で行ったっきりだが、もう冬も終わりごろ。
比較的温暖な気候のおかげで日向ぼっこができている。
しかし、冬なのだから寒い。
この寒い中剣の練習をしているのだ。
「姉上、いざとなればビンタをお見舞いしてくださいね!?」
「そんなことできるわけないじゃないの……寂しいのはわかるけど、私は大丈夫よ。またね、アーネスト」
アーネストは、一通りの稽古を終えてマナーを身に付けたら春には龍血の儀式を受ける予定になっている。
ぜひとも頑張ってほしい。
馬車に乗り込み、王宮へと走らせた。
外を見ていると自分がゲームの世界にいるんだなと実感させられる。人々は今、バレンタインに沸いていた。この中世ヨーロッパの世界観でバレンタインに盛り上がる。ちぐはぐなのだ。
食べ物も世界観も言語も文明も……説明のつかないものがある。
おかしいけど……でも、そのおかしな世界が現実なのだ。
「よく来てくれたね、エイリーン」
「お迎えありがとう存じます、ニコラス殿下」
エスコートされて王宮に降りる。
綺麗に作り笑顔をつけ、私たちは使用人たちをゾロゾロ引き連れて闘技場のようなところに入った。
王族ともなれば、小さな闘技場を庭園感覚で持っているらしい。財力半端ない。
「こんにちは、スパニッシュ嬢。きみのお父上から噂は聞いているが、なるほど聡明そうだ」
「ごきげんよう、キャロット公爵。お褒めにあずかり光栄ですわ」
キャロット公爵。また、キャロット騎士団長。
「ニコラス殿下が稽古をしている間、退屈でしょう? 暇潰しにと息子を連れて参りました」
キャロット公爵の隣に立つのは、父親に似た精悍な顔立ちの少年。
私たちと同い年のはずだが、少し筋肉もついているし、強そうだ。赤色の髪と真っ赤な目。
──攻略対象、ディーンだ。
「!? 公爵、聞いておりませんが!」
「ははは。殿下、行きましょう」
なるほどねー。
公爵も考えたものだ。
私とディーンをくっつけておきたいんだね。
私は高位の令嬢だし、龍血。キャロット公爵は出世欲があるわけじゃないだろうから、龍血を取り込んで龍血の強い孫が欲しいわけだ。そうすれば軍事のキャロット家は安泰だものね。
「エイリーン・ドラゴン・スパニッシュですわ」
「……ディーン・ドラゴン・キャロットだ」
さて。このプライドの高そうな坊っちゃんとどうやって仲良くなるべきか。
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