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彼の誤解が明らかになる
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「だって彼氏、部屋に来てるんでしょ?」
彼が小声で聞く。
「来てない。っていうかいないし彼氏とか」
僕は涙を飲んで言う。
唇が震えちゃう。
わなわなしちゃう。
「あれえ? さっき声したけど」
彼が、おかしいなあというような顔をする。
僕は、あっと思う。
「すっごい声聞こえて。二人の喘ぎ声すごくて。それでチャイム鳴らしても出なかったのかって。帰ろうかと思ったけど、なんか裸で出てくるし。やっぱ、やってる最中だったんだって思って。帰らなきゃって思ったけど、もう我慢できなくて。濃いの欲しかったけど、もう彼氏としちゃったんだって思って悲しかった。けど顔射とかされたのって初めてで意外と興奮した。新たな扉開いちゃったっていうか」
彼は早口でまくしたてた。
「おまえの彼氏が部屋の中で事後で疲れて寝てるのかって思うと余計興奮して。おまえの彼氏が部屋の中で寝てるのにダメだって思ったけど、興奮が止まらなくて。彼氏とした後のアナルだっていうのに、生で入れちゃって。なんかすごく気持ちよくて。締まりがいいし。彼氏がすごい喘ぎ声あげるの無理ないなって思った。すごい俺、嫉妬してるかも。こんな、家まで来ちゃって。ストーカーかも。おまえに彼氏いるってわかってたけど、我慢できなくて。LINEとか来て、我慢できなかった。おまえからのLINE来た時、それで何回もオナニーした」
彼が何言ってるかわかんないけどLINEでエッチ写真とか送ってないのに、「抱いて」しか送ってないのに、すごい想像力だなあと、いうことだけは、ぼんやり思った。
「僕も、先週のハメ撮り動画、トイレで再生してオナニーしちゃいそうだったけど、我慢したんですよ? えらい? 褒めて。あなたが、僕の濃いの飲みたいみたいだったから」
「そうなの? えらいえらい」
彼はくしゃくしゃと僕の髪を撫でた。
「ああ、ダメだ。彼氏いる子に、こんなことしちゃ。情がうつってつらくなるだけ」
彼は一人で苦悩してる。
「彼氏いないって言ってるじゃないですか!」
「君も悪い男だな。そんなやつとは思わなかった。清純そうな顔をして、無邪気な顔してこれだからな。だから人って信じられないんだ」
彼は一人で屈折している。よっぽど過去に酷い何かがあったんだろうか。
「何を誤解してるか知らないですが、僕は彼氏いないし、あなたが彼氏と思ってたんだけど」
「またまた。じゃあ、さっきの喘ぎ声は何?」
「それは……」
オナニーだとは言いづらい。
僕の躊躇を察したかのように彼は頷く
「ね、だから。無理しないで。いいよ。僕ももめたくないし。係長によろしく」
うんうん、わかっているよ、というように大人の余裕のしたり顔。
「は?」
何で係長に。僕は何をよろしくすればいいの。
「ごめん。内緒だったね。でもわかるよ。いつも一緒にいるしね。『捕まえて抱いて』ってLINEもらった時も、現場まで行ったんだけど、駐車場の車の中で君と係長、イチャイチャしてたし」
「してないですし」
どんな誤解。
「君が潜り込んで……」
「ああ。車の中でボールペン落として拾ってただけですし」
「え、そうなの?」
「逆に何してたと思ったのか知りたいですけど」
「あ、そう。いや、それならいいんだけど」
彼がゴニョゴニョ言ってる。
「えーそうなんだ。すごい場面見ちゃったと思って萌えて興奮してその後、公衆トイレ駆け込んで自慰した俺の時間返して」
「は? 仕事忙しいんじゃなくて、そんなことしてたんですか?」
「いや忙しい。忙しいんだよいろいろと」
「僕と係長が付き合ってるとか変な妄想で忙しいのやめてください」
「えー、そうなのー?」
「そんな残念そうに言わないでください」
僕はプンプン怒った。
「係長の彼氏を寝とった俺に苦悩してたのに」
「残念でしたね」
僕は彼の妄想に呆れて棒読みになる。
彼が小声で聞く。
「来てない。っていうかいないし彼氏とか」
僕は涙を飲んで言う。
唇が震えちゃう。
わなわなしちゃう。
「あれえ? さっき声したけど」
彼が、おかしいなあというような顔をする。
僕は、あっと思う。
「すっごい声聞こえて。二人の喘ぎ声すごくて。それでチャイム鳴らしても出なかったのかって。帰ろうかと思ったけど、なんか裸で出てくるし。やっぱ、やってる最中だったんだって思って。帰らなきゃって思ったけど、もう我慢できなくて。濃いの欲しかったけど、もう彼氏としちゃったんだって思って悲しかった。けど顔射とかされたのって初めてで意外と興奮した。新たな扉開いちゃったっていうか」
彼は早口でまくしたてた。
「おまえの彼氏が部屋の中で事後で疲れて寝てるのかって思うと余計興奮して。おまえの彼氏が部屋の中で寝てるのにダメだって思ったけど、興奮が止まらなくて。彼氏とした後のアナルだっていうのに、生で入れちゃって。なんかすごく気持ちよくて。締まりがいいし。彼氏がすごい喘ぎ声あげるの無理ないなって思った。すごい俺、嫉妬してるかも。こんな、家まで来ちゃって。ストーカーかも。おまえに彼氏いるってわかってたけど、我慢できなくて。LINEとか来て、我慢できなかった。おまえからのLINE来た時、それで何回もオナニーした」
彼が何言ってるかわかんないけどLINEでエッチ写真とか送ってないのに、「抱いて」しか送ってないのに、すごい想像力だなあと、いうことだけは、ぼんやり思った。
「僕も、先週のハメ撮り動画、トイレで再生してオナニーしちゃいそうだったけど、我慢したんですよ? えらい? 褒めて。あなたが、僕の濃いの飲みたいみたいだったから」
「そうなの? えらいえらい」
彼はくしゃくしゃと僕の髪を撫でた。
「ああ、ダメだ。彼氏いる子に、こんなことしちゃ。情がうつってつらくなるだけ」
彼は一人で苦悩してる。
「彼氏いないって言ってるじゃないですか!」
「君も悪い男だな。そんなやつとは思わなかった。清純そうな顔をして、無邪気な顔してこれだからな。だから人って信じられないんだ」
彼は一人で屈折している。よっぽど過去に酷い何かがあったんだろうか。
「何を誤解してるか知らないですが、僕は彼氏いないし、あなたが彼氏と思ってたんだけど」
「またまた。じゃあ、さっきの喘ぎ声は何?」
「それは……」
オナニーだとは言いづらい。
僕の躊躇を察したかのように彼は頷く
「ね、だから。無理しないで。いいよ。僕ももめたくないし。係長によろしく」
うんうん、わかっているよ、というように大人の余裕のしたり顔。
「は?」
何で係長に。僕は何をよろしくすればいいの。
「ごめん。内緒だったね。でもわかるよ。いつも一緒にいるしね。『捕まえて抱いて』ってLINEもらった時も、現場まで行ったんだけど、駐車場の車の中で君と係長、イチャイチャしてたし」
「してないですし」
どんな誤解。
「君が潜り込んで……」
「ああ。車の中でボールペン落として拾ってただけですし」
「え、そうなの?」
「逆に何してたと思ったのか知りたいですけど」
「あ、そう。いや、それならいいんだけど」
彼がゴニョゴニョ言ってる。
「えーそうなんだ。すごい場面見ちゃったと思って萌えて興奮してその後、公衆トイレ駆け込んで自慰した俺の時間返して」
「は? 仕事忙しいんじゃなくて、そんなことしてたんですか?」
「いや忙しい。忙しいんだよいろいろと」
「僕と係長が付き合ってるとか変な妄想で忙しいのやめてください」
「えー、そうなのー?」
「そんな残念そうに言わないでください」
僕はプンプン怒った。
「係長の彼氏を寝とった俺に苦悩してたのに」
「残念でしたね」
僕は彼の妄想に呆れて棒読みになる。
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