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第4章
第5話 ~水曜~
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水曜日
漣が登校して教室に入ると、担任の指示通りに女子は上はキャミソール、下は下着のパンツという格好をしている。
男子は普通の格好なので、異様な空間になっている。
漣が自席に座っていると、朝のHRの開始直前に教室の後方の扉がそっと開いて近藤さんが入ってきた。
近藤さんはカバンを前に抱えて恥ずかしそうにしながら、目立たないようにそっと入ってきた。
「おはようございます」
「……おはよう。あんまり見ないでよ」
近藤さんは恥ずかしそうに漣に挨拶を返した。
近藤さんのおっぱいは黒いキャミソール越しでも大きく存在を主張している。また、白いフリルのついたパンツは、見られることを想定した選ばれたもののようで可愛らしいデザインで、かつ新しそうだ。
そうこうしているうちに、朝のHRが始まった。
「よし、今日も1日頑張るぞー。
……近藤も今日はちゃんとした格好をしているな」
担任は、昨日、近藤さんが指示と異なる服装をしていたため気にしていたらしい。
しかし、どう理由付けをしたら現在の女子の格好が『ちゃんとした格好』になるのかは大いに疑問である。
漣としては、午前中の1~4限は特に問題なくすぎていった。
強いて言えば、女子が板書のために前に行くとそのお尻に目がいったり、すれ違う際におっぱいの谷間に目がいってしまうので気を付けているくらいである。
近藤さんは、休み時間はなるべくトイレで過ごすなど人目を避けて行動しているらしく、授業中以外はあまり見かけなかった。
昼休みになると、漣と真司はアイコンタクトをして、すぐに2人で隣のクラスに向かった。
「牛山くんですよね?ちょっと、話をしたいのですが、屋上で一緒にお昼ごはんを食べませんか?」
牛山くんは、目が隠れるくらいの長い前髪をしており、全体的に野暮ったい印象を与える。
漣は、大人しそう、と表現したが、世間一般ではオタクっぽいと言えるかもしれない。
「え?えっと……はい……」
牛山くんは、驚いた反応をしたが、同意した。
そして、3人は他に誰もいない屋上でお昼ごはんを食べながら、話始めた。
「牛山くんは、この状況をどう思いますか?」
「どう……?えーと、その……どうとは……」
「異常だと思わねぇのかってことだよ」
牛山くんの口振りに、少しイラついたように真司が言う。
「まぁまぁ、真司は落ち着いて。
質問が悪かったですね。我々は異常だと思っているのですよ、この状況を。授業の内容もそうですし、この昼休みに誰も教室から出なかったり、部活がなかったりすることをですね。
しかし、他の生徒はそうではないですよね。牛山くんはどうですか?」
「……異常だと思います」
「そうですよね。……何か心当たりはありませんか?」
「その……こんなことになるとは全然思ってなくて……」
牛山くんが自己弁護をするように言う。
漣と真司は、顔を見合わせる。
「心当たりがあるということですか?」
「……そっくりなんです。自分が『妄想ノート』に書いた状況と」
「妄想ノート?そのノートはどんなノート何ですか?」
「ノート自体は家に余っていた普通のノートなんです。そこに……妄想を書いたんです。この学校で非日常的な出来事が起こる様子を」
牛山くんは恥ずかしそうに言った。
「ふーん、なるほどね。ノートに書いたことが現実になったと。月曜から水曜が現実になったとすると……明日以降は何が書いてあるんだ?」
真司が威圧的に聞く。
「あの……その……木曜は、女子が全裸になると書きました」
「なるほど。金曜は何ですか?」
「金曜は……男女が入り乱れて……その……セックスを……して……女子が全員妊娠します」
「「妊娠」」
漣と真司の声が被った。
漣は少し考えてから次の質問をした。
「……その続きはありますか?」
「ないです!……金曜で終わりです」
漣と真司は、顔を見合わせて意見を言い合う。
「金曜はマズいですね」
「流石に妊娠は無かったことに出来ないしなぁ……」
「どうしますかね……」
「そのノートを燃やしちまえば、いいんじゃねぇか?」
「燃やしてダメだった時に取り返しがつかないのが怖いですね……
牛山くん、そのノートはボールペンで書きましたか?シャープペンで書きましたか?」
牛山くんは、急に話を振られてオドオドした様子で答えた。
「えっと…………シャープペンで書いた……と思います」
「思います、か~。そのノート持って来てねぇの?」
「えっと……持って来てません。……家の自分の部屋の机の上にあります」
漣は、真司と牛山くんを落ち着かせるように言う。
「まぁ、大丈夫ですよ、真司。
牛山くん、帰ったら、消しゴムで木曜に該当する部分を消してもらえませんか?そして、一応そのノートを明日持って来て欲しいです」
「……えっと、大丈夫です」
「え、消しちまうのかよ。明日は起こっても問題ないだろ?」
「金曜だけを消すと、万が一効果が無かった時に対応が難しいと思います」
「じゃあ、木曜の内容を1回全部消して、違うことを書こうぜ。それで、元の内容が起こらなければ、消せば大丈夫って分かるだろ?」
漣は、真司の言い分に一応筋が通っているため、対応を悩んだ。
「まぁ……それであれば」
「よし!じゃあ、今日の放課後にオレが牛山のウチに行くから、一緒に考えようぜ!」
「ええ!今日、家に来るんですか?」
牛山くんは嫌そうな顔をしているが、乗り気な真司は気にした様子はない。
「明日の朝、皆で始業の30分前にここに集合しましょう。
牛山くんはノートを持って来てください」
漣がそう言うと、真司と牛山くんは頷いた。
まだ、皆、お昼ごはんは残っているが、昼休みの大部分は終わっていた。
漣が登校して教室に入ると、担任の指示通りに女子は上はキャミソール、下は下着のパンツという格好をしている。
男子は普通の格好なので、異様な空間になっている。
漣が自席に座っていると、朝のHRの開始直前に教室の後方の扉がそっと開いて近藤さんが入ってきた。
近藤さんはカバンを前に抱えて恥ずかしそうにしながら、目立たないようにそっと入ってきた。
「おはようございます」
「……おはよう。あんまり見ないでよ」
近藤さんは恥ずかしそうに漣に挨拶を返した。
近藤さんのおっぱいは黒いキャミソール越しでも大きく存在を主張している。また、白いフリルのついたパンツは、見られることを想定した選ばれたもののようで可愛らしいデザインで、かつ新しそうだ。
そうこうしているうちに、朝のHRが始まった。
「よし、今日も1日頑張るぞー。
……近藤も今日はちゃんとした格好をしているな」
担任は、昨日、近藤さんが指示と異なる服装をしていたため気にしていたらしい。
しかし、どう理由付けをしたら現在の女子の格好が『ちゃんとした格好』になるのかは大いに疑問である。
漣としては、午前中の1~4限は特に問題なくすぎていった。
強いて言えば、女子が板書のために前に行くとそのお尻に目がいったり、すれ違う際におっぱいの谷間に目がいってしまうので気を付けているくらいである。
近藤さんは、休み時間はなるべくトイレで過ごすなど人目を避けて行動しているらしく、授業中以外はあまり見かけなかった。
昼休みになると、漣と真司はアイコンタクトをして、すぐに2人で隣のクラスに向かった。
「牛山くんですよね?ちょっと、話をしたいのですが、屋上で一緒にお昼ごはんを食べませんか?」
牛山くんは、目が隠れるくらいの長い前髪をしており、全体的に野暮ったい印象を与える。
漣は、大人しそう、と表現したが、世間一般ではオタクっぽいと言えるかもしれない。
「え?えっと……はい……」
牛山くんは、驚いた反応をしたが、同意した。
そして、3人は他に誰もいない屋上でお昼ごはんを食べながら、話始めた。
「牛山くんは、この状況をどう思いますか?」
「どう……?えーと、その……どうとは……」
「異常だと思わねぇのかってことだよ」
牛山くんの口振りに、少しイラついたように真司が言う。
「まぁまぁ、真司は落ち着いて。
質問が悪かったですね。我々は異常だと思っているのですよ、この状況を。授業の内容もそうですし、この昼休みに誰も教室から出なかったり、部活がなかったりすることをですね。
しかし、他の生徒はそうではないですよね。牛山くんはどうですか?」
「……異常だと思います」
「そうですよね。……何か心当たりはありませんか?」
「その……こんなことになるとは全然思ってなくて……」
牛山くんが自己弁護をするように言う。
漣と真司は、顔を見合わせる。
「心当たりがあるということですか?」
「……そっくりなんです。自分が『妄想ノート』に書いた状況と」
「妄想ノート?そのノートはどんなノート何ですか?」
「ノート自体は家に余っていた普通のノートなんです。そこに……妄想を書いたんです。この学校で非日常的な出来事が起こる様子を」
牛山くんは恥ずかしそうに言った。
「ふーん、なるほどね。ノートに書いたことが現実になったと。月曜から水曜が現実になったとすると……明日以降は何が書いてあるんだ?」
真司が威圧的に聞く。
「あの……その……木曜は、女子が全裸になると書きました」
「なるほど。金曜は何ですか?」
「金曜は……男女が入り乱れて……その……セックスを……して……女子が全員妊娠します」
「「妊娠」」
漣と真司の声が被った。
漣は少し考えてから次の質問をした。
「……その続きはありますか?」
「ないです!……金曜で終わりです」
漣と真司は、顔を見合わせて意見を言い合う。
「金曜はマズいですね」
「流石に妊娠は無かったことに出来ないしなぁ……」
「どうしますかね……」
「そのノートを燃やしちまえば、いいんじゃねぇか?」
「燃やしてダメだった時に取り返しがつかないのが怖いですね……
牛山くん、そのノートはボールペンで書きましたか?シャープペンで書きましたか?」
牛山くんは、急に話を振られてオドオドした様子で答えた。
「えっと…………シャープペンで書いた……と思います」
「思います、か~。そのノート持って来てねぇの?」
「えっと……持って来てません。……家の自分の部屋の机の上にあります」
漣は、真司と牛山くんを落ち着かせるように言う。
「まぁ、大丈夫ですよ、真司。
牛山くん、帰ったら、消しゴムで木曜に該当する部分を消してもらえませんか?そして、一応そのノートを明日持って来て欲しいです」
「……えっと、大丈夫です」
「え、消しちまうのかよ。明日は起こっても問題ないだろ?」
「金曜だけを消すと、万が一効果が無かった時に対応が難しいと思います」
「じゃあ、木曜の内容を1回全部消して、違うことを書こうぜ。それで、元の内容が起こらなければ、消せば大丈夫って分かるだろ?」
漣は、真司の言い分に一応筋が通っているため、対応を悩んだ。
「まぁ……それであれば」
「よし!じゃあ、今日の放課後にオレが牛山のウチに行くから、一緒に考えようぜ!」
「ええ!今日、家に来るんですか?」
牛山くんは嫌そうな顔をしているが、乗り気な真司は気にした様子はない。
「明日の朝、皆で始業の30分前にここに集合しましょう。
牛山くんはノートを持って来てください」
漣がそう言うと、真司と牛山くんは頷いた。
まだ、皆、お昼ごはんは残っているが、昼休みの大部分は終わっていた。
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