潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十六章

反撃

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おじ様が、僕たちの甘い愛の戯れを見て、

「ふっ」

と蔑むように笑った。

おじ様の、軽蔑は、潤を一瞬で凍りつかせる威力があった。

彼の冷笑は、無邪気な愛を凍らせた。

潤の手が、ゆるんで、僕から離れた。

僕は、潤の手をつかもうとしたけれど、潤は、僕の手を振り払った。

潤の顔は、蒼白だったと思う。

無理につかんだ指先が冷たかったから。

潤は、

「放して」

と僕に言った。

僕は、立ち上がり、潤の手を放した。

潤は、うつむいていた。

ちらと僕を見上げて、目をそらした。

「もう、いいのか?」

おじ様が、皮肉な調子で潤に尋ねた。

「もう、気が済んだか?」

「ええ」

潤は、力なく言った。

おじ様は、潤に近寄った。

おじ様は、椅子に座っている潤の、左斜め後ろに歩み寄った。

彼は、潤の首筋から肩、顎や頬をゆっくりと撫でた。

彼の指先が潤の唇に触れた。

潤の唇が開いた。

指先が潤の中に入った。

潤の口が自動的のように動いた。

潤の舌が動いていた。

彼の指が、抜き差しされた。

潤の目に、あきらめが浮かんでいた。

潤の、大人びた諦観の出所を見た気がした。

ぴちゃぴちゃという小さな舌の音だけが、夜のしじまに響いた。

銀の燭台が、残り火の揺らぎにキラリと光った。

「潤は、性の奴隷だね。朝も昼も夜も、快楽に耽って」

彼の声が低く響いた。
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