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第ニ章【パーフェクト・アイドル】の香り
夢で逢えても目覚めりゃ涙④
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桂城聖蘭の唇から放たれた叫び──その衝撃的な内容に、冬河黎輔は些細な腕の痛みなど一瞬で忘却し、文字通り全精神を震撼させられた!
『これは夢か…?
あの“パーフェクト・アイドル”の至高の肉体を自由にできるなど…まさにこれは世界崩壊の前兆ではないか…!?
だが、それを実現するためには彼女に勝たねばならんという…!
ふざけんなよ、そんなのムリに決まってるだろうがッ!!
何故ならば…それは即ち、あの聖蘭様を攻撃し、傷つけるということじゃねえかッ!!
シルブレストにとって…いやそうじゃなくてもマトモな人間にとってそんなのできる訳ねえだろうがッッ!!
──い、いや…待てよ…、
おそらく、三代目のあの凄まじい魔法は、精霊剣があってはじめて発動する類のもの…ということは…、
あの忌々しい白い剣をヘシ折れば、彼女はあの美しくも嫋やかな本来の姿に戻ってくれるはずだッ!!
よっしゃあああッ!これでイケるッ!!』
かくて全身に漲る“青春のエロパワー”を爆発させ、湖面の聖蘭目がけて突進する黎輔だが、錬装磁甲の底しれぬ潜在能力をまざまざと見せつけるかのようにそのスピードは凄まじく全く重さを感じさせない。
まさに巨大な青い砲弾が迫ってくるかの様な光景に、優位に立っているはずの三代目聖団長の白い美貌が一瞬、怯んだかに見えたが、それを打ち消すかのごとく精霊剣は再び天に冲した!
「破邪の波よ、今こそ逆巻け!
そして大自然の守護神たる一柱の聖龍と化して鋼の魔物をその正義の牙で噛み砕けッ!!」
ステージ上の魂のシャウトに些かも劣らぬ、凄艷なまでの絶叫によって唱えられた呪文によってまたもや湖面に異変が生じ、魔水刃に変化したよりも更に巨大な、全長十メートル、直径一メートルもの水柱が立ち上がり、それは見る間に透き通った龍の姿へ変貌してゆく…。
だが、それが出現するより早く、冬河黎輔は宙を舞っていた!
しかも驚くべきことに湖水を蹴っての大跳躍は実に十数メートルに達したが、その頂点において若き錬装者はさらに物理法則を無視した挙動を披露した…まずは両足をピタリと揃え、今度は一本の青い矢と化したと思いきや、慣性によってはありえぬほどの猛スピードで降下したのだ!
そしてようやく“完成”した水龍が振り返った時には、彼の躰は既に下方にあった。
「くうッ!?」
必死に白い剣を翳して防御態勢を取る聖蘭…だが当然というべきか、黎輔の標的は彼女ではなかった──。
狙いを定めて彼が踏み抜いたのは、白薔薇の敷き詰められた棺の底板だったのだ!
「あっ…ああッ!?」
落日の湖上に舞い上がった数百もの白い花弁…そして着地の寸前に錬装者の手刀によって薙ぎ払われて主の手を離れ、凝然と佇立する水龍の眼前までくるくると回転しながら上昇する精霊剣!
──そして、盛大な水音を立てて二人が湖中に没した後には、無残に砕け散った棺の小舟の残骸と花々が湖面に散乱し、発生した波紋に虚しく揺すぶられるばかりであった…。
『これは夢か…?
あの“パーフェクト・アイドル”の至高の肉体を自由にできるなど…まさにこれは世界崩壊の前兆ではないか…!?
だが、それを実現するためには彼女に勝たねばならんという…!
ふざけんなよ、そんなのムリに決まってるだろうがッ!!
何故ならば…それは即ち、あの聖蘭様を攻撃し、傷つけるということじゃねえかッ!!
シルブレストにとって…いやそうじゃなくてもマトモな人間にとってそんなのできる訳ねえだろうがッッ!!
──い、いや…待てよ…、
おそらく、三代目のあの凄まじい魔法は、精霊剣があってはじめて発動する類のもの…ということは…、
あの忌々しい白い剣をヘシ折れば、彼女はあの美しくも嫋やかな本来の姿に戻ってくれるはずだッ!!
よっしゃあああッ!これでイケるッ!!』
かくて全身に漲る“青春のエロパワー”を爆発させ、湖面の聖蘭目がけて突進する黎輔だが、錬装磁甲の底しれぬ潜在能力をまざまざと見せつけるかのようにそのスピードは凄まじく全く重さを感じさせない。
まさに巨大な青い砲弾が迫ってくるかの様な光景に、優位に立っているはずの三代目聖団長の白い美貌が一瞬、怯んだかに見えたが、それを打ち消すかのごとく精霊剣は再び天に冲した!
「破邪の波よ、今こそ逆巻け!
そして大自然の守護神たる一柱の聖龍と化して鋼の魔物をその正義の牙で噛み砕けッ!!」
ステージ上の魂のシャウトに些かも劣らぬ、凄艷なまでの絶叫によって唱えられた呪文によってまたもや湖面に異変が生じ、魔水刃に変化したよりも更に巨大な、全長十メートル、直径一メートルもの水柱が立ち上がり、それは見る間に透き通った龍の姿へ変貌してゆく…。
だが、それが出現するより早く、冬河黎輔は宙を舞っていた!
しかも驚くべきことに湖水を蹴っての大跳躍は実に十数メートルに達したが、その頂点において若き錬装者はさらに物理法則を無視した挙動を披露した…まずは両足をピタリと揃え、今度は一本の青い矢と化したと思いきや、慣性によってはありえぬほどの猛スピードで降下したのだ!
そしてようやく“完成”した水龍が振り返った時には、彼の躰は既に下方にあった。
「くうッ!?」
必死に白い剣を翳して防御態勢を取る聖蘭…だが当然というべきか、黎輔の標的は彼女ではなかった──。
狙いを定めて彼が踏み抜いたのは、白薔薇の敷き詰められた棺の底板だったのだ!
「あっ…ああッ!?」
落日の湖上に舞い上がった数百もの白い花弁…そして着地の寸前に錬装者の手刀によって薙ぎ払われて主の手を離れ、凝然と佇立する水龍の眼前までくるくると回転しながら上昇する精霊剣!
──そして、盛大な水音を立てて二人が湖中に没した後には、無残に砕け散った棺の小舟の残骸と花々が湖面に散乱し、発生した波紋に虚しく揺すぶられるばかりであった…。
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