瞳の奥に潜む野獣

果汁さん

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第二章

受付嬢、実は

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 受付嬢の狙いはなんだ。『不良ゴブリン』を倒させて何がしたい。


 一方で『適任者』同士の戦いは最初のダンジョンでは決して有り得ない戦闘が繰り広げられていた。
「いいわ! うん! これは私が望んでいた最高のシチュエーションよ! この前世はオ・タ・クっていうの? それを戦いに挑んできた変態どもを倒すのが私の楽しみなの。あ、行けない。これは仕事、仕事。しっかりねー!」
「(受付嬢・・・変態だった・・)」
 『変態』とは以下略。
「ひゃっはー!! ぶっ放す、ぶっ放す!! この世界の成功者を・・呪うんだ!!」
「ええい! だまれ! 両手銃で近寄るな!」
「主人公になりたい!」
「煩い! この変態!!」
「妖精の加護を使いなさい。カグラ様、貴方には女神の血が三分の一入ってるわ。妖精の加護も女神の力なのよ。さあ、あの変態もやっつけなさい」
「変態ってあの不良ゴブリンを倒すのは・・」
「変態は変態よ。さもないと貴方のポエムを喋るわ」
「な?!」
 酷い。このままだと最初のダンジョンで『変態』のワードがエリア内で響いてしまう。
「ちょっと待ったー!!」
 バモスの声だ。何処から?
「おいらは其処の彼女に用があるってんだ。大人しくクロを返せー!」
「え!? 彼女って?! えへ! 付き合ってないよ!!」
「だまれー!!」
「ちょっと空中から。きゃ!」
 此処からは見えないが多分、偉い事になっている。
「あ、バモスは小さいから今頃は・・・」
 最初のダンジョンが滅茶苦茶。
「おい、野獣。その姿はなんだ? 俺と同じ適任者か。なら」
 話は早いと言いたいそうだ。
「勝負だ。野獣、力は平等。仙人から教わっただろう。なあ」
「仙人を知っている?」
「そうだ。俺は・・・元野獣だ」
「?!」
「つまり・・・俺は敵じゃなく味方でもない」
「チッ! カグラが危ない」
「その蛇刀でまだ攻撃するか。まあだけどよぉー。動きが遅いんだよおー!」
 カチン! カキン! 剣同士のぶつかり合いが激しく俺は一方的に受けている。
「『野獣』のピンチが確認されました。援助します」
 機械音は『嵐の目』からの物だ。元野獣には通用しない。
 何者だ。
「(このままでは押されるだけだ。どうする? スペル騎士団の位置はまだこの層まで登れていない。二刀流は厄介なのに『適任者』の力で圧倒される。しかも最上級憑依のイフリートを扱える腕は八岐大蛇に匹敵する。奴は炎属性だ。毒と草の属性では敵わない)」
「互いの剣技を喰らいながらで悪いが一つ、いい事を教える」
「くっ! 強い・・」
「野獣のやり方で引退した連中。必ず仙人が導いてくれるそうだが仙人にも裏の顔があるようだ。貴様も八岐大蛇を連動させているそうだがそれは本当に御前の力か?」
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