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第七章 悠久
逞しさ
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「そしたら、キンナリは女神の居所の件、よろしく頼むな」
「えぇ、それはお任せください。あとは、これをどうぞ」
俺はキンナリから、金色のブレスレットを渡された。
「これは?」
「ブレスレット型の空間収納魔道具です。ライに持たせたいと思いましたが、中身が中身なだけにヤナ殿に預けようかと」
「……中身を聞くのが怖いが、何が入っているんだ?」
「金貨五百枚程と、最高級回復薬から各種状態異常の回復薬と、あとは使えそうな魔道具関係をありったけと、ライの着替えやらなんやらです」
「嫁入りかよ……金はそんなに要らん。俺も既に結構な額がギルドに預けてあるからな。回復薬と魔道具関連は有難く使わせてもらう」
俺が、若干予想通りなキンナリの行動に苦笑していると、更に話を続けた。
「あとは、大体街には、私の商会の店がありますからな。金や物資が足りなくなったら、そこで受け取ってください。ライに、不自由な思いはさせられませんからな!」
「何処のゲームの、花嫁の父親だ……」
俺が、キンナリの好意をしっかり受け取り、屋敷を後にしようとした。
「ヤナ様、この世界をよろしくお願いします」
キンナリが深く頭を下げた。
「もうそれは、あんたが言う必要はない」
キンナリに頭を上げさせ、顔を見ながら俺は自分の決意を口に出す。
「俺は、この世界を救うと決めている」
そして、俺たちは屋敷を後にした。
「ヤナ、ふほ行くの?」
全員で西都の露店を回り、食材を買い込んでいると、周りをきょろきょろしていたライが、話しかけてきた。口には屋台で買った飴玉みたいなお菓子を、頬張っている。
「くっ! なんだこの洗練されたような美少女の容姿から繰り出される、幼げな話し方は!」
俺が悶えていると、呆れた目を俺に向けながらエディスがライに説明していた。
「あんまり、この人の変なとこ見ちゃダメよ。ちょっと残念なの」
「うん、わかった」
「わかるな! そして、何の説明をしてるんだ!」
エディスの説明に、素直に頷くライに危機感を覚えていると、アシェリが確認してきた。
「ガストフ支部長から、Aランクアップ昇格試験の推薦が通ったと連絡があったんですよね?」
「あぁ、ついさっきな。無事に推薦は通ったからデキスへと行ってくれとさ」
「それでは、このまま向かうのですか?」
「昼まで、旅に必要な物を買い込んで、昼飯をここの街で食べたら出発だな」
俺がそう答えると、セアラはデキスまでの道程を確認をしてくる。
「確か、デキスまでは西都から通常の馬車で一週間ほどでしたから、神火の馬車なら四日ほどでしょうか?」
「それなんだがなぁ。旅の最中に今のライの実力を確認したいのと、それに合わせて鍛錬を考えたいから、通常の馬車と同じくらいの行程になりそうだな」
俺がそう答えると、何故か三人が集まって小声で相談していた。
「二人とも、これは絶好の機会ね」
「はい、一週間あれば盛れます」
「ライちゃんは早く寝させれば、いいでしょう」
「ヤナ、おねえちゃん達は何を話しているの?」
「……よく分からないが、きっとろくなことじゃない気がするから、ライは聞いちゃダメだぞ?」
「うん、わかった」
俺は、再び固く決意した。
「ライは、何としても普通の女の子に育ててみせる!」
「マスター、次はパパですか……」
ヤナビの呆れ声をスルーしながら、俺は旅の準備を進めた。
「少し遅くなったが……いざ迷宮都市国家デキスへ向けて……出発!」
「「「……おぉお……」」」
「おぉ」
勿論、俺と三人は神火の肉体改造器具と神火の重石帯を、それぞれ動きが限界が来るまで負荷を上げた状態にさせた。
「ライは……まず俺たちのお手伝いを頼むぞ……」
「お手伝い?」
「そうだ……俺とお姉ちゃん達は、今からライが乗っている神火の馬車の後ろを走る……ライは空間魔法を使って走るのを、邪魔したらいい」
「邪魔していいの?」
「おぉ、いいぞ……そういう遊びだと思えばいいさ」
「うん、わかった」
「思いっきり遊べよ」
「うん」
そして、俺たちはデキスへと向かい走り始めた。
「ぬわ! あぶねぇ!」
「あなた……これ……は……ひぃ!」
「キャイン! 主様ぁあ!」
「容赦が……ないですぅう!?」
ライの作った三角錐にみえる物体が、俺たちに無数に降り注いでいた。
「ヤナとお姉ちゃん達凄いねぇ、中々当たんないなぁ」
ライは楽しそうに、『空間断絶』により三角錐に固定した無数の小規模空間を、俺たちに向けて飛ばしていた。『三角錐型空間断絶』を動かしていると、空間の揺らぎが見える為、全く見えない訳ではないが、かなり見にくい。
「気配感知を、全力で行え! 目に頼るな! 当たると穴があくぞ!」
「「「ライちゃんに、開けられるのは嫌ぁああ!」」」
各々が気配感知系のスキルを最大限発動して、何とか躱していた。
「むぅ、当たらない……えぃ」
ライが顔に似合わないあどけない顔で、更に俺たちを追い込む。
「どわぇ! 気をつけろ! そこら中に、触れると固定される『設置型空間断絶』があるぞ!」
ケンシーと屋敷で戦っていた時に、ライにされたやつと同じだろう。隠れているその断絶空間に触れると、短時間だがその場に固定されてしまう。
「「「きゃぁあああ!」」」
「あったれぇ」
そして、その日の宿営地に着く夕方まで、デキスに向かう街道には悲鳴が途切れることはなかった。
「ほらほら、起きろよ。夕飯の準備をするから、それまで休んでおいていいぞ」
「……あなた? 外さないの?」
「何を?」
「主様……本気ですか?」
「いつも、本気だが?」
「ヤナ様、もう少し締め付けて貰っても……」
「……セアラは、取り敢えずその強さで慣れとこうか」
寝るときも食事の時も、各々が出発時に限界に近い負荷をかけた神火の肉体改造器具と神火の重石帯を、着けたまま過ごすこととした。
「お姉ちゃん達、大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、もう話し方も普通に近いだろ? 慣れだよ慣れ」
「「「鬼ぃ……」」」
三人は呻いていたが、セアラが何か思い出したかのように声を上げた。
「はっ! ヤナ様! 今日の夕食は、私達が準備致します!」
そのセアラの声に続くように、アシェリとエディスも同様に声を上げた。
「そうよ! あなた、疲れているでしょ? 偶には、私達が作るわ!」
「主様は、私たちの料理で元気になってください!」
「お前ら元気だな……それはいいけど、お前らって料理できるのか?」
「「「え?」」」
三人が一斉にお互いの顔を見始めた。
「え? 二人が出来るんじゃ?」
「私は、無理です……」
「私は、エディスが出来るものとばかり……」
「お前ら……」
三人が何故か、地に四つん這いになり項垂れているので、結局俺が夕飯の準備を始めた。
「手伝う?」
「ありがとうな。それじゃぁ……あそこで項垂れるお姉ちゃん達を、元気にさせてきてくれ」
「うん、わかった」
そう言うと、ライは三人項垂れる三人の方へと歩いて行った。
俺はその後ろ姿を見ながら、複雑な気持ちになっていた。
「見た目は、完全に俺と同い年くらいなのにな……」
心と身体のバランスの悪さに対しては、アシェリにも同様に違和感を感じるが、ライほどではない。大人っぽい子供というのを、妹で見慣れていたせいかもしれないが、ライは違った。
しかも、この世界の子供は宿屋のリアンちゃんもそうだが、精神年齢が高い。第二王女のエルミアもそうだった。
そのせいか、ライの幼さが余計に目立っていた。
「それに、身体と魂の問題もあるしな」
俺は夕飯の準備をしながら、思わず独り言を呟いた。
悪神の眷属である肉体からライの魂を、どのように救えば良いのか。
「よし、出来たっと」
全員分の夕飯の準備が出来たところで、四人の様子を見に神火の馬車から外に出てると、四人が笑顔で話しをしていた。
「本当に、逞しいよな」
絶望に追われ
絶望に殺され
絶望に染められ
それでも彼女達は、俺の目の前で笑っている
「きっと、救われているのは俺だろうな」
俺は、四人を眺めながら呟いた。
「おぉい、飯できたぞぉ。外の机に運ぶの手伝ってくれぇ」
「「「「はぁい」」」」
問題は多い
それでも何とか出来るさ
俺には皆がいる
「えぇ、それはお任せください。あとは、これをどうぞ」
俺はキンナリから、金色のブレスレットを渡された。
「これは?」
「ブレスレット型の空間収納魔道具です。ライに持たせたいと思いましたが、中身が中身なだけにヤナ殿に預けようかと」
「……中身を聞くのが怖いが、何が入っているんだ?」
「金貨五百枚程と、最高級回復薬から各種状態異常の回復薬と、あとは使えそうな魔道具関係をありったけと、ライの着替えやらなんやらです」
「嫁入りかよ……金はそんなに要らん。俺も既に結構な額がギルドに預けてあるからな。回復薬と魔道具関連は有難く使わせてもらう」
俺が、若干予想通りなキンナリの行動に苦笑していると、更に話を続けた。
「あとは、大体街には、私の商会の店がありますからな。金や物資が足りなくなったら、そこで受け取ってください。ライに、不自由な思いはさせられませんからな!」
「何処のゲームの、花嫁の父親だ……」
俺が、キンナリの好意をしっかり受け取り、屋敷を後にしようとした。
「ヤナ様、この世界をよろしくお願いします」
キンナリが深く頭を下げた。
「もうそれは、あんたが言う必要はない」
キンナリに頭を上げさせ、顔を見ながら俺は自分の決意を口に出す。
「俺は、この世界を救うと決めている」
そして、俺たちは屋敷を後にした。
「ヤナ、ふほ行くの?」
全員で西都の露店を回り、食材を買い込んでいると、周りをきょろきょろしていたライが、話しかけてきた。口には屋台で買った飴玉みたいなお菓子を、頬張っている。
「くっ! なんだこの洗練されたような美少女の容姿から繰り出される、幼げな話し方は!」
俺が悶えていると、呆れた目を俺に向けながらエディスがライに説明していた。
「あんまり、この人の変なとこ見ちゃダメよ。ちょっと残念なの」
「うん、わかった」
「わかるな! そして、何の説明をしてるんだ!」
エディスの説明に、素直に頷くライに危機感を覚えていると、アシェリが確認してきた。
「ガストフ支部長から、Aランクアップ昇格試験の推薦が通ったと連絡があったんですよね?」
「あぁ、ついさっきな。無事に推薦は通ったからデキスへと行ってくれとさ」
「それでは、このまま向かうのですか?」
「昼まで、旅に必要な物を買い込んで、昼飯をここの街で食べたら出発だな」
俺がそう答えると、セアラはデキスまでの道程を確認をしてくる。
「確か、デキスまでは西都から通常の馬車で一週間ほどでしたから、神火の馬車なら四日ほどでしょうか?」
「それなんだがなぁ。旅の最中に今のライの実力を確認したいのと、それに合わせて鍛錬を考えたいから、通常の馬車と同じくらいの行程になりそうだな」
俺がそう答えると、何故か三人が集まって小声で相談していた。
「二人とも、これは絶好の機会ね」
「はい、一週間あれば盛れます」
「ライちゃんは早く寝させれば、いいでしょう」
「ヤナ、おねえちゃん達は何を話しているの?」
「……よく分からないが、きっとろくなことじゃない気がするから、ライは聞いちゃダメだぞ?」
「うん、わかった」
俺は、再び固く決意した。
「ライは、何としても普通の女の子に育ててみせる!」
「マスター、次はパパですか……」
ヤナビの呆れ声をスルーしながら、俺は旅の準備を進めた。
「少し遅くなったが……いざ迷宮都市国家デキスへ向けて……出発!」
「「「……おぉお……」」」
「おぉ」
勿論、俺と三人は神火の肉体改造器具と神火の重石帯を、それぞれ動きが限界が来るまで負荷を上げた状態にさせた。
「ライは……まず俺たちのお手伝いを頼むぞ……」
「お手伝い?」
「そうだ……俺とお姉ちゃん達は、今からライが乗っている神火の馬車の後ろを走る……ライは空間魔法を使って走るのを、邪魔したらいい」
「邪魔していいの?」
「おぉ、いいぞ……そういう遊びだと思えばいいさ」
「うん、わかった」
「思いっきり遊べよ」
「うん」
そして、俺たちはデキスへと向かい走り始めた。
「ぬわ! あぶねぇ!」
「あなた……これ……は……ひぃ!」
「キャイン! 主様ぁあ!」
「容赦が……ないですぅう!?」
ライの作った三角錐にみえる物体が、俺たちに無数に降り注いでいた。
「ヤナとお姉ちゃん達凄いねぇ、中々当たんないなぁ」
ライは楽しそうに、『空間断絶』により三角錐に固定した無数の小規模空間を、俺たちに向けて飛ばしていた。『三角錐型空間断絶』を動かしていると、空間の揺らぎが見える為、全く見えない訳ではないが、かなり見にくい。
「気配感知を、全力で行え! 目に頼るな! 当たると穴があくぞ!」
「「「ライちゃんに、開けられるのは嫌ぁああ!」」」
各々が気配感知系のスキルを最大限発動して、何とか躱していた。
「むぅ、当たらない……えぃ」
ライが顔に似合わないあどけない顔で、更に俺たちを追い込む。
「どわぇ! 気をつけろ! そこら中に、触れると固定される『設置型空間断絶』があるぞ!」
ケンシーと屋敷で戦っていた時に、ライにされたやつと同じだろう。隠れているその断絶空間に触れると、短時間だがその場に固定されてしまう。
「「「きゃぁあああ!」」」
「あったれぇ」
そして、その日の宿営地に着く夕方まで、デキスに向かう街道には悲鳴が途切れることはなかった。
「ほらほら、起きろよ。夕飯の準備をするから、それまで休んでおいていいぞ」
「……あなた? 外さないの?」
「何を?」
「主様……本気ですか?」
「いつも、本気だが?」
「ヤナ様、もう少し締め付けて貰っても……」
「……セアラは、取り敢えずその強さで慣れとこうか」
寝るときも食事の時も、各々が出発時に限界に近い負荷をかけた神火の肉体改造器具と神火の重石帯を、着けたまま過ごすこととした。
「お姉ちゃん達、大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、もう話し方も普通に近いだろ? 慣れだよ慣れ」
「「「鬼ぃ……」」」
三人は呻いていたが、セアラが何か思い出したかのように声を上げた。
「はっ! ヤナ様! 今日の夕食は、私達が準備致します!」
そのセアラの声に続くように、アシェリとエディスも同様に声を上げた。
「そうよ! あなた、疲れているでしょ? 偶には、私達が作るわ!」
「主様は、私たちの料理で元気になってください!」
「お前ら元気だな……それはいいけど、お前らって料理できるのか?」
「「「え?」」」
三人が一斉にお互いの顔を見始めた。
「え? 二人が出来るんじゃ?」
「私は、無理です……」
「私は、エディスが出来るものとばかり……」
「お前ら……」
三人が何故か、地に四つん這いになり項垂れているので、結局俺が夕飯の準備を始めた。
「手伝う?」
「ありがとうな。それじゃぁ……あそこで項垂れるお姉ちゃん達を、元気にさせてきてくれ」
「うん、わかった」
そう言うと、ライは三人項垂れる三人の方へと歩いて行った。
俺はその後ろ姿を見ながら、複雑な気持ちになっていた。
「見た目は、完全に俺と同い年くらいなのにな……」
心と身体のバランスの悪さに対しては、アシェリにも同様に違和感を感じるが、ライほどではない。大人っぽい子供というのを、妹で見慣れていたせいかもしれないが、ライは違った。
しかも、この世界の子供は宿屋のリアンちゃんもそうだが、精神年齢が高い。第二王女のエルミアもそうだった。
そのせいか、ライの幼さが余計に目立っていた。
「それに、身体と魂の問題もあるしな」
俺は夕飯の準備をしながら、思わず独り言を呟いた。
悪神の眷属である肉体からライの魂を、どのように救えば良いのか。
「よし、出来たっと」
全員分の夕飯の準備が出来たところで、四人の様子を見に神火の馬車から外に出てると、四人が笑顔で話しをしていた。
「本当に、逞しいよな」
絶望に追われ
絶望に殺され
絶望に染められ
それでも彼女達は、俺の目の前で笑っている
「きっと、救われているのは俺だろうな」
俺は、四人を眺めながら呟いた。
「おぉい、飯できたぞぉ。外の机に運ぶの手伝ってくれぇ」
「「「「はぁい」」」」
問題は多い
それでも何とか出来るさ
俺には皆がいる
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