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第二十五章 モーテルで

イケメン教師、校長といながらその妻との情事を反芻する

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「研修会の時は、こんなもんじゃなかっただろう」
そう言って校長はニヤニヤ笑う。
 なんだ! 校長は、今日のことではなく、過去のことを言っているのか! 助かった、バレていない……と、小坂はホッとした。
 しかし小坂の心臓は早鐘のように打っていた。
 バレたらどうしよう。ああ、今日はもう早く帰りたい! 
 校長と二人きりで会うことを、あんなに楽しみにしていたのに。楽しみにしていた時が懐かしい。欲望に渇望していた時の方がマシだった。はちきれそうな欲求が苦しかったが、期待に満ちていたんだから。
 今は、罪悪感でいっぱいで、バレたくない一心で、せっかく二人きりになったのに、もう、早く自宅に帰って一人になりたくてたまらない。
 どうしたらバレないですむだろう。いい案も浮かばず、小坂は、ただ、ソワソワした。
「君は、大声でいやらしい言葉を叫んでいたなあ」
そう言って校長は小坂の表情を舐めるように見る。上から下まで視線を這わす。いやらしい視線。
 もし、校長の奥さんと、あんなことをしなければ、この欲望に満ちた視線も前戯として楽しめただろうに。見られるだけでゾクゾクと快感が走り、息をはずませ、穂先を濡らしただろうに。
 なのに、今は見られるだけで、命が縮みそうだ。表情から、身体から、奥さんに抱かれたことが、バレてしまうのではないかと気が気ではない。なにか自分ではわからない痕跡を、神崎先生は見つけるかもしれない。
 恥ずかしい。さっきは、あんなことをしてしまって。でもすごかった。なぜだか、自分でもわからないけれど、すごく興奮してしまった。今日はこのまま、家に帰って、シャワーも浴びないで、奥さんの体液にまみれたそのままの身体で、裸になって、部屋で月曜の朝まで、思い出しオナニーしまくりたい。奥さんの中に入ったアソコを手で握って。奥さんのダッチワイフがほしい。思いっきりおかしたい。中をくじいて、往復して、喘がせたい!好きだ!奥さんが好きだ!やっと手に入れた!神崎先生の奥さん! もっとやりたい! やらせてほしい! 奥さん! あんなに喘いでいた! また会いたい! なのに、すげなくされて……。つらい! なぜなんだ! あんなにむしゃぶりついて……。僕のアソコを美味しそうにしゃぶってくれて、僕のアソコをイイ、イイと言って喜んでくれて、あんなに絶頂して、何度も痙攣して、身体をびくつかせて……。すごかった。もっとしたい。またしたい。あの人のアソコ。舐めたらジュースがあふれて……。すごいよがってた。舌を差し込んだら、肉厚のアソコが……。
「小坂くんは、みんなの前で大便をしたり、小便を漏らしたり……恥ずかしいことを見られることに興奮する性質なんだろう。小坂くんは刺激的でマニアックな変態プレイが好きなんだな」
校長が研修の時の事を言ってきた。
 だが小坂の頭の中にあるのは先ほどの奥さんとの爛れた性技の感触だけだ。皮膚にまとわりつくような感覚がまだ身体に残っていて忘れられない。
「い、いえ……そんなことは……」
否定したが、そうかもしれない。グロテスクなほど若作りの年増の人妻に興奮が止められないなんて。それも恩師の妻、現上司の妻なのに! ほんとに恥ずかしすぎる……。最低だ。恥ずかしい。なのに興奮してしまう。だって、奥さんは豊満で妖艶で異常に性技がうまく、あそこの具合も最高だった! 
 小坂は、再びあそこの中の感触を思い出して蕩然となった。上司の前で、こっそり、その奥さんの、蜜奥の記憶を反芻する……秘密の興奮。罪悪感の苦しさと快楽の興奮の記憶がない混ぜになって、小坂の全身を、熱い血潮が駆け巡る。許されない、禁断の果実。甘くて熟れて、全身が蕩けるような。
 あたたかく、包まれる感じ……また、したい。熱くて、トロトロで……。柔らかいおっぱ◯が、ぶるんぶるん震えて、あそこはぐちょぐちょで。ぐっちょんぐっちょん音がして……。すごく濡れてびしょびしょで……。
 校長が小坂の耳元に囁きかけた。
「気持ちよかったかい? うちの女房とやるのは」
「はえっ!?」
 不意をつかれてうっかり、素で驚いてしまった。驚きを顔に出してしまった。
 うちの女房!?
 ……って、校長の奥さん!?
 ……と、ヤるのは、気持ちよかったか……だって?
 それって……バレてる?
 僕、今、何か言った? 思い出しながら、つぶやいちゃった? 妄想がダダ漏れてる? 妄想じゃない、事実だけど、事実だったけど、今さっき体験したことだけど……なんで校長が知ってる?
 恐る恐る校長の顔を見る。怒っている……のか?
 不敵な笑み。やばい! すごい怒ってる!
 聞かれたんだ。奥さんとしてる声を校長に聞かれたんだ! どうしよう! なにか誤魔化す方法は……。体調が悪くて……唸ってたんです……って、いやいや、ダメだ、気持ちよかったか?って、もうバレてるし!
 そういえば、帰ってきたドアの音に気づかなかった。大声でよがっていて気づかなかったのかもしれない。つまり、ずっと聞かれていたんだ! 何言ったっけ? 聞かれてまずいようなこと……言ってないけど……いや、言ってる……。むしろ、聞かれてまずいことしか言ってない。卑猥な言葉とか……奥さんのお◯◯◯最高とか、中に出しますとか、精液出ちゃうとか、おち◯◯じゅるじゅるもっとして、とか、おっ◯◯美味しいングングとか、言ってないことまで、言った気がして……だって、長年妄想し続けてきたから……高校生の時から、ズ◯ネタだったし! もう何が妄想で何が本当に口にしたかわからない! だって夢中だったし! 最中に何を口走ったかなんて覚えてないし! もう無理! もう最悪だ!!!
「すみません……!」
小坂は床に膝をついて頭を下げた。額を床にこすりつけた。
 降参だ。ごめんなさい。
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