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第十一章 再び生徒会室
イケメン教師、風紀委員長の生徒会長への告白を聞く
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「だって、どうにもならないんだもの」
生徒会長は、にじむ涙を親指の腹でぬぐった。
「風紀委員長は、ああやって非難するけど、彼は経験したことがないから、わからないんだ」
「僕は、わかりますよ!」
宮本が、拳を振り上げて言った。
「そう……だよね。君は、村田に、おどされていたんだよね」
生徒会長が言った。
「はい」
宮本は、深くうなずいた。
「村田も、今では役に立っているけどな。諜報活動に」
生徒会長がつぶやいた。
「諜報活動?」
小坂は聞きとがめた。
「あ、いや……」
生徒会長は、ごまかした。
村田が生徒会執行部の間者? 聞き捨てならない。
「村田も悪いですけど……僕は、さっき、ラグビー部のやつらに!」
宮本は怒りに燃えたようすで拳をベッドに振り下ろし、叩きつけた。
「くそう、あいつら、絶対、つぶしてやる」
以前の気弱な級長らしからぬ憤怒だ。
「合法的に仕返しするには、君が生徒会長に立候補する必要がある」
生徒会長が宮本に言った。
その時、バンと扉が開いて、
「そうだ。今こそ、我々は、一致団結して立ち上がるのだ!」
と、演説口調で叫んで風紀委員長が戻ってきた。
「きみはいつも、いいタイミングで戻ってくるね」
生徒会長が、うんざりしたような、あきれ顔をした。
「あたりまえだろう。君のことを愛しているのだから」
風紀委員長が真面目な顔でプロポーズのように生徒会長に言った。
「えぇぇ……!」
宮本は、風紀委員長の突然の告白に、驚愕の声をあげた。だが、
「そんなに驚くこと?」
と、プロポーズを受けた当の生徒会長は、平然として返した。
「えぇぇ……っ」
生徒会長の返しには、風紀委員長本人も、驚いているらしかった。
「わかってるのに、その態度って……」
風紀委員長は、あきれたように、小声でつぶやいた。
「風紀委員長が生徒会長のことを好きってうわさは、ラグビー部の人にバレてるくらい有名ですけど……それでも……」
と、宮本は、しどろもどろになって言った。
「僕ですら、わかるよ」
と、小坂も言った。
「あぁ……そういうことにうとい小坂先生ですら……」
風紀委員長が額に手をやって、つぶやいた。
「わかっていても、風紀委員長のことは、戦友だとしか思えない」
生徒会長は、一同にあきれられて憮然したように答えた。
「そうか。戦友だと思っていてくれたのなら、それでいい」
風紀委員長は、満足気に、うなずいた。
「ただ、いいところで、出てきて、僕の出番をつぶすのは、やめてくれ」
生徒会長が、神経質そうな美しげな眉をひそめて言った。
「いいところで?」
風紀委員長が、聞きとがめた。
「俺はいつも君にいいところを譲っているじゃないか」
風紀委員長は抗議した。
生徒会長は、にじむ涙を親指の腹でぬぐった。
「風紀委員長は、ああやって非難するけど、彼は経験したことがないから、わからないんだ」
「僕は、わかりますよ!」
宮本が、拳を振り上げて言った。
「そう……だよね。君は、村田に、おどされていたんだよね」
生徒会長が言った。
「はい」
宮本は、深くうなずいた。
「村田も、今では役に立っているけどな。諜報活動に」
生徒会長がつぶやいた。
「諜報活動?」
小坂は聞きとがめた。
「あ、いや……」
生徒会長は、ごまかした。
村田が生徒会執行部の間者? 聞き捨てならない。
「村田も悪いですけど……僕は、さっき、ラグビー部のやつらに!」
宮本は怒りに燃えたようすで拳をベッドに振り下ろし、叩きつけた。
「くそう、あいつら、絶対、つぶしてやる」
以前の気弱な級長らしからぬ憤怒だ。
「合法的に仕返しするには、君が生徒会長に立候補する必要がある」
生徒会長が宮本に言った。
その時、バンと扉が開いて、
「そうだ。今こそ、我々は、一致団結して立ち上がるのだ!」
と、演説口調で叫んで風紀委員長が戻ってきた。
「きみはいつも、いいタイミングで戻ってくるね」
生徒会長が、うんざりしたような、あきれ顔をした。
「あたりまえだろう。君のことを愛しているのだから」
風紀委員長が真面目な顔でプロポーズのように生徒会長に言った。
「えぇぇ……!」
宮本は、風紀委員長の突然の告白に、驚愕の声をあげた。だが、
「そんなに驚くこと?」
と、プロポーズを受けた当の生徒会長は、平然として返した。
「えぇぇ……っ」
生徒会長の返しには、風紀委員長本人も、驚いているらしかった。
「わかってるのに、その態度って……」
風紀委員長は、あきれたように、小声でつぶやいた。
「風紀委員長が生徒会長のことを好きってうわさは、ラグビー部の人にバレてるくらい有名ですけど……それでも……」
と、宮本は、しどろもどろになって言った。
「僕ですら、わかるよ」
と、小坂も言った。
「あぁ……そういうことにうとい小坂先生ですら……」
風紀委員長が額に手をやって、つぶやいた。
「わかっていても、風紀委員長のことは、戦友だとしか思えない」
生徒会長は、一同にあきれられて憮然したように答えた。
「そうか。戦友だと思っていてくれたのなら、それでいい」
風紀委員長は、満足気に、うなずいた。
「ただ、いいところで、出てきて、僕の出番をつぶすのは、やめてくれ」
生徒会長が、神経質そうな美しげな眉をひそめて言った。
「いいところで?」
風紀委員長が、聞きとがめた。
「俺はいつも君にいいところを譲っているじゃないか」
風紀委員長は抗議した。
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