密やかに、清らかに

野瀬 さと

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「課長…」
「ん…?」

キスの合間に、天野さんが俺を呼ぶ。

「なまえ…呼んでも…いい…?」
「ん…」
「しゅ…う…」
「うん…」
「周…」

甘い声に理性がぶっ飛びそうになる。
細い身体をぎゅっと引き寄せて、もっと天野さんの中…

入りたい

「ど、しよ…」
「ん…?」
「止まんない…」

ずっと触りたくて。
我慢してた。

一年分の煩悩が噴火してる。

「止まらないで…?周…」

なんでそう…
俺を煽るのがうまいんだ

「あっ…」

腕を引いてソファから立ち上がった。
そのまま、ふたりともはあはあ言いながら見つめ合った。

ここから先…どうしたらいいんだ…

男となんて寝たことない。

「周…?」

上気した顔で見上げる天野さんは、綺麗で…

「俺も…我慢しないね…?」
「え…?」

ぐいっと腕を引いて、バスルームに向かった。
脱衣所の引き戸を開けて、中に天野さんを押し込んだ。

そのまま壁に押し付けて貪るようにキスしながら、パーカーを剥ぎ取った。

「しゅ、う…」

少し抵抗されたけど、止まれなかった。
Tシャツも剥ぎ取ると、俺も自分でTシャツを脱いだ。

無言で見つめ合うと、天野さんが俺に抱きついてきた。


熱い肌が生で触れ合った。

浅黒くて、しっとりとした肌が胸板や腕に吸い付く。

身体をずらして首筋に吸い付きながら、天野さんのジーパンに手を掛けた。
トップボタンを外してジッパーを下ろすと、中に手を突っ込んだ。

「あぁっ…周っ…」

ボクサーパンツ越しに握り込んだそれは、熱く滾ってて。
興奮してるのがわかって、更に火がついた。

「だ…め…」

キスしながら握りこんだ手を、自分でするみたいに動かす。

「周…すぐ出る…」

なんてかわいいこと言うんだよ…

「周のも触りたい…」
「いいよ…触って…」

天野さんの手を、ジャージの上から自分に押し付けた。

「すごい…硬い…」
「ん…一緒だよ…」

俺ももう、何もしなくても出そうなくらい興奮してて。
布越しにぎゅっと握られて、思わず腰が引けた。
でも天野さんは離してくれなくて。
一緒に手を動かし始めた。

「くっ…」
「あっ…あ…」

もう、限界…

自分でジャージをずり下ろした。
天野さんの手に、生の自分を握らせた。

「一回出させて…」

耳元でそう囁きながら、天野さんのジーパンとパンツをずり下ろした。

「あ…っ…」

すぐに手が止めに来たけど、強引に生の天野さんを、握りしめた。

「やっ…あ、も、すぐっ…」
「俺もっ…も、無理っ…」

激しく擦り合って、ぐっと握りしめる。
苦しいけど、キスして吐息を俺の中に閉じ込める。

「んーっ…んっ…」

天野さんの身体とアソコがびくっと震えた。
それを感じた瞬間、俺ももう限界が来た。

一層深く口づけながら、手に力を入れた。

「んんっ…」

熱い液体が、俺の手に掛かった。
それが精液だとわかった瞬間、俺も達した。

「んっ…あっ…」

天野さんの身体を抱き寄せながら、手の中に放出した。

「しゅ…う…」
「さと…る…」

震えるほど気持ちよかった。

「足りない…悟…」
「え…?」

まだ欲しい…もっともっと…欲しい。

ずり下がってたジャージを脱ぎ捨てた。
天野さんのジーパンも床まで下ろして、足から引っこ抜いた。

乱暴に浴槽の給湯ボタンを押した。
そのまま、バスルームへ入った。

シャワーからお湯を出すと、待てなくて天野さんを壁に押し付けた。

「ひゃっ…冷たっ…」
「ごめん…」

また唇に貪りついて、抱きしめた。
もう発火しそうなほど、お互いの身体は熱い。

湯気が出てきて、浴室が白く染まってくる。

ガクッと天野さんの膝から力が抜けて、床に座り込んだ。

「悟!?」

興奮しすぎて、手荒なことをしてしまったかと焦った。

「……俺…こんなの初めてで…」
「え?」
「…ここまで…興奮したことない…」

夢見るような表情で俺を見上げた。

「どうしよう…周…どうしよう…」

声が掠れてる。

「凄く、周とひとつになりたい…」
「悟…」
「どうしよう…こんなの初めて…」
「俺も…」

今まで恋愛対象は女性だった。
でも、ここまで興奮して相手を求めたこと、なかった。

こんなに頭が真っ白になるほど、欲しいって…
思ったことなかったんだ。

「悟が、欲しい」

抱きたい、って…男にそういう風に思ったことなんてなかったけど。
天野さんだけは違う。

「抱きたい…」

でも、天野さんも男で。
もしも俺のこと抱きたいって思ってたら…

「抱きたい…の…?」
「うん…悟が嫌じゃなかったら…」

正直に言ったら、ふっと笑った。

「…いいよ…」

小さな声が、聞こえた。

「ほんとに…?いいの…?」

そう言ったら、手を伸ばしてきた。
握ると、ぎゅっと握り返してくれた。

「周がそう望むなら…」
「悟…」
「抱いて…?」

消え入りそうな声だったけど、しっかりと俺から目を逸らさずに言った。
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