男色 和泉式部日記

リリーブルー

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五月雨(さみだれ)

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 雨が降り続いて、気分も滅入るこの頃、僕は絶え間のない雨に、絶え間のないもの想いをしていた。
 恋の相手はたくさんあるが、今はそんなことなど、どうでもいい。人にはいろいろ言われるが、それも生きているからだ。いっそ、為尊さんの所に行ってしまいたい、と思いながら過ごす。
 そんな折も折り、敦道君からメールが入った。

──雨の日ばかりですが、いかがお過ごしですか。この雨を、ただの雨だと思っているでしょう? 僕のもの想いの雨なのに。

──君のもの想いの雨とは知らずに、僕のもの想いの雨だとばかり思っていました。

 思い返してもう一通

──日を重ねれば、つらくなるばかり。この雨が、僕をどこかへ流してくれればいいのに。天国に行けるかな。

と送信したら、たちどころに返事が来た。

──そんなこと言わないで。あめの下にいるのはあなただけじゃない、みんなつらいのです。


 相変わらず、雨が降っている。ひどく降った翌朝

──さっきの雨はひどかったですね。

と言ってきたので

──ひどい雨の音を聞きながら思っていたことは、君のことだけです。

と打つと

──僕も思っていたのは、君のことだけです。どうしていらっしゃるかと。


 昼頃、川が増水しているとニュースが流れた。僕のことを心配してくれているのか敦道君からメッセージが届いた。

──水、すごいですね。でも、あの深い水も、僕のあなたを想う心に比べたら、浅いです

僕は返事を打った。

──水は、僕を押し流しに来るかもしれないけれど、あなたは、そうはしないでしょう。
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