10 / 71
序章
10 白銀
しおりを挟む
4/13 7:30
「・・・であるからして!皆で力を合わせ、他国とも手と手を取り!手を取り合う事で国民の鎮静化に繋がる訳です! この素晴らしき策は国を揚げて力を入れて行くプロジェクトなのです! その中でも重要な貴女の!巫女様の存在は不可欠!! 何やらエルフ共の中には『戦姫』なる影響力がある指導者が存在するらしいのですがね、、ですが、そこで!我々もスクラムを組めば不安も無くなると言う訳でござ、、」
大臣であるフォメットの話
それは6:20頃から始まった
(クッソ長い)
表情筋を強引に殺し
耳の機能が低下する様、視覚を遠くの方にズラし
(中身が薄い)
目を薄く閉じてから深呼吸をする
・・・
まだまだ止む事の無い雨に
巫女シエルは
(っつか全然何言ってるのか分からん)
苛立ちながらも瞳を抉じ開け、出来る事なら一点を凝視し、問答へと移ろうとする
のだが
「この非常事態です、対処するには各個一丸となり再び王都の為になる様! 民は、いえ!全ては全員で注力を注いでエマージェンシーを払拭して行かねばならぬと!!」
( なんて?)
思わず目を開け吹き出すのを我慢する
言ってる事はご立派なのかもしれないのだが
『皆で力を合わせ他国と手を取り、スクラムを組み各個一丸となって全員で注力を注ぐ』
なんて、もはや名言で
危険がデンジャラスでリスクが危ない訳だ
正直
(もうそろ話が進まないと辛いな)
と思っていた頃だった
「よって! これより!!巫女様には英雄達と共に異変解決に伴い魔物の、いや!魔王の討伐を命じる」
前に立つ禿げたジジイが何か重要な事を口走っている
「良いですね」
(魔王ってなんだよ、つかなんでお前に命じられなきゃならんのだ あと「良いですね」でドヤ顔とかヤメロ)
「はぁ」
シエルは一呼吸してから話しを始める
「つまり異変と言うのは最近よく聞く『見た事の無い魔物』が増えているって事ですよね でワタクシが各国へ出向き情報を拾い同盟を組み、討伐して行けば良いのですね?」
睨みつけそうなので目線は合わせず再び目を閉じる
「うむ、聡明で結構 これには目的があり! 全国民と他国へのアプローチ且つ純粋に・・」
「で! その 共に向かう英雄達と言うのは?」
シエルは逃さず!即座に!! 話を折る
「、、うむ、3時間後に西門にて粋の良い選りすぐりの精鋭を集め招集しておこう!」
(もう 頭痛が痛い)
「分かりました、刻も無いですね、一度身支度もありますので これにて」
シエルは口早に、早々に敬礼をする
「うむ、白銀の巫女! いやプラチナシャインメイデン 期待していますよ 良いですね」
(やめろ!もう「良いですね」どころじゃねえ)
「 ゴキタイニソエルヨウ」
崩れ落ちるようにゆっくり膝を折り床に着けると精一杯の受け答えをする
「うむ、では これにて!!!」
ワーーーーーー
ワーーーーーー
拍手喝采、騎士達からの壮大な歓声が上がる
「うおおおお! 白銀の巫女~」
「頑張れ~」
「ありがと~」
「栄光あれ~」
シエルの活躍により平均5時間はかかる『アリガタキオコトバ』は約1時間でお開きとなった
、、だからこそ、素直な兵達の喜びが仇となる
ワーーーーーー
「プラチナシャインメイデン!」
「プラチナシャインメイデン!」
「プラチナシャインメイデン!」
「プラチナシャインメイデン!」
喝采はシエルとシフが馬車に乗り込み関所を抜けるまで続いた
「おい、シフ」
「ハイ」
従者は目を合わせずに歯を食いしばる
「殺すのと殺されるのとどっちが良い」
「、、スミマセン」
「マジでその顔やめないと本当に浄化するぞ」
笑うのを極限まで我慢する従者を睨み付ける
「ス、スミマ プ ブフーー!プラチナシャインメイデンは無理ですよ~」
聖堂に戻るとゼブラ神父が巫女の掛けた立て札を撤去している
「あぁ、おかえり うん、シフはこれまた酷い顔だね」
「だいじょうぶれす じゅんびいそぎまふね」
従者は腫れた頬を抑え急いで部屋へ向かう
「おい、クソオヤジ」
「うん?」
「てめぇは分かってたんだろ?」
「、、うん そうだね 頑張るんだよ」
「けっ、精々平民共見過ぎて過労死でもしてろ」
国からすると原因不明な不安材料を放置する訳にもいかない
かと言って大神官が直々に王都を離れる訳にも行かない
フォメット大臣が口を滑らせたがこれは他国へのアプローチでもある訳だ
お飾り巫女様が解決したと言う英雄録が欲しいんだろう
(まぁいいさ腰の重いお国様より身軽で動きやすいってものだ)
4/13 9:30
「シフ、頼んだよ」
「はい、何があってもシエル様はお守りします」
従者と神父が別れの挨拶を交わしている
「これを、少ないが持って行きなさい」
ずっしりとした袋を手渡す
ゼブラ大聖堂は基本的に国からの支援を受けていない
民からの寄付、完全慈悲でやりくりをしている
挙句、困った事があれば聖堂からお金を出してしまう始末
その為聖堂にほぼお金は無い はずなのだが
「いえ、この半分だけでも!」
「いや、良いんだ こういった時の為に集めていた様なモノ!」
「いえいえ、人手もいなくなります!それこそ聖堂の為にお使い下さい!」
「こっちの事は気にせず身支度の足しにしなs」
「らちあかね~」
巫女が中間に入りもぎ取る
「あ~!シエル様!?」
「シエル? 無駄遣いはするんじゃないよ!?」
(何故か悪役みたいな気分だな)
「ケッ、グズグズすんな、どうせここに置いといても撒いちまうんだろうが じゃあな~」
逃げる様に馬車へ乗り込むと従者も一礼をしてから後を追う
「いくら憎んでくれても構わない どうかあのこに ご加護あれ」
5分も経つと馬車は見えなくなったが神父はその後も暫く
祈り続けた
4/13 11:00
「あんたが巫女様?」
「ちっさ」
「うわ~可愛い~」
「え、子供じゃないの?」
「名物巫女ってこんなのなんだ?」
「俺は雇われだから無理難題は聞かないからよろしく~」
「巫女さんの子守して英雄だぜ良いじゃん?」
「あいつは呼ばれなかったんだ?」
「断ったんじゃね?」
・・・
時刻は昼前
西門前にて例の『粋の良い選りすぐりの精鋭部隊』とのご対面である
のだが
巫女らが到着してからそろそろ一時間が経とうとしている所だ
それはそれはちんたらちんたらという言葉が良く似合う程に間抜けな台詞を溢し
かと言って固まって来る訳でも無く
一人また一人、時には二人、、
有象無象(うぞうむぞう)が群れずにやって来る
(なあにが精鋭部隊だ クソが)
「ひ~ふ~み~の~、え~と、、弓兵が5人 白兵が4人 魔法使いが2人で合ってますか?」
従者が手帳を片手に点呼を取る
「え? 俺?分かんないけど」
「あれ?10人以上いたんだ?」
「魔法使いもいるのかよ!ご立派じゃね~か わははは」
誰一人として把握している者などいない、、のでまたガヤガヤと騒ぎだす
勿論ソレは子供の様にしばらく収まらない
(思っていたより全然少ないな 今から増えた所で、、だし)
チラリと主の様子を伺い
「よし!じゃあ準備しましょうか あ、弓兵さんはリーダーとか決めてます?統制は取れそうですか? あと白兵さんの獲物、魔法使いの方は何が得意か詳しく教えてもらって良いですか?」
少し大きな声でとりあえずの情報を集める事にする
「あ、魔法使いは自分達です まだ二人共勉強中で火を少し扱えるくらいです」
「え、リーダーとかいないよな?」
「ほぼ初対面だしな」「え?何?なんなの?」
「俺は知らね~」
「え、ってかだれ? 傭兵の人??」
「え?」 「え?何?」 「え?」
またも懲りず、一斉に喋り出したので
「なるほど、はい、魔法使いの方は分かりました うん、では弓兵の中で一番年長者の方をリーダーとして下さい いえ、私は傭兵では無くシエル様の従者です」
シフは淡々と最低限の指示、応答を行う
それが鼻についたのか
「ハッ!従者!? マジかよ、ハー魔物討伐に行くってのに従者ねー すげぇなやっぱり偉い人は違うんだなぁーぁ?巫 女 さ ま~」
大柄の男がへらへらとした顔で手を振る
「えぇ、そうですよ? えっと白兵さん達は見た所だと皆様揃ってソードのみで間違いなさそうですね? では参りますよ~」
先程よりも多少大きな声を出し、会話を掻き消すと早々に馬の準備へと向かう
正直
(あーあーあーシエル様)
絡まれた事なんてどうでも良く
問題は
(切れないでくださいね~)
こっちである
「はぁ~ったく、従者様に仕切られてもな~」
「ははは ま~確かに」
「俺は巫女様と話したいな~」
「ははははは~俺も俺も!!」
ざわつきは止まない
「え? 巫女様は喋らない系?」
「巫女ちゃん可愛い!」
「え?」 「え?何?」 「え?」
「 はぁ 」
一度
聞こえるか聞こえないかくらいの溜息が聞こえた
(シエル様!?)
従者が急いで傍に駆け寄るのだが
もう遅い
「では巫女の私から2つ程」
静かに少女?が前に出た
「よ!待ってました!」
「いいぞ~」
「お~声もかわい~」
「可愛い!!」
ざわざわざわざわ
ざわざわざわざわ
「ざわざわざわざわうるせぇぞモブ共」
ピタリと
小柄な愛らしい少女?から出るハズの無い言葉が場を凍らせた
続けて
「まず1つ 死ぬ覚悟が無い者は今すぐ帰れ、分かっているとは思うがエルフの森にも向う あちらさんは現在戦争中だ、人間が立ち入るだけでも、、まぁ、無い頭でも分かるな?」
決して捲(ま)くし立てる訳では無い
「2つ ピクニックじゃないだ、何をテンパってるのか知らんが大の大人が一斉に喋るな」
だからこそ
「殺すぞ?」
パンパン!
「、、はい!と言うわけでね~ え~今日は森付近の村まで向かいま~す、準備は出来てますよね~、うん、はいじゃあ行きましょうね~」
ぎこちないテンションで従者が手を叩き誘導に入る
(先が思いやられるんですけど~~)
小さく
まだボソボソと喋る声がいくらか聞こえても誰一人帰る様子は無い
それもその筈、仮にも大臣から直々に護衛の依頼で来ている訳だ
帰れるはずも無い
「クソが、昼になっちまうぞ」
無表情でシフの脇を殴る
「あふっ、完全なる八つ当たり! うぅそうですね、村まで行ってからご飯にしましょうか? 流石?なんですかね? はははは はぁ」
従者の苦労は続く
やっとの事で西門を後にする一行は
とある一台の馬車とすれ違う
「ぁ?」
シエルがふと振り返る
「どうしました? あと口が大分悪いですよ?」
従者は巫女の目線を追う
「、、いや 今通り過ぎた馬車」
「え~と多分ですけど商人用の荷馬車 ですかね?」
「いや 良い 腹減った 急ぐぞ」
「え? えぇ、美味しい物あると良いですね~」
小隊は
王都を後にする
「・・・であるからして!皆で力を合わせ、他国とも手と手を取り!手を取り合う事で国民の鎮静化に繋がる訳です! この素晴らしき策は国を揚げて力を入れて行くプロジェクトなのです! その中でも重要な貴女の!巫女様の存在は不可欠!! 何やらエルフ共の中には『戦姫』なる影響力がある指導者が存在するらしいのですがね、、ですが、そこで!我々もスクラムを組めば不安も無くなると言う訳でござ、、」
大臣であるフォメットの話
それは6:20頃から始まった
(クッソ長い)
表情筋を強引に殺し
耳の機能が低下する様、視覚を遠くの方にズラし
(中身が薄い)
目を薄く閉じてから深呼吸をする
・・・
まだまだ止む事の無い雨に
巫女シエルは
(っつか全然何言ってるのか分からん)
苛立ちながらも瞳を抉じ開け、出来る事なら一点を凝視し、問答へと移ろうとする
のだが
「この非常事態です、対処するには各個一丸となり再び王都の為になる様! 民は、いえ!全ては全員で注力を注いでエマージェンシーを払拭して行かねばならぬと!!」
( なんて?)
思わず目を開け吹き出すのを我慢する
言ってる事はご立派なのかもしれないのだが
『皆で力を合わせ他国と手を取り、スクラムを組み各個一丸となって全員で注力を注ぐ』
なんて、もはや名言で
危険がデンジャラスでリスクが危ない訳だ
正直
(もうそろ話が進まないと辛いな)
と思っていた頃だった
「よって! これより!!巫女様には英雄達と共に異変解決に伴い魔物の、いや!魔王の討伐を命じる」
前に立つ禿げたジジイが何か重要な事を口走っている
「良いですね」
(魔王ってなんだよ、つかなんでお前に命じられなきゃならんのだ あと「良いですね」でドヤ顔とかヤメロ)
「はぁ」
シエルは一呼吸してから話しを始める
「つまり異変と言うのは最近よく聞く『見た事の無い魔物』が増えているって事ですよね でワタクシが各国へ出向き情報を拾い同盟を組み、討伐して行けば良いのですね?」
睨みつけそうなので目線は合わせず再び目を閉じる
「うむ、聡明で結構 これには目的があり! 全国民と他国へのアプローチ且つ純粋に・・」
「で! その 共に向かう英雄達と言うのは?」
シエルは逃さず!即座に!! 話を折る
「、、うむ、3時間後に西門にて粋の良い選りすぐりの精鋭を集め招集しておこう!」
(もう 頭痛が痛い)
「分かりました、刻も無いですね、一度身支度もありますので これにて」
シエルは口早に、早々に敬礼をする
「うむ、白銀の巫女! いやプラチナシャインメイデン 期待していますよ 良いですね」
(やめろ!もう「良いですね」どころじゃねえ)
「 ゴキタイニソエルヨウ」
崩れ落ちるようにゆっくり膝を折り床に着けると精一杯の受け答えをする
「うむ、では これにて!!!」
ワーーーーーー
ワーーーーーー
拍手喝采、騎士達からの壮大な歓声が上がる
「うおおおお! 白銀の巫女~」
「頑張れ~」
「ありがと~」
「栄光あれ~」
シエルの活躍により平均5時間はかかる『アリガタキオコトバ』は約1時間でお開きとなった
、、だからこそ、素直な兵達の喜びが仇となる
ワーーーーーー
「プラチナシャインメイデン!」
「プラチナシャインメイデン!」
「プラチナシャインメイデン!」
「プラチナシャインメイデン!」
喝采はシエルとシフが馬車に乗り込み関所を抜けるまで続いた
「おい、シフ」
「ハイ」
従者は目を合わせずに歯を食いしばる
「殺すのと殺されるのとどっちが良い」
「、、スミマセン」
「マジでその顔やめないと本当に浄化するぞ」
笑うのを極限まで我慢する従者を睨み付ける
「ス、スミマ プ ブフーー!プラチナシャインメイデンは無理ですよ~」
聖堂に戻るとゼブラ神父が巫女の掛けた立て札を撤去している
「あぁ、おかえり うん、シフはこれまた酷い顔だね」
「だいじょうぶれす じゅんびいそぎまふね」
従者は腫れた頬を抑え急いで部屋へ向かう
「おい、クソオヤジ」
「うん?」
「てめぇは分かってたんだろ?」
「、、うん そうだね 頑張るんだよ」
「けっ、精々平民共見過ぎて過労死でもしてろ」
国からすると原因不明な不安材料を放置する訳にもいかない
かと言って大神官が直々に王都を離れる訳にも行かない
フォメット大臣が口を滑らせたがこれは他国へのアプローチでもある訳だ
お飾り巫女様が解決したと言う英雄録が欲しいんだろう
(まぁいいさ腰の重いお国様より身軽で動きやすいってものだ)
4/13 9:30
「シフ、頼んだよ」
「はい、何があってもシエル様はお守りします」
従者と神父が別れの挨拶を交わしている
「これを、少ないが持って行きなさい」
ずっしりとした袋を手渡す
ゼブラ大聖堂は基本的に国からの支援を受けていない
民からの寄付、完全慈悲でやりくりをしている
挙句、困った事があれば聖堂からお金を出してしまう始末
その為聖堂にほぼお金は無い はずなのだが
「いえ、この半分だけでも!」
「いや、良いんだ こういった時の為に集めていた様なモノ!」
「いえいえ、人手もいなくなります!それこそ聖堂の為にお使い下さい!」
「こっちの事は気にせず身支度の足しにしなs」
「らちあかね~」
巫女が中間に入りもぎ取る
「あ~!シエル様!?」
「シエル? 無駄遣いはするんじゃないよ!?」
(何故か悪役みたいな気分だな)
「ケッ、グズグズすんな、どうせここに置いといても撒いちまうんだろうが じゃあな~」
逃げる様に馬車へ乗り込むと従者も一礼をしてから後を追う
「いくら憎んでくれても構わない どうかあのこに ご加護あれ」
5分も経つと馬車は見えなくなったが神父はその後も暫く
祈り続けた
4/13 11:00
「あんたが巫女様?」
「ちっさ」
「うわ~可愛い~」
「え、子供じゃないの?」
「名物巫女ってこんなのなんだ?」
「俺は雇われだから無理難題は聞かないからよろしく~」
「巫女さんの子守して英雄だぜ良いじゃん?」
「あいつは呼ばれなかったんだ?」
「断ったんじゃね?」
・・・
時刻は昼前
西門前にて例の『粋の良い選りすぐりの精鋭部隊』とのご対面である
のだが
巫女らが到着してからそろそろ一時間が経とうとしている所だ
それはそれはちんたらちんたらという言葉が良く似合う程に間抜けな台詞を溢し
かと言って固まって来る訳でも無く
一人また一人、時には二人、、
有象無象(うぞうむぞう)が群れずにやって来る
(なあにが精鋭部隊だ クソが)
「ひ~ふ~み~の~、え~と、、弓兵が5人 白兵が4人 魔法使いが2人で合ってますか?」
従者が手帳を片手に点呼を取る
「え? 俺?分かんないけど」
「あれ?10人以上いたんだ?」
「魔法使いもいるのかよ!ご立派じゃね~か わははは」
誰一人として把握している者などいない、、のでまたガヤガヤと騒ぎだす
勿論ソレは子供の様にしばらく収まらない
(思っていたより全然少ないな 今から増えた所で、、だし)
チラリと主の様子を伺い
「よし!じゃあ準備しましょうか あ、弓兵さんはリーダーとか決めてます?統制は取れそうですか? あと白兵さんの獲物、魔法使いの方は何が得意か詳しく教えてもらって良いですか?」
少し大きな声でとりあえずの情報を集める事にする
「あ、魔法使いは自分達です まだ二人共勉強中で火を少し扱えるくらいです」
「え、リーダーとかいないよな?」
「ほぼ初対面だしな」「え?何?なんなの?」
「俺は知らね~」
「え、ってかだれ? 傭兵の人??」
「え?」 「え?何?」 「え?」
またも懲りず、一斉に喋り出したので
「なるほど、はい、魔法使いの方は分かりました うん、では弓兵の中で一番年長者の方をリーダーとして下さい いえ、私は傭兵では無くシエル様の従者です」
シフは淡々と最低限の指示、応答を行う
それが鼻についたのか
「ハッ!従者!? マジかよ、ハー魔物討伐に行くってのに従者ねー すげぇなやっぱり偉い人は違うんだなぁーぁ?巫 女 さ ま~」
大柄の男がへらへらとした顔で手を振る
「えぇ、そうですよ? えっと白兵さん達は見た所だと皆様揃ってソードのみで間違いなさそうですね? では参りますよ~」
先程よりも多少大きな声を出し、会話を掻き消すと早々に馬の準備へと向かう
正直
(あーあーあーシエル様)
絡まれた事なんてどうでも良く
問題は
(切れないでくださいね~)
こっちである
「はぁ~ったく、従者様に仕切られてもな~」
「ははは ま~確かに」
「俺は巫女様と話したいな~」
「ははははは~俺も俺も!!」
ざわつきは止まない
「え? 巫女様は喋らない系?」
「巫女ちゃん可愛い!」
「え?」 「え?何?」 「え?」
「 はぁ 」
一度
聞こえるか聞こえないかくらいの溜息が聞こえた
(シエル様!?)
従者が急いで傍に駆け寄るのだが
もう遅い
「では巫女の私から2つ程」
静かに少女?が前に出た
「よ!待ってました!」
「いいぞ~」
「お~声もかわい~」
「可愛い!!」
ざわざわざわざわ
ざわざわざわざわ
「ざわざわざわざわうるせぇぞモブ共」
ピタリと
小柄な愛らしい少女?から出るハズの無い言葉が場を凍らせた
続けて
「まず1つ 死ぬ覚悟が無い者は今すぐ帰れ、分かっているとは思うがエルフの森にも向う あちらさんは現在戦争中だ、人間が立ち入るだけでも、、まぁ、無い頭でも分かるな?」
決して捲(ま)くし立てる訳では無い
「2つ ピクニックじゃないだ、何をテンパってるのか知らんが大の大人が一斉に喋るな」
だからこそ
「殺すぞ?」
パンパン!
「、、はい!と言うわけでね~ え~今日は森付近の村まで向かいま~す、準備は出来てますよね~、うん、はいじゃあ行きましょうね~」
ぎこちないテンションで従者が手を叩き誘導に入る
(先が思いやられるんですけど~~)
小さく
まだボソボソと喋る声がいくらか聞こえても誰一人帰る様子は無い
それもその筈、仮にも大臣から直々に護衛の依頼で来ている訳だ
帰れるはずも無い
「クソが、昼になっちまうぞ」
無表情でシフの脇を殴る
「あふっ、完全なる八つ当たり! うぅそうですね、村まで行ってからご飯にしましょうか? 流石?なんですかね? はははは はぁ」
従者の苦労は続く
やっとの事で西門を後にする一行は
とある一台の馬車とすれ違う
「ぁ?」
シエルがふと振り返る
「どうしました? あと口が大分悪いですよ?」
従者は巫女の目線を追う
「、、いや 今通り過ぎた馬車」
「え~と多分ですけど商人用の荷馬車 ですかね?」
「いや 良い 腹減った 急ぐぞ」
「え? えぇ、美味しい物あると良いですね~」
小隊は
王都を後にする
1
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる