上 下
24 / 47

成瀬に呼び出される

しおりを挟む
 それとも陰キャは男子のカテゴリーに入らないのだろうか。
「結構、パリピってさもしいなあ。というかお前、単に俺の拡散力のなさに目をつけただけだろ」

「パリピなんて学校で目立ちたいってだけの子ばっかり。人の話をよく聞くふりして、本当は自慢しあっていたりする。まあ、私も含めてだけれど」
 学校のアイドルがまさかの毒舌。

「お前、大丈夫かよ?」
 他人事だが、ちょっと心配になる。

「私たちはね。あんたみたいに一人で幸せそうに料理作って満たされている。真のリア充とは違うのよ」
 自分がリア充にリア充扱いされるとは思いもよらなかった。

「あんた相当無理してグループにいるのな」
 最近の成瀬はどことなくやつれていて、精彩に欠ける。

「しょうがないじゃない。SNSでバズったとたん集まってきちゃったんだから。今更ほかのグループに行くわけにいかないし。今の友達は、きっと私がアカ消したらそれで関係もおしまいだよ」
 ちょっと精神が不安定になっているようだ。

「何落ち込んでのか知らねえけど、そこまで悲観的になることないだろう。で、通帳を家に置いとけない理由は、この間、ストーカーか?」
 それならば、警察に相談すべきだ。

「違う。ストーカーは別。それに事情話してもいいの? 重くなるけど」
 
 いろいろ突っ込みどころは多いが、成瀬自身話したくなさそうだった。
 だから俺は深入りすべきではないのかもしれない。いや、これは深入りさせられている状況ではあるが……。
「いいや、聞かない。ってかさあ、俺に通帳預けましたって一筆書いてくれない?」
「あんた、私を信用してないの?」
「信用しあえるほど長い付き合いでもにだろ」
 俺は呆れはてた。

「わかった。一方的に頼んでごめん。それとさ、もう一つ。あんたのレイン教えて」
 レインとは友人知人同士でつながる簡易的なメールのようなものだ。

「は? やだよ」
「え! うそっ、即答で拒否? みんな私と連絡先交換したがるのに!」
 成瀬がびっくりしたように目を見開く。

「冗談だろ? 連絡先なんて教えたら、あんたに便利使いされる未来しかみえねえ。それに、少しは防犯意識持てよ。そこから俺がストーカーになったりしたらどうするんだ。非モテなめんなよ。調子に乗ったらやばいぞ。それに成瀬の家庭の事情は知らないが頼る相手が間違っている。俺に妹や姉がいて現金引き出されたらどうすんだよ。警察とか担任とかにたすけてもえよ」

「え? シャツイン、お姉さんと妹いるの?」
「いないよ」
 俺は個人情報を、ついうっかり正直に答えてしまう。

「じゃあ、お願い。それに相談なんて家庭内のことだからできないよ」
 そういって成瀬は俯いた。
 今こいつがすごい困っていて、友達でもない俺に頼むしかないことに気が付いた。
 マジで俺、こいつの舎弟とかじゃあないんだが。

「しょうがない。ひと月だけあずかる」
「ほんと! じゃあ、連絡先交換しよ!」

 なんでこうなった。

 成瀬に呼び出された理由、友達になんていやいいんだよ? ここは鉄板で、焼きそばパン買いに行かされたか? いや平成でもあるまいに……。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

雌犬、女子高生になる

フルーツパフェ
大衆娯楽
最近は犬が人間になるアニメが流行りの様子。 流行に乗って元は犬だった女子高生美少女達の日常を描く

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...