潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十五章 晩餐にて

生姜醤油3

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「美味しい」

「感じるか?」

「うん、美味しいって感じる」

「あれー?  おかしいな。僕も食べてみようっと」

僕も生姜醤油をちょっとつけて食べてみた。

「ほんとだ、美味しいね」

「感じるだろう?」

潤が、ふざけて言った。

「そんなふざけた口は、こうしてくれる」

僕は、また生姜をつけて、馬刺しを潤の口に押し込んだ。

「どうだ?  今度は、感じるだろう?」

「白いご飯が食べたい。魚沼産越光希望」

「潤、そんなこと僕に言っても出てこないよ、自分で炊いてよ」

「瑤といたら、太りそう」

「よかったね、と言いたいところだけど、そうでもないかもよ。僕といたらねぇ、朝となく、昼となく、夜となく……」

「食べるの?」

「潤をね」

「へぇー」

「何その棒読み」

「消化にエネルギー使うから痩せてしまうっていうのかと思った。俺、食べて寝ても、朝起きると体重減ってるんだよ」

「それ、夜のあやしい活動のせいじゃない?」

「してなくて、眠っててもだよ」

「寝てる間に、知らずに、してるとか」

「それ、瑤だろ。エッチな夢とか見てさ?」

「個人情報抜かないでください」

「あ、図星だったらしい」

僕と潤は、馬刺しを平らげた。

おじ様は、いつの間にか、いなくなっていた。

トイレにでも行ったのかな?


「あー美味しかった」

「食べただけだけどね」

「だめなの?」

「だめじゃないよ」

潤は、笑っていた。

「もっと、ぺたぺたした方が良かった?」

「おじ様とだったら、馬刺しだけでイかされるんだけどな」

潤が言った。

「えっ、イカ刺し?  烏賊もあるの?  食べたい」

「ないよ。イカ刺しなんて言ってないよ。イかされる、って言ったの」

「なんだぁ……」

僕は、ちょっとがっかりした。

「さすが、瑤。空腹で倒れた男」

「いつ?」

「公園でふらっふらになってただろ?」

「別に空腹でじゃないし、倒れてないもん」

「えー、じゃあなんでフラフラだったの?  やりすぎ?」

「やりすぎは、潤だから。低血糖になっただけだよ」

「ほら、やっぱり空腹じゃないか」

「空腹空腹言わないでよ。お腹空いてきちゃう」

「あんなに肉食べてたのに?」

「育ち盛りなのっ。潤の背なんか、抜かしてやるから」

「無理だね。おじ様や、譲を見たら、大洗家のDNAがわかるでしょ?」

「あっ、そうか」

「だろ?」

「潤って、マゾヒストに見えて、本当は、サディストだったのか……。そんな気がしたんだよ。僕といる時、強気だもんね……」

「そーじゃなくて。俺は、瑤より、身体大きくなるからな、ってこと」

「やだ、そんな潤」

「やだ、言われても、俺は、やじゃないから」

「その割りには食べないくせに」

「放っておいても、のびるからねー。DNAの力おそるべし」

「えーと、何の話だっけ?  イカ刺し」

「イかせる話」

「あ、そうだった。どうやって馬刺しだけで潤をイカ刺し?」

「瑤、わけわかんないし。もういいよ。もう食べちゃったし」

「ごめんね?」

「全然大丈夫」

「食べるの大事だもんね」

「うん。この後の英気を養うためにね」

「この後、どんなことするの?」
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