Artificial intelligence

朝焼け

 早朝の爽やかな空気が朝のだるさ少しは打ち消してくれた。妻の寝室を通り過ぎ玄関に向かっているとふと、何気ない幸せを感じる。
 今日の新聞もいつも通り政府によって歪められたものばかりだ。新聞を眺めながら美味しくも不味くもない政府から支給されたパンを胃に詰めるともう出勤の時間だ。玄関に出るとそこには無人のリムジン。
最短ルートを通るリムジンの窓からは同じような景色しか見えない。
厳重に警備された施設は牢獄の様な雰囲気で訪れるものを圧倒している。
カード 指紋 暗証番号 それにDNA いくつかの工程を終え仕事場に入る。今日の課題は「脳信号の暗号化」。
液晶画面は、とうの昔に無くなり、眼鏡をかけるだけで別の世界が広がるVRというやつだ。
プログラミングによって創られたネズミや猿に、脳信号を読み取る液体を注射する。
 


被検体 ハツカネズミ No.1475   生後 10ヵ月

結果           脳死

被検体 ハツカネズミNo.1476    生後7ヵ月

結果          ショック死