潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十五章 晩餐にて

大丈夫かな?

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というか、潤って、精神的に大丈夫なのかな?

大丈夫じゃない気がするけど、でも、本人が大丈夫って思ってるのに、病気なんじゃない?  なんて言えないしな。

そんなこと言ったら、すごく嫌われて、拒絶反応を示されてしまいそうで、怖くて言えなかった。

病気と、とらえて、楽になる人もいれば、逆にショックを受ける人もいるからな。

母の話を聞いていると、そうだった。

潤は、どっちのタイプかわからないし。

確か、自分でも、おかしいんじゃないかと思っている、って言ってた気がするから、自覚あるんだろうけど。

でも、やっぱり、基本的に、本人が、不調を訴えるものだよな?

なんか調子悪そうだね、とか具合悪そうだねとか、まして、病気じゃない?  なんて、あんまり言いたくなかった。

病は気からって言うし、そんなこと言って、逆に具合悪くなったら困るから。

そんなことを、つらつら考えた。



肉の皿は、おじ様が席を立つ前に、潤の前に置かれていた。

けれど、潤の肉用のナイフとフォークは、使われていなかった。

「どうして、食べないんだ?  潤は、犬だから、床で食べたいのか?」

おじ様は、使われていない肉用銀器を見て言った。

「犬を、勝手にやめたのは、潤じゃないか。犬のように、ナイフもフォークも使わず、噛みちぎって、食べたいのか?」

「噛みちぎって食べたくは、ない」

潤が答えた。
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