潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第三章

マッチ売りの潤 11

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潤は、男を見て、今はいない父のことを思い出した。

潤の目に涙があふれ、頬に涙が伝った。

心に灯がともったように。



「ちょっと、潤、そういう話なの?」

僕は遮った。

途中から、潤が話を引き継いでいたのだ。

どこからかというと、男の顔が大洗竹春になった、ちょっと前あたりだ。

それまでは、僕が潤に妄想を語っていたのに。

潤は、本当に涙を流していたが、それはそれでいい話だったが、僕には僕の構想があったのだ。

「感動してるんだから、邪魔するなよ、瑤」

「僕は、エッチぃ展開を用意してたのに」

「どうせまた、俺が犯される話だろう?」

「いいでしょ!」

「まったく、瑤も好きだなぁ」

「うぅぅ。だってぇ……」

「俺は、純愛物にするつもりなんだから」

「潤が純愛って想像できない」

「俺も想像できないんだけどさ。そもそも、純愛ストーリーって、どういうのを言うの?  エッチしないってことかと思ったんだけど、俺はそのつもりなんだけど、そうでもないみたいだね」

「僕もよく知らない」

「純愛でない愛ってあるの?  不純な愛だったら愛じゃないんじゃない?」

「潤が言い出したんじゃないかぁ」

「前から疑問だったから。愛から出ていないものは全て罪、という説もあるからさ。愛か、罪かの二択とは言わないけど、そこまで厳しいことは言わないけど、愛か、愛でないか、だよね?」

「潤、白黒思考じゃない?  それ。愛の原理主義者」

「せめて理想主義と言ってよ」

「で、どういう展開なの?  ざっと説明してよ」

「説明はできないよ。マッチ売りの潤と男は、いっしょに暮らすんだよ」

「まあいいや、少しだけ時間あげるから」

潤は、続きを語った。
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