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第63話 Ω同士の絆を深めた件
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今日も痣都井さんは必要以上に男に媚びながら楽しい楽しい楽しい楽しいリア充生活を謳歌していた。
「……アオイくん、どうしたの? 眉間にシワ寄せたりしたら、可愛い顔が台なしだよ」
尾芽牙くんは般若みたいな形相でイラついている僕に話しかけてきた。
「……別にぃ~」
「もしかして生理中? 鎮痛剤あげようか?」
「違うよ……もう、放っといて!」
ふてくされて机に突っ伏す僕を見て、尾芽牙くんは優しく声をかけてくる。
「痣都井さんなんかよりアオイくんの方が可愛いのにね。まったく、どいつもこいつも見る目がないよ」
すると尾芽牙くんの声が聞こえたらしく、痣都井さんがニヤニヤと笑みを浮かべながら近づいてきた。
「やっほ~、今ミクリのこと話してたでしょ? ミクリイヤーは地獄耳なんだよwww」
くだらないジョークに辟易しながらも僕は仕方なく顔を上げた。
「別に痣都井さんのことなんか話してないよ。向こうで大好きな男共と戯れてれば……」
僕が素っ気ない反応をしたせいか、痣都井さんはウザいくらいに粘着してきた。
「もぉ~、同じΩ同士なんだから仲良くしようよぉ♡ 後、男子に対して冷たい態度ばっかり取るアオイくんはどうかと思うけどなぁwww」
「自分の身を守るために男と距離を置くのは当然だと思うんだけど……」
痣都井さんは男からチヤホヤされないと死ぬ病気か何かなのかもしれない。
「アオイちゃん、自意識過剰すぎだって。男がΩを性的な目で見るのは当然なんだからさwww」
「だからこそ、何されるか分かんないでしょ! 痴漢やレイプに遭ったら、力では絶対に勝てない相手なんだから絶望的だよ……」
常日頃からΩを凌辱する男の存在に冷や汗をかきながら生活している者のことなど考えてもいないのだろう。この感覚はΩ同士なら共有できるものだと思っていたが、痣都井さんのような男に与して同性を貶める外道には分からないらしい。
「ミクリは痴漢なんか全然ヘッチャラだし、レイプだって一部の男がやるものでしょ? それに一番悪いのは性犯罪者であって、男の子全員を悪者みたいに言うのは良くないよぉ~」
痣都井さんがそう言うと、周囲の男子たちが同調する。
「そうそう、ミクリちゃんの言う通りだぜwww」
「被害者ぶってんじゃねえよ、ブス!」
「ブスに限って痴漢やレイプが恐いとか騒ぐからなぁ~」
周りの男子たちのセクハラ的暴言に尾芽牙くんがブチギレる。
「Ωが男に常日頃からどれだけ酷い目に遭わされてるかも知らないでアオイくんを攻撃するなッ! Ωを性的に搾取するだけ搾取してきた男なんか信じろと言われて簡単に信じられるはずがないだろッ! これ以上、アオイくんを性的に貶める発言をするなら、ボクはお前たちを絶対に許さない!!!」
尾芽牙くんの怒声に教室中がしんと静まり返った。
気まずくなってしまった僕は思わず教室から逃げ出すように走り去っていった。
「ハアハア……当分の間は戻りづらいなぁ……」
僕が深呼吸しながら伸びをしていると、後ろから尾芽牙くんも追いかけて来ていた。
「いやはや、ボクとしたことが久しぶりにマジギレしちゃったよwww」
尾芽牙くんは頭をかきながら僕に謝った。
「なんかごめんね……。明日から男子たちから目の敵にされること間違いなしだろうけど、あんなヤツらに媚びるような人間にはなりたくなかったんだ。やっぱり、ボクはΩには向いてないのかもwww」
僕以上に思ったことを、はっきり言うタイプの尾芽牙くんは誰よりも自分らしく生きててカッコいいとさえ思えた。
「うんうん、謝る必要なんかないし、Ωとしての資格なんか本来ないはずだよ。世の中は痣都井さんみたいなブリっ子が理想的なΩとしてもてはやされるみたいだけど、そんなの男が作り出した規範でしかないんだから僕たちが理不尽に従う道理はないと思う。少なくとも僕にとって尾芽牙くんは誰よりも理想のΩだよ♡」
そう言うと、尾芽牙くんはギュッと僕のことを抱き寄せて耳元で囁いた。
「ありがとう、アオイくんに出会えて本当に良かった♡ アオイくんがいなかったら、ボクは今でも自分の存在意義に悩んでいたかも……。もうアオイくんさえいてくれればボクの人生には何もいらないや♡」
そう言われて、僕も尾芽牙くんを抱きしめ返す。
「今まで僕の周りにいたΩは痣都井さんみたいにΩとしての役割を受け入れて男に媚びを売ったり、自分よりもブスのΩにマウントするような陰湿な人たちばかりだったけど、尾芽牙くんと出会って同じ悩みを抱えているのは自分一人じゃないことを知って本当に嬉しかったよ。こちらこそ、ありがとう♡」
理不尽な男社会から排除されたΩ同士で抱き合ってキスをすると、2人の間に結ばれた強い絆を僕たちは互いの体温から深く感じ取るのだった。
「……アオイくん、どうしたの? 眉間にシワ寄せたりしたら、可愛い顔が台なしだよ」
尾芽牙くんは般若みたいな形相でイラついている僕に話しかけてきた。
「……別にぃ~」
「もしかして生理中? 鎮痛剤あげようか?」
「違うよ……もう、放っといて!」
ふてくされて机に突っ伏す僕を見て、尾芽牙くんは優しく声をかけてくる。
「痣都井さんなんかよりアオイくんの方が可愛いのにね。まったく、どいつもこいつも見る目がないよ」
すると尾芽牙くんの声が聞こえたらしく、痣都井さんがニヤニヤと笑みを浮かべながら近づいてきた。
「やっほ~、今ミクリのこと話してたでしょ? ミクリイヤーは地獄耳なんだよwww」
くだらないジョークに辟易しながらも僕は仕方なく顔を上げた。
「別に痣都井さんのことなんか話してないよ。向こうで大好きな男共と戯れてれば……」
僕が素っ気ない反応をしたせいか、痣都井さんはウザいくらいに粘着してきた。
「もぉ~、同じΩ同士なんだから仲良くしようよぉ♡ 後、男子に対して冷たい態度ばっかり取るアオイくんはどうかと思うけどなぁwww」
「自分の身を守るために男と距離を置くのは当然だと思うんだけど……」
痣都井さんは男からチヤホヤされないと死ぬ病気か何かなのかもしれない。
「アオイちゃん、自意識過剰すぎだって。男がΩを性的な目で見るのは当然なんだからさwww」
「だからこそ、何されるか分かんないでしょ! 痴漢やレイプに遭ったら、力では絶対に勝てない相手なんだから絶望的だよ……」
常日頃からΩを凌辱する男の存在に冷や汗をかきながら生活している者のことなど考えてもいないのだろう。この感覚はΩ同士なら共有できるものだと思っていたが、痣都井さんのような男に与して同性を貶める外道には分からないらしい。
「ミクリは痴漢なんか全然ヘッチャラだし、レイプだって一部の男がやるものでしょ? それに一番悪いのは性犯罪者であって、男の子全員を悪者みたいに言うのは良くないよぉ~」
痣都井さんがそう言うと、周囲の男子たちが同調する。
「そうそう、ミクリちゃんの言う通りだぜwww」
「被害者ぶってんじゃねえよ、ブス!」
「ブスに限って痴漢やレイプが恐いとか騒ぐからなぁ~」
周りの男子たちのセクハラ的暴言に尾芽牙くんがブチギレる。
「Ωが男に常日頃からどれだけ酷い目に遭わされてるかも知らないでアオイくんを攻撃するなッ! Ωを性的に搾取するだけ搾取してきた男なんか信じろと言われて簡単に信じられるはずがないだろッ! これ以上、アオイくんを性的に貶める発言をするなら、ボクはお前たちを絶対に許さない!!!」
尾芽牙くんの怒声に教室中がしんと静まり返った。
気まずくなってしまった僕は思わず教室から逃げ出すように走り去っていった。
「ハアハア……当分の間は戻りづらいなぁ……」
僕が深呼吸しながら伸びをしていると、後ろから尾芽牙くんも追いかけて来ていた。
「いやはや、ボクとしたことが久しぶりにマジギレしちゃったよwww」
尾芽牙くんは頭をかきながら僕に謝った。
「なんかごめんね……。明日から男子たちから目の敵にされること間違いなしだろうけど、あんなヤツらに媚びるような人間にはなりたくなかったんだ。やっぱり、ボクはΩには向いてないのかもwww」
僕以上に思ったことを、はっきり言うタイプの尾芽牙くんは誰よりも自分らしく生きててカッコいいとさえ思えた。
「うんうん、謝る必要なんかないし、Ωとしての資格なんか本来ないはずだよ。世の中は痣都井さんみたいなブリっ子が理想的なΩとしてもてはやされるみたいだけど、そんなの男が作り出した規範でしかないんだから僕たちが理不尽に従う道理はないと思う。少なくとも僕にとって尾芽牙くんは誰よりも理想のΩだよ♡」
そう言うと、尾芽牙くんはギュッと僕のことを抱き寄せて耳元で囁いた。
「ありがとう、アオイくんに出会えて本当に良かった♡ アオイくんがいなかったら、ボクは今でも自分の存在意義に悩んでいたかも……。もうアオイくんさえいてくれればボクの人生には何もいらないや♡」
そう言われて、僕も尾芽牙くんを抱きしめ返す。
「今まで僕の周りにいたΩは痣都井さんみたいにΩとしての役割を受け入れて男に媚びを売ったり、自分よりもブスのΩにマウントするような陰湿な人たちばかりだったけど、尾芽牙くんと出会って同じ悩みを抱えているのは自分一人じゃないことを知って本当に嬉しかったよ。こちらこそ、ありがとう♡」
理不尽な男社会から排除されたΩ同士で抱き合ってキスをすると、2人の間に結ばれた強い絆を僕たちは互いの体温から深く感じ取るのだった。
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