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第三章
潤校長 5
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そして目の前にいるミドルティーンの少年たちを見ると、ぐらぐらした。
自分は、傍目には、もう立派な大人で、地位も名誉もあったけれども、心の一部は、完全に子どもだった。
それが、人々の感じやすい子どもの部分や、現役の子どもたちの心に触れて、交感できる一面もあろうが。
強烈な満たされない寂しさが、身内を襲う時は、思わず自分が自分たちの生徒くらい、あるいはもっと幼い少年であるかのように感じるのだった。
「今でも苦しんでいるの?」
瑤が、潤の手を握ったまま立ち上がって、間近で潤の目を見た。
唇がくっつきそうだ。
キスの予感がした。
子どもたちにされる親愛のキスではなく。
ずっとずっとしていない、封印していたキスの味が思い浮かんだ。
数センチに瑤の唇が迫った時、潤は、はっとして瑤の顔から身を離した。
窓から覗いている四つの目に気づいたからだ。
いつも潤を慕って懐いている、十四歳の寄宿舎住まいの生徒二人だった。
瑤が、潤の視線を追って、窓を見た時、明るい茶色と暗い茶色の頭が、窓の下に引っ込んだ。
「誰?」
瑤が聞いた。
「君と僕みたいな生徒だ。好奇心旺盛で、可愛い」
「可愛い?」
「あ、昔のね。昔の君と僕のように……」
「愛し合っているの?」
「え?」
自分は、傍目には、もう立派な大人で、地位も名誉もあったけれども、心の一部は、完全に子どもだった。
それが、人々の感じやすい子どもの部分や、現役の子どもたちの心に触れて、交感できる一面もあろうが。
強烈な満たされない寂しさが、身内を襲う時は、思わず自分が自分たちの生徒くらい、あるいはもっと幼い少年であるかのように感じるのだった。
「今でも苦しんでいるの?」
瑤が、潤の手を握ったまま立ち上がって、間近で潤の目を見た。
唇がくっつきそうだ。
キスの予感がした。
子どもたちにされる親愛のキスではなく。
ずっとずっとしていない、封印していたキスの味が思い浮かんだ。
数センチに瑤の唇が迫った時、潤は、はっとして瑤の顔から身を離した。
窓から覗いている四つの目に気づいたからだ。
いつも潤を慕って懐いている、十四歳の寄宿舎住まいの生徒二人だった。
瑤が、潤の視線を追って、窓を見た時、明るい茶色と暗い茶色の頭が、窓の下に引っ込んだ。
「誰?」
瑤が聞いた。
「君と僕みたいな生徒だ。好奇心旺盛で、可愛い」
「可愛い?」
「あ、昔のね。昔の君と僕のように……」
「愛し合っているの?」
「え?」
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