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第四章 自由な旅路

廻り灯籠

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 私は、ずっと普通じゃない事が嫌だった。

 人から羨ましいと言われても、嫌だった。

 男の人からの目線が嫌だった。

 昔はお母さんみたいに、大きくなっていくのが嬉しかったのに。

 ある時気付いたのだ。学校の男の子の目線が、私の顔を見ていない事を。

 最初は、何を見ているのか理解出来なかった。

 その事を友達やお母さんに話すと、苦笑していた。

「塁は大きい・・・から仕方ないよ」

 その事を知ってから、周りの視線が気になり始めた。

 体育時間が嫌いになった。

 ガラの悪い男子に、からかわれる事が増えた。

 高校になって、電車通学になると朝の満員電車で痴漢にあった。

 突然の事で、怖くて声も出なかった。

 恥ずかしくて、親にも相談出来なかった。

 親や友達に心配かけたくなくて、学校も休めなかった。

 電車乗るのが、本当に苦痛で嫌だった。

 子供の頃はお母さんとのお出かけは電車だった。だから電車は大好きだったのに。

「もう…嫌…」

 今は電車が大嫌いだった。

 今日も痴漢にあった。

 その時だった。

「いでぇえええ! 何すんだぁ!」

「あぁ? いい年したおっさんが、痴漢なんて情けねぇことしてんじゃねぇよ!」

 後ろ姿で顔が見えなかったが、私と同じ制服を着た男の子が、私を痴漢していたおじさんを締め上げて、ホームで駅員さんに引き渡していた。駅員さんにスマホの画面を見せていたので、証拠の写真か映像でも撮っていたのかも知れない。

 それから、何故か全く痴漢されなくなった。

 電車に乗るのが、少し怖くなくなった。

 学校の体育の時間の時だった。

 この日はバレーボールだった。

「おぉお! 今日も派手に揺れてるなぁ! ギャハハ!」

 クラスの男子から、笑われた。

 私は、苦笑いでその場をいつも耐えていた。

 体を動かすのは、昔は好きだった。

 でも、今は辛い。

 友達には、気にしてないよと笑っていた。

 この日も、私は耐える筈だった。

「もっとジャンプしろぶべぇ!」
「何しやがぶぅ!」

「あぁ? 何ってバレーボールだろ?」

「バレーは至近距離で、サーブは打たがはぁ!」
「やめでぇぐばぁ!」

「くだらねぇ事言ってないで、体育に熱血しようぜぇ? 俺全員余所見・・・する暇なんて、ナイヨナ?」

「「「ひぃ!?」」」

 私を馬鹿にしてた男子を、バレーの猛練習・・・で、叩きのめしてから、男子全員を見回して富東君はそう言い放った。

「「鬼がいる…」」

 但し、クラスメートの女子にはドン引きされていたけど。

 その日から、体育の時間の男子は、何処かの全国制覇を目指してるキャプテンの如きシゴキを富東君から受け始め、私をからかう余裕すらなくなり、最後には本当に全員が何かの運動部に所属したらしい。

「最近、ルイ何だか元気になってない?」

「そうかなぁ? 前から私は元気だよ!」

 アリスちゃんに、そう言われた。

 きっと元気になってると思う。

 この間、気づいちゃったからだ。


「あれ? おはよう。富東君もこの電車なの?」

「ん? えっと、あぁ、この時間の電車だな」

 富東君は少しバツが悪そうにそう答えた。不思議に思っていると、電車から降りる際にふと富東君の後ろ姿が目に入った。

「あ……」

「ん? なにか電車に忘れ物か?」

「ううん! 思い出した・・・・・から大丈夫だよ! 矢那・・君、早く行かないと遅刻しちゃうよ!」

「急げって言われても、混雑してて走れねぇよ」

「ふふ、そっか! じゃあ、みんな行くまでここで、待てばいいね!」

「それじゃダメだろ……ほら、行くぞ」

 私は、別に記憶力が悪い訳じゃない。

 今思い出せば、あの誰かが痴漢から助けてくれた日から、私の近くにいつも同じ制服の男の子がいた気がした。

 私は、その事を矢那君には言わなかった。

 もし、言ったらもう近くで守って・・・くれないかも知れない。

 私は、朝の電車が好きになった。

 それから、矢那君と朝の電車で話すようになり、友達になった。

 一度、自分の事について聞いた事があった。

「私、普通じゃないから、色々大変でさぁ」

「あぁ、まぁ、うん。そうかもな」

 矢那君は苦笑しながら、あさっての方向を向く。

「普通じゃない事が、嫌なのか?」

「うん……だって普通じゃないから、見られたりする訳だし」

「俺は至って普通だからなぁ。結構、普通じゃない事に憧れるんだよなぁ」

 矢那君は自分を普通だと思っているらしい。指摘すると可哀想なので、そのまま私は放置した。

「普通じゃない事に、憧れるの?」

「だって、正義の味方ヒーローは『普通』じゃなれないだろ?」

 矢那君は笑いながら、そう言った。

「確かに『普通』じゃ、ヒーローにはなれないね。ふふふ」

 矢那君はそう言った後に、しまったという顔をしてそっぽを向いていたが、耳が赤くなっていた。

 私は『普通』じゃない事に、少し心が軽くなった。

 異世界にみんなと召喚された時、矢那君だけが『召喚されし勇者』ではなかった。

 更に矢那君は、私達と違って元の世界に帰る事が出来ないと言われてしまった。

 それを聞いて矢那君は私達に笑いながら言った。

『こんな剣と魔法の世界から、しばらく帰るつもりも無かったから丁度良いってなもんだ』

 でも、矢那君の目は笑っていなかった。

 当たり前だ。帰りたいに決まっている。

 白雪ちゃんに責任を感じさせない為や、私達に遠慮させない為に決まっていた。

 私は、それを聞いてそこまで、強がらなくても良いのにと思った。

 その後も、中々レベルの上がらなかった私を他三人に追いつくまで、一緒に鍛錬してくれた。

 自分はあんなに厳しい程に追い込んでも、全然レベルが上がらなかったのに、私のレベルが上がると本当に笑顔で喜んでくれた。



「……かは……ふふ……これを……走馬灯って言うのかな……」

 城での鍛錬時にアメノさんにも、何回か軽く斬られた事はあった。自分で治せる程度に、きちんと調節してくれたんだと思う。今は、斬られた所が熱いとしか感じない。自分で回復ヒール出来るほどの、集中は今は出来ない。

「……でも……最後が……彼との最初の出逢いを……観れたってのは……私も乙女だね……ふふ」

 周りで、私を呼ぶ声がしたけど、もう誰かわからない。

 目も霞んできて、誰が泣いているかも分からない。


 アリスちゃんかな?

 シラユキちゃん?

 コウヤ君?


 ふふ、彼はさっきまで通話してたから、もう声は聞いたもんね

 異世界があるなら、きっと転生もあるよね?

「……また……ね……」

 私の意識は、深く暗い闇に沈んでいく



「『ヤナだ! どうなってる! コウヤは通話が繋がらない! アリスは泣きじゃくって話せない! シラユキは話せるか!』」

 俺は、ルイとの通話が切れた直後に、神火の水上ウォーターバイクジェットを全力で走らせアシェリと別れた浜辺に向かった。咄嗟に、ネミアさんも付いてくると言ったので何とか、エディスさんの後ろにくっついてもらった。泳ぐよりこっちの方が速かったからだ。

「『シラユキよ! コウヤは、怪物に変身したAランクの冒険者と戦ってる! かなり激しく戦ってるから通話は無理! アリスは……私は取り敢えず・・・・・大丈夫!』」

「『よし! ルイはどんな感じだ!』」

「『かなり息は浅いけど、まだあるわ! でも、もう意識はないみたい。今ギルドにミレアさんが治癒師を呼びに行ってる所! あとは持ってる回復薬ポーションを、傷口にかけているんだけど、傷口に瘴気が纏わり付いて、殆ど回復してくれないの!』」

「『そうか……生きてさえいれば、俺が何とかする! それまで……俺が行くまで何としても、何をしてでも命を繋ぎ止めろぉおお!』」

 そして、俺達は浜辺に向かう入江で、浜辺に向かう大量の魔物の大群と遭遇した。

「エディスさんとネミアさんは、この神火の水上ウォーターバイクジェットにしがみつく付け! 俺が奴らの間に道を作る! どけぇええ! 『海割り』!」

 俺は腕輪と指輪を外し、全力で魔物の群れごと一刀両断で海を叩き割った。

「「「グギャアアアアア!」」」

 魔物の断末魔と共に、浜辺へ一直線に道が出来た。そして神火の水上ウォーターバイクジェットを浜辺に向かって蹴り飛ばした。

「「きゃぁああああ!?」」

 俺が二人が乗ったままの神火の水上ウォーターバイクジェットを蹴飛ばすと、割った海が閉じる前に一瞬で魔物の群れを追い抜き、浜辺に近づいた。最後は自動操縦オートパイロットで減速させて、二人を浜辺に下ろした所で『解除リリース』した。

 俺は割った海の底で、じっと集中した。街全体のカバーするつもりで、全力の死神の危険/気配慟哭自動感知を発動し、ルイや勇者達の気配を探した。

「……いた! ぜりゃぁあああ!」

 全力で海底を蹴り出し、掴んだ気配へ飛んだ。



「ルイ……ルイぃ……目を開けてよぉ……ルイぃいいい!」

「アリスどいて! ミレアさんが、ギルドから治癒師ヒーラーが来てくれたわ! お願いします!」

 私は、ルイに覆いかぶさり泣きじゃくっているアリスを退かせて、治癒師ヒーラーに診てもらう。

「これは……兎に角やってみよう!」

 治癒師が回復魔法ヒールをかけるが、やはり瘴気が邪魔をしている為か、殆ど傷が塞がらない。

「ダメだ……この瘴気が、回復魔法ヒールを身体に受け付けさせてくれない。それに……仮に瘴気がなかったとして、ここまで大きい傷を治せる術者は……この街にはいないだろう……すまない……」

「なんで……なんでルイがなのよぉ! 私だったら……ルイが治してくれるのに!」

 アリスの悲痛な叫びが、現場を支配した時だった。

「そうだな。怪我したのが、ルイ以外だったらいいんだよな」

 不意に聞こえてきた方を振り返ると、ヤナ君が立っていた。

「ヤナ君……全部の回復薬ポーションも使って、治癒師の人にも回復をかけ続けてもらってるけど……どうにもならないって……息はあるけど……もうダメだって……」

 私は我慢してきた涙をヤナ君を見た瞬間、止めることが出来なかった。

 ヤナ君は私の頭に手を置き、優しく撫でた。

「任せろ。生きているなら何とかしてやる。もたせてくれてありがとな、シラユキ」

 そう言いながら、ヤナ君はルイにゆっくりと近づいていった。

「ヤナぁ……ルイがぁ……死んじゃうよぉ……」

 アリスの頭も優しく撫でて、ヤナ君はしっかりと力強い言葉で、私達に告げた。

「心配するな。ルイの傷は治す。ただ、頼みがある。俺がルイを治したら、例え寝ててもルイを叩き起こして、俺を・・治してくれる様に言ってくれ」

「「え?」」

 そして、ヤナ君は魔法を唱えた。

「『神火の清めアブルーション』」

 ヤナ君の神々しい炎でルイが包まれ、傷口の瘴気が消えていった。

「任せたぞ? 『神火の身代わりスケープゴート』」

 ヤナ君とルイが炎に包まれたと思ったら、ルイの傷口が塞がり出した。

「……うぐ……ぐぁあああ! ルイ! まだ逝かせねぇぞぉおお!」

「傷が! ルイの傷が治っていってる!」

 アリスがルイの様子を見て叫ぶ。

 私もその様子を見ていて、喜ぼうとした時に、ヤナ君が明らかに苦しんでいる事に気がついた。

「ヤナ君? え!? 凄い血が流れてるけど! どうしたの!?」

「ぐぁあああ! 俺に構うなぁあ! ルイを見ていろ!」



 私はまた誰かに呼ばれた気がして、深い闇から呼び起こされた。

「ん……あれ? 私……生きてる?」

「ルイ! よかった! 治っていきなりだけど、ヤナ君を治して! 早く! 今度はヤナが死んじゃう!」

「え!?」

 振り返ると仁王立ちで立っているヤナ君の足元には、大量の血溜まりが出来ていた。

「……ルイ……たの……むわ……」

「よくわかんないけど、いつも通り無茶したんだね! 『聖女の抱擁エクストラヒール』!」

 私がヤナ君に抱きつき、『聖女の抱擁エクストラヒール』でヤナ君を癒す。

「はぁ……助かった。ルイ? 別にこれ聖女の抱擁は実際に抱きつかなくても、回復するだろ?」

「『聖女の抱擁エクストラヒール』は、抱きついた方が効果が高いの!」

 私は、ヤナ君の胸に顔を埋めて泣いていた。

「まぁ、いいけど……恥ずかしい上に、後ろでコウヤが結構苦戦してるんだけどな?」

「少しくらいほっといても、死にはしないよ。私が治すもの」

「……コウヤ……どんまい……」



 死にかけて、ヒーローに助けられたんだもん

 助けられたヒロインは、少しくらいワガママ言ってもいいよね?
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