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この法治国家で陰キャは人権を主張する
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今日の俺の昼飯はハンバーグだ。
母が今晩は夜勤で帰られないと言っていたので、晩飯のぶんのハンバーグも作っておく。
パン粉を牛乳につけてから、玉ねぎをあらみじんに切る。それから、ピーマンも少々もみじん切り。
俺が作るハンバーグの最大のポイントは玉ねぎを炒めないことだ。
それにより、ジューシーでしゃきしゃきな触感が楽しめる。家庭科では先に炒めておくと習ったが、あれは間違っているというのが俺の持論だ。
ひき肉に塩コショウを振り、玉ねぎとピーマン、卵を割り入れる。それから汁気を軽く切ったパン粉をいれ、木しゃもじでざっくりと混ぜてから、手でこねる。
丸めたハンバーグを10回ほど、右掌から左掌に打ち付け、空気を抜く。
それから、油をひき熱したフライパンに乗せる。最初は軽く焦げ目が付くかんじで、若干強火よりの中火で焼く、焼け具合を見てひっくり返し、やや焦げ目をつける感じで中までじっくりと火を通すのだ。
よし、夜はおろしダレでたべて、昼はがっつりソースを作ろう。
だが、学校でグレイビーソースを作るのは無理だ。あれには酒がいる。
仕方がないので、取り出したハンバーグの後に残った肉汁にしょう油とソース、トマトケチャップを投入する。バターもあればよいのだが、あいにくと今日は切らしている。後はとろみがつくまで煮込むだけ。
俺はその間に家から持ってきた握り飯をレンジであたためた。ここには炊飯器もあるのでそのうちコメを買ってきて常備するつもりだ。
すると戸口でがたんと言う音がした。ここには普段誰も近寄らない。
びっくりして目を上げると、なぜか学校のアイドル、人気のインフルエンサーにしてライバーの成瀬璃子がいた。
「え、成瀬?」
「ちょっと、シャツイン! なんでこんなところでハンバーグなんてつくっているのよ!」
いきなり怒られた。
なんで飯作ってるだけで怒られるんだよ、理不尽だろ。陰キャには飯作る権利もないのか。
「ここは料理研究部だ。だから俺は料理を作っている」
きょどることもなく堂々と答えた。
俺は、陰キャだが女子が怖いわけでもなく、ましてや彼女たちと話せないわけではない。
ただ女子が「陰キャきもっ」と言って近寄ってこないだけだ。
これはもはやいじめだと思うのだが、この法治国家ではそれを取り締まる法はなく、陰キャイコールキモイが鉄板になっているので、皆陰キャの心の傷をよそに、笑って流す。
マジで陰キャの人権どうなってんだよ?
母が今晩は夜勤で帰られないと言っていたので、晩飯のぶんのハンバーグも作っておく。
パン粉を牛乳につけてから、玉ねぎをあらみじんに切る。それから、ピーマンも少々もみじん切り。
俺が作るハンバーグの最大のポイントは玉ねぎを炒めないことだ。
それにより、ジューシーでしゃきしゃきな触感が楽しめる。家庭科では先に炒めておくと習ったが、あれは間違っているというのが俺の持論だ。
ひき肉に塩コショウを振り、玉ねぎとピーマン、卵を割り入れる。それから汁気を軽く切ったパン粉をいれ、木しゃもじでざっくりと混ぜてから、手でこねる。
丸めたハンバーグを10回ほど、右掌から左掌に打ち付け、空気を抜く。
それから、油をひき熱したフライパンに乗せる。最初は軽く焦げ目が付くかんじで、若干強火よりの中火で焼く、焼け具合を見てひっくり返し、やや焦げ目をつける感じで中までじっくりと火を通すのだ。
よし、夜はおろしダレでたべて、昼はがっつりソースを作ろう。
だが、学校でグレイビーソースを作るのは無理だ。あれには酒がいる。
仕方がないので、取り出したハンバーグの後に残った肉汁にしょう油とソース、トマトケチャップを投入する。バターもあればよいのだが、あいにくと今日は切らしている。後はとろみがつくまで煮込むだけ。
俺はその間に家から持ってきた握り飯をレンジであたためた。ここには炊飯器もあるのでそのうちコメを買ってきて常備するつもりだ。
すると戸口でがたんと言う音がした。ここには普段誰も近寄らない。
びっくりして目を上げると、なぜか学校のアイドル、人気のインフルエンサーにしてライバーの成瀬璃子がいた。
「え、成瀬?」
「ちょっと、シャツイン! なんでこんなところでハンバーグなんてつくっているのよ!」
いきなり怒られた。
なんで飯作ってるだけで怒られるんだよ、理不尽だろ。陰キャには飯作る権利もないのか。
「ここは料理研究部だ。だから俺は料理を作っている」
きょどることもなく堂々と答えた。
俺は、陰キャだが女子が怖いわけでもなく、ましてや彼女たちと話せないわけではない。
ただ女子が「陰キャきもっ」と言って近寄ってこないだけだ。
これはもはやいじめだと思うのだが、この法治国家ではそれを取り締まる法はなく、陰キャイコールキモイが鉄板になっているので、皆陰キャの心の傷をよそに、笑って流す。
マジで陰キャの人権どうなってんだよ?
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