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第十九章 麓戸との再会

イケメン教師、麓戸に村田との行為を聞かれる。

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「俺のムスコと、俺の息子のムスコを受け入れたここ」
麓戸の指が小坂の孔の中でうごめいた。

「や……」
少し動かされるだけで感じてしまう。麓戸は小坂のいい所をよく知っている。

「俺の息子、オテルの味はどうだったか? 淫乱な先生よ」
麓戸の質問は意地悪だ。
 プレイの一貫としてみれば、それも悪くないかもしれない。麓戸の方は完全に、プレイのノリで、楽しんでいるに違いない。
 流されてしまいそうになる。

 だが小坂は踏みとどまった。
「僕はあなたの息子に強姦された」
小坂は、きっぱりと断定した。

 麓戸は小坂の言葉に一瞬黙った。気勢を削がれたに違いない。

 だが一瞬の沈黙の後、すぐに麓戸は言った。
「反抗的な言葉だ」
麓戸が鼻フックのように小坂の鼻に指先を引っかけてあお向かせた。
「どこでやられた」

「あなたの店の前で待ち伏せされて、ビルの狭間で」

 麓戸は笑った。
「いい趣味だ。さぞオデトは興奮したんだろう。好きな男の店の前で、横恋慕した、そいつの息子にやられるなんて」

あの時は、麓戸にしてもらおうと、ずっと我慢して準備していた。
だから、無理にされても身体は痛くはなかった。痛くされたくない、怪我をしたくない、殺されたくない……。
 そう思って、必死でその場を生き延びた。村田の機嫌を損ねぬように。早く終わって、生きて逃げようと。満足すれば解放される。その時まで。
 その時は、訪れなかった。誰も小坂を助けてくれなかった。今だって。
 

小坂の口の中に指が二、三本突っ込まればらばらに動かされる。
 小坂の腰が自然に前後に動く。

 ダメだ。流されたら。


「オデトは露出癖があるからな。野外で、街中でヤるなんて興奮しただろう」
麓戸の指は乱暴に口腔内を犯す。じわじわと先端から液が滴り落ちる。
じゅるりと音をたてて指を吸う。
恥ずかしい行為なのに既に感じてしまっている。どうしようもないほどに。早く後ろを突かれたい。絶頂をアナルで感じながら射精したい。教室の壁に精液をかけて、あとで無理矢理舐めさせられて。

「今度、再現してもらおう。オテルとやったことは全部」
麓戸は執着をあらわにする。

「オテルに写真でも撮られたか?」

「はい……写真を撮られて強請られました」

「オテルから見せてもらおう。小坂先生のいやらしい写真を」
麓戸は嘲笑うように言った。
「オテルとやって、どうだった? オテルは喜んでいたか?」

「……」

「うまく、勤めたんだろうな」
まさか息子だなんて思わなかった。

「お前は、俺の息子を犯した淫乱教師。そんな教師は、教室で無理矢理犯してやらないと俺の気がすまない」

ちがう。そうじゃない。犯したのは、あんたの息子だ。

「お前には、お仕置きが必要だ。俺の息子をたぶらかしたんだからな。そうだろう?」

「違う」
ひどい誤解だ。無理矢理されたのだ。

「お前が、性処理係で鍛えたテクニックで、そして俺の調教を受け続けてだだ漏れになったその性的魅力で、誘惑したんだ」

麓戸は真実など、どうでもいいというように、そう言った。

「お前は魅力的だよ」

麓戸にとって、真実など、どうでもいいことなのだろう。

 麓戸の腕が小坂を抱きしめた。

 下半身にズッと重みを感じた。割り入ってくる重量感のある物体。
「嬉しいのか? お仕置きにならないな。いいだろう。久しぶりのことだ。甘やかしてやろう」

「麓戸さん……」
小坂の手は空をつかむ。

「オテルとやってどうだった? 俺の息子とお前は、どんなことをしたんだ?」
麓戸の手が、さまよう小坂の手を握り返した。

 小坂は黙って首を横に振った。

 そんなこと、答えられるわけがない。

「言えないのか?」
小坂は、うなずく。

「今はいい。でも、あとで全部やってもらうからな」
麓戸は、脅すように低い声で言った。

「あの店は将来オテルに譲る。お前は俺がいなくなったらオテルのものだ。だが今は俺のものだ。忘れるなよ」

「いなくなったら……?」
小坂は不安になる。

「なんだ。俺がいなくなったら寂しいか?」
麓戸は、フッと笑った。

うんうん、と小坂は繰り返しうなずく。

「おいおい、そんなに頷いたら首がもげるぞ」
麓戸が笑う。

「いなくならないで」

小坂は麓戸にしがみつく。

「行かないで。もう、どこにも行かないで」

小坂はしがみついて訴えた。

「わかったよ」

麓戸は苦笑しながら小坂を抱きしめて、小坂の頭をくしゃくしゃ撫でた。

「心配するな。俺はまだそこまで老ぼれてはいない。お前の大事な校長よりは若いからな」

 麓戸に、捨てられたわけではないようだ。愛されているのかもしれない。自分から、麓戸の元を去ったのに、こうしてまた受け入れられている。甘やかしてもらっている。

「お前を愛している」
口先だけの言葉かもしれない。だが、それでも今は心地よかった。
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