潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十五章 晩餐にて

指を舐める犬

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「潤、お利口だね」

おじ様の声に、僕は思考の逡巡から目覚めて、はっとした。

見ると、潤が、おじ様の指を舐めていた。

潤は、口に、無理やり入れられた肉を、咀嚼して、飲み込み終わったところなのだろう。

「五十回噛むといいというからね。よく噛めたね」

潤は、おじ様に褒められている。

そんなことで褒められるなら、食いしん坊の僕なんて、どれだけ褒めてもらえるんだろうと、ちょっと羨ましかった。

「よくできたね」

潤は、犬のように、満足げに、ぺろぺろと、おじ様の指を三本、舐めていた。

人差し指と、中指と、親指。

順番に、一本ずつ。

そして二本いっぺんに。

三本いっぺんに。

まるで、あそこを咥えている時のように、顔をしかめて、頬張って。

おじ様は、潤の口の中で、指を動かしているようだった。

おじ様が、指を抜こうとすると、潤は、口をすぼめて、吸い付いた。

「ふふふ」

おじ様が、含み笑いをした。

「恥ずかしい犬だね。とてもいやらしいよ。そんな風に、主人の指に吸い付いて放さないだなんて」

潤の唇が、ちゅぱっと、音を立てた。

おじ様は、引き抜いた人差し指と中指で、潤の唇を、ぐるぐると撫でまわした。

潤が、唇への優しい刺激に、うっとりした顔をしていた。

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