潤 閉ざされた楽園

第十六章

昴 9

「いちおう、俺にも都合があるからさ」

潤は、むっとして兄に言い返した。

「お前の都合？  俺にも、彼にも都合があるんだよ」

昴の言うことは無茶苦茶だった。

「ん、でもさ」

布団をはいで潤の腰に手をかけてきた昴に潤は言いかけたが、昴にさえぎられた。

「さっき、浣腸してやっただろう？」

潤の尻に、昴の手があった。

「浣腸とかすんの？」

トモが昴に尋ねた。

「洗ってやったんだ」

昴の指が、潤の秘所を探った。

「指突っ込んで？」

トモは、昴の手の方を気にしながら、そわそわして尋ねた。

「そうそう」

昴の指が、潤の孔にめり込んだ。

「すごいな」

トモが、潤の肛門に昴の指が入るのを覗き込んで、見ているようだった。

「感じちゃった？」

「なんでだよ、俺は別に」

昴の問いに答えるトモの声がした。

「それより、ジュン君は感じてるの？ こんなにすぐ指が、入っちゃうもんなの？」

「潤は、しょっちゅうやってるから」

「ねえ、感じてるのかな？  声とか出さない方？」

「すごいやらしい声だすよ」

「じゃあ、まだ感じてないのか」

潤は、感じていた。

声が出ないように、我慢していた。

ヌルッとしたジェルと器用な昴の指の動きが、早くも潤を解けさせていた。

潤はベッドのシーツに、左の額と瞼と鼻をすりつけた。

鼻先を浮かすと、トモの身体が見えた。