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第十九章 麓戸との再会

生徒が教室に戻ってくる

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 こんなに満足したセックスがあっただろうか。
 もっと、舐めてほしかった。
 もっと、何度も奥まで。

 麓戸が小坂の髪を撫でている。
 満ち足りた気分。まだ飽きたらない気持ち。二つの気持ちが交錯する。

 麓戸に抱きしめられていると、廊下で生徒たちの声が聞こえてきた。

「親父が来てるんだ」
「村田君のお父さん?」
「宮本もいっしょに飯食いに行こうぜ」

 麓戸と小坂は急いで身体を離した。

 教室のドアが勢いよく開いた。

「早いじゃないか」
麓戸が戸口に向かって言う。

「うん。今日は部活、早く終わった」
村田が運動後の紅潮した顔で答える。
「友達の宮本だよ」
村田が振り返って、級長の宮本を紹介した。

 友達? 違うだろう

と小坂は思う。

「君は……」
宮本を見た麓戸がつぶやいた。

「あっ」
宮本も麓戸を見て声をあげた。

「あれ? 知り合い?」
村田が、麓戸と宮本を交互に見た。

「いや。美少年だねえ」
麓戸は何か誤魔化しているようだ。

「だろ? 宮本もいっしょに食事いい?」
村田が父親に聞いた。

「もちろん。小坂先生もどうですか?」
麓戸が小坂を振り返って聞いた。

「私は……。まだ仕事もありますし」
冗談じゃない。生徒たちと麓戸と同じ食卓を囲むなんて。それも村田と宮本。どういう態度をとったらいいというのだ。気をつかって食事どころではない。


「そうか。残念ですね。じゃあ先生とは、また今度」
麓戸が営業スマイルで言う。
 まったく、何を考えているんだろう、この人は。
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